Project/Area Number |
20K05019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 25020:Safety engineering-related
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Research Institution | National Institute of Occupational Safety and Health,Japan |
Principal Investigator |
玉手 聡 独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所, 労働災害調査分析センター, センター長 (10344243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 智仁 独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所, 建設安全研究グループ, 上席研究員 (20508634)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 土砂崩壊 / 計測技術 / 崩壊予測 / せん断ひずみ / 労働安全 / 避難 / 被災防止 / 労働災害 / 安全監視 / モニタリング / 支援的対策 / 災害防止 / 生き埋め事故 / 危険の見える化 |
Outline of Research at the Start |
土砂崩壊で労働者が生き埋めとなる事故は後を絶たないが本研究では避難による人的被害の軽減を目的に,危険な兆候を簡易に「見える化」する新技術の実証試験を行う. 本研究では,危険な兆候を早期に捉えて現場に警報する技術の提供を目的に,計測システムの開発を行う.特に本研究では技術的な検証として,実際の工事現場における性能調査を行う.センサーの設置方法やデータ収録の安定性並びに危険判別の信頼性,さらには現場の適用範囲など総合的な性能を検証し,最終的にシステムとして有効な技術を社会に提供することを目標とする.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、土砂崩壊の予兆を見える化する計測技術を開発することである。工事中に土砂の生き埋めとなる労働災害は作業者が崩壊の危険に気づかず逃げ遅れて発生しており、人の注意力に依存する安全の限界を示唆していると思われる。 そこで本研究では、工事現場で簡単に利用可能な計測技術を開発している。この技術は、崩壊前の浅い斜面の内部で増加するひずみの増加速度を見える化するものであり、早期に斜面の動きを見える化することで、迅速な避難を実現させるものである。具体的には、地表面から浅い部分で崩壊前に微増するせん断ひずみを表層ひずみ棒センサー(以下、「MPS」と言う)で計測し、さらに計測から警報までの処理を一元的に行う「土砂崩壊の簡易危険検出システム」(以下、「システム」と言う)を本研究では開発している。 本研究の初年度である令和2年度は先行研究において考案したMPSの基本コンセプトからその実用性能を高める検討を行った。具体的には、計測データの耐環境性能を高めるために、従来の電圧によるアナログ信号を、MPS内でデジタル信号に変換して通信する方式に改めてノイズの混入を無くした。加えて、システム側に温度変化によるデータ変動が少なくする回路を設計して試作した。 本研究の2年目である令和3年度は、初年度に試作したMPSとシステムの性能確認試験を行った。その方法は温度を-10度からから+40度まで変化できる庫内においてデータ計測した結果、従来のアナログ仕様と比較してデジタルタイプでは温度変化による影響を約1/7に低減できることがわかった。 本研究の3年目である令和4年度は、実大規模の模型斜面に開発したMPSを設置して崩壊を模擬する実験をおこない、本計測によって実際に土砂崩壊の予兆を見える化できるかどうかの検証実験をおこなった。この実験に関する詳細は次の「現在までの進捗状況」で説明する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先の「研究実績の概要」に述べたとおり令和3年度は「表層ひずみ棒センサー」(以下、「MPS」という)を用いた実大規模の斜面崩壊実験をおこなった。その結果を以下に説明する。 本実験で用いた土試料は関東ロームであり予め耕運機で細かく砕き,さらに散水して含水比wを約86%に調整して用いた。土砂崩壊を再現した模型斜面は3面がコンクリート壁(幅4.0m,高さ4.0m,奥行き長さ7.0m)に囲まれた部分に盛土して作成した。模型斜面の高さは3.5m,斜面の勾配は30度であり,築造後に約36時間自重で締め固めた。表面で計測した土の密度は約10kN/m3であり,またこの関東ロームはせん断強さcと締固め圧力Pの間に概ねc=0.2Pの関係を有するものであった。次に,斜面を段階的に掘削して不安定化させた。掘削角度は75度とし,その高さは1m,1.5m,2.0m,2.5mの4段階で行った。各段階の間には30分のインターバルを設け,様子を観察しながら掘削を進めた。 5セットのMPSを斜面内に設置し、これらはその後の崩壊においてNo.1とNo.2は崩壊ブロックの上方の辺縁部であり崩壊時にクラックが生じた位置、No.3は崩壊ブロックの側方であり,すべり線から約0.2m外側の位置、No.4とNo.5は崩壊ブロック内の下方であって第4掘削した掘削面の肩からの離隔が約0.5mの位置であった。 全MPSに共通して経過時間teが90分付近から値に変化が現れており,その変化は100.3分の崩壊に至るまで継続した。特に崩壊前の斜面に生じたひずみデータは掘削終了(te=90分)から崩壊(100.3分)までの10.3分間に変化が顕著であった。一方、目視ではこの変化は判別できないほど小さなものであった。したがって,計測技術を利用すれば崩壊前の微小な変化が捉えられ,目視よりも早期に危険を把握できることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究テーマの最終年度となる令和5年度は改善したデジタル仕様のMPSとシステムの実証試験を前年度に引き続き行う計画であり、この試験は室内試験と屋外試験の2つの予定である。 まず、室内試験では基本的な計測性能の確認と警報性能の改善を目的に実大規模の土砂崩壊を再現する模型実験をおこなって、開発したシステムの計測性能や情報伝達性能の最終確認をおこなう。 次に、屋外試験では同装置を現場に半年から1年程度の長期に設置して計測するものであり、研究協力者とともに実施を計画している。この試験は実際の現場における計測データの収集と本装置の耐候性やシステム的な安定性などの観点から課題の確認を目的とするものであり前年度からの継続しておこなう。 令和4年度は実際に林道内の盛土斜面にMPSと性能比較のための変位計と傾斜計を設置して計測をおこなった。これは従前タイプのセンサーとの性能比較のためであったが、計測期間中に野生動物との接触とみられる不具合が生じてデータを欠落する問題が生じた。令和5年度はセンサーの養生方法を改善して再度計測をおこなう予定であり、MPS計測の優位性等について確認したいと考えている。 また、開発中のデジタル仕様については研究開発と平行して実用化の検討も進めている。しかしながら、ここで近年の半導体不足の問題による影響が明らかとなった。具体的には、現システムに使用している電子部品が市場の製品ラインナップから無くなって入手できなくなる問題が生じている。この問題の解決には安定的に供給される部品を見極めたうえで設計変更する必要がある。そのための電子回路の再設計やシステムの性能確認の追加を検討している。 最終年度である令和5年度はこれまでの研究成果を総合したまとめをおこなって本技術の利用による普及による災害防止に貢献したいと考えている。
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Report
(3 results)
Research Products
(7 results)