かご状構造を持つ熱電半導体を用いた新奇なエネルギー散逸機構の発現・制御の検討
Project/Area Number |
20K05133
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 26040:Structural materials and functional materials-related
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
赤井 光治 山口大学, 国際総合科学部, 教授 (20314825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸本 堅剛 山口大学, 大学院創成科学研究科, 助教 (50234216)
小柳 剛 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (90178385)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 熱電変換技術 / カゴ状構造半導体材料 / バンドエンジニアリング / エネルギー散逸機構 / 熱電変換 / クラスレート半導体 / 熱電変換材料 |
Outline of Research at the Start |
熱電材料には電気は流しやすいが、熱は流れにくいことが求められる。このため、従来の熱電材料開発では「キャリアの伝導に比べ、格子振動の伝導を如何に低減するか」が行われてきた。実際、材料設計の観点からキャリアと格子振動それぞれの伝導をある程度独立に制御することで、熱電性能の向上が進んできた。しかし、更に熱電性能を飛躍的に向上させるのは難しい。本研究では、キャリアや格子振動の伝導と言う材料物性の制御ではなく、そもそも熱伝導を引き起こす温度勾配の作り方に注目することで、材料の持つ格子振動の伝導特性にとらわれずに、熱電材料の設計を行おうとする試みである。
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Outline of Annual Research Achievements |
熱電変換材料の特徴は、半導体材料に温度差をつけることで半導体内の電子などキャリアの熱拡散が生じ、熱エネルギーを電気エネルギーに変換することにある。この時、熱の流れには、電荷移動を伴わない格子振動による熱伝導と電荷移動を伴うキャリア拡散による熱伝導の2種類がある。熱電変換に寄与するのは後者のみであり、高効率熱電材料の開発としては、如何に後者による熱伝導の比率を高め、それを効率的に電気エネルギーに変換するかの2点が鍵をにぎる。本研究では、如何にキャリア拡散による熱伝導の比率を高めるかを主要なテーマとしている。これまでにこの観点での研究を進め、ゲストイオンの非調和振動による熱放出機構が新たな熱電材料の設計指針として可能性を持つことを明らかにしてきた。 今年度は、キャリア拡散による高性能化にも注目した。つまり、カゴ状構造半導体においてバンド端構造制御の可能性である。タイプ8型クラスレート半導体Ba-Ga-Sn系において、熱起電力の温度特性に強い影響を持つバンドギャップ制御を元素置換により検討した。これにより、単位格子内に8個のBaを持つが、そのうちの1つをNaに置換することで、バンドギャップが2.5倍になる結果を得た。Ba8Ga16Sn30では0.1eVであったバンドギャップがBa7NaGa15Sn31においては、0.25eVとなった。この結果は、わずかな元素置換によりバンドギャップが制御できる可能性を示しており大変興味深い。なお、上記の結果は、通常の密度関数法を用いた。この手法はバンドギャップに対する信頼性が低いため、より信頼性のあるハイブリッド汎関数法でも検証を行ったが、同様の結果を得た。また、この機構を調べるために、Wannier関数を用いた解析を行い、ホスト原子のSnとGaが関与している結果を得た。
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Report
(4 results)
Research Products
(5 results)