キレート剤による生体内アクチニド除染メカニズムの解明と効率的排出
Project/Area Number |
20K05391
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 31010:Nuclear engineering-related
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
上原 章寛 (糟野章寛) 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 放射線規制科学研究部, 主幹研究員 (30402952)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | アクチニド / キレート剤 / 除染 / 生体内配位子 / X線吸収分光 / ジルコニウム / プルトニウム / 内部被ばく / XAS |
Outline of Research at the Start |
生体内に取り込まれたウラン・プルトニウムなどのアクチニド元素の体内動態解明およびアクチニド元素除染剤(キレート剤)を用いた効率的な体外排出による内部被ばく低減化に資するため、生体内成分に取り込まれたアクチニドがキレート剤によって体外に除染されるメカニズムを速度論的、平衡論的観点から解明し、除染効果を定量化する。生体成分の中からアクチニドイオンと結合する配位子を抽出し、分光学的手法を用いて化合物構造を明らかにする。さらに、生体内のアクチニド化合物を効率的に体外に排出するため、キレート剤共存 下における化合物安定性を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
原子力事業所において、ウランなどのアクチニドを内部被ばくした時、キレート剤などの除染剤による治療を行うことによって、ウランが体外に排泄される。体内におけるウランは生体内の物質と結合するため体内に沈着すると考えられており、ウランと結合の強いキレート剤を用いることによって体内のウランが除去される。 本研究では、キレート剤共存下におけるアクチニドイオンと生体内配位子の結合安定性メカニズムを、平衡論および速度論パラメータで分類して生化学実験、分光学実験を行うことで、キレート剤によるアクチニド除染に及ぼす影響を定量化する。 昨年度、プルトニウム模擬元素としてジルコニウムを用いてジルコニウムとキレート剤の結合性評価をSPring-8にてX線吸収微細構造法(XAFS)を用いて実施した。プルトニウムとジルコニウムの核種配位子への結合評価を行い、ジルコニウムをプルトニウム模擬元素として使用できることを確認した。今年度は、血清内において各種キレート剤を用いたウランの除染割合評価を行うため、まず、ウランを含む血清に濃度の異なるキレート剤を添加しそれぞれの濃度におけるウランのX線吸収スペクトルを得た。つぎにスペクトルの主成分分析を行い、ウランが血清内の生体由来の配位子に結合している成分およびキレート剤に結合している成分を分別し血清内におけるキレート剤による結合割合を評価した。得られた成果は、学会発表とともに学術論文として報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍により、事業所内及び放射光施設における感染対策を行い実験を実施した。また、コロナおよびロシア侵攻による影響で、外国メーカーの実験消耗品の価格高騰及び納品が遅延した。代替消耗品の検討を行ったため、実験の進行に若干の遅れが生じた。これらの理由により、2023年度の延長申請を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度、ラット血清を用いて、血清内のウランの化学状態についてXAFS測定を行うとともに、各種キレート剤を用いた時に形成される錯体構造およびその割合を主成分分析法によって見積もることで、血清内におけるウランの除染割合評価を行った。今後は、さらに微小量での検体を用いてウランの化学形が検出可能な分析技術の開発を行う。ただし実験で使用するウランが放射性物質であるため、運搬、使用についての取り扱いに注意し、適切な作業手続きを行う。
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Report
(3 results)
Research Products
(10 results)