Project/Area Number |
20K05466
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 33010:Structural organic chemistry and physical organic chemistry-related
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Research Institution | Osaka Metropolitan University (2022-2023) Osaka City University (2020-2021) |
Principal Investigator |
小嵜 正敏 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (10295678)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | デンドリマー / ヒュスゲン双極子環化付加反応 / 鉄錯体 / 吸収スペクトル / 高次構造 / フォールディング / ポルフィリン / 配位結合 / 蛍光スペクトル / 金属錯体 / ビピリジン / 三量体 / クリック化学 / 光異性化 / 共役分子 |
Outline of Research at the Start |
先に、共役鎖内包型デンドリマーを直鎖状に結合して得られる多量体をフォールディングさせるという方法で精密ナノ構造を創出した。この創出法をさらに発展させるとともに、精密構造を利用した高度な分子認識を達成する。第一課題として、キラルな構造の創出と応用に取り組む。金属錯体形成によってフォールディングを誘導することで、デンドリマーが内包する共役鎖がキラルに集積されたナノ構造を創出する。さらに、キラルな構造を利用して立体選択的な分子認識を達成する。第二課題として、光照射によりフォールディングが誘発されるデンドリマー三量体を開発する。高次構造の可逆変化に伴い分子認識能力が大きく変化する分子を創出する。
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Outline of Annual Research Achievements |
革新的な機能を発現する精密高分子の創出を目的として、共役鎖内包型デンドリマーを集積し、特異な高次構造に導く手法の開発に取り組んだ。 ビピリジンユニットを中央部に有する共役鎖内包型デンドリマーを構築した。さらに、クリック反応の手法を用いてデンドリマーを連結し三量体を合成した。デンドリマー三量体の溶液に鉄(II)イオンを加えることで、トリスビピリジン型錯体の形成に伴う高次構造変化を誘発させた。吸収スペクトル滴定により錯成定数を 5.1×10^6 /M と評価した。以上の研究成果を学術論文として発表した。学術論文発表に際して、高次構造変化に伴うデンドリマー集積体の粒径変化を明らかにすることが求められた。そのため、動的光散乱法による粒径評価を検討したが、粒子サイズが小さなことが原因で明確な粒径変化の観測はできなかった。 共役鎖内包型デンドリマー直鎖二量体および直鎖三量体の高次構造を環状に誘導できる架橋分子の開発と機能評価を実施した。直鎖多量体として、長鎖アルキル基と亜鉛ポルフィリンを結合部および中心核にそれぞれ有するデンドリマー二量体および三量体をクリック化学の手法によって合成した。二量体には二種類の窒素二座配位子、三量体には独自に設計した窒素三座配位子を架橋分子として用いて、紫外可視スペクトル滴定によって錯体形成挙動を追跡した。その結果をもとに二量体に最適な架橋分子を選抜した。三量体と架橋分子が安定な 1:1 錯体を形成することを実証した。以上の結果より、多量体の高次構造を環状に誘導できる架橋分子を明らかにした。また、二つの窒素二座配位子が示した二量体に対する錯体形成挙動の違いに関してより深い知見を得るため蛍光スペクトル滴定を行った。いずれの架橋分子も 1:1 錯体を形成するが錯体の熱力学的安定性が二つの架橋分子で著しく異なることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
鉄(II)イオンとビピリジンユニットの間の八面体錯体形成を推進力としてデンドリマー三量体をキラルな高次構造に誘導することに成功した。また、キラルな高次構造の安定性を錯形成定数を評価することで明らかにした。これらの研究成果を学術論文としてまとめて学術雑誌に投稿した。論文審査の過程で審査員から求められた追加実験を実施することで、論文を発表することができた。従って、トリスビピリジン型錯体の形成反応を利用してデンドリマー多量体をキラルな高次構造へと誘導する研究課題に関しては、おおむね順調に研究が進行していると評価できる。 一方、当初の研究計画では、デンドリマー多量体の高次構造を架橋分子を用いて環状に誘導する研究に関しても必要な実験および考察を全て終了して学術論文を発表する予定であった。しかし、上記の論文発表の過程で必要になった追加実験の実施に多くの時間を要したためデンドリマー環状集積体の合成と性質評価を完成させるための実験を全て完了することができなかった。その結果、デンドリマー環状集積体に関する研究成果をまとめて学術論文として発表することができていない。そのため、本研究を完結することに至っていない。この点を考慮して本課題に関しては本研究の進歩状況がやや遅れていると評価した。 これら二つの研究課題に対する評価をもとに総合的に判断して、本研究の進歩状況がやや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
ポルフィリンデンドリマーから構成される鎖状二量体および鎖状三量体を架橋分子を利用して環状高次構造に誘導する研究に対して、計画した実験および考察を全て終了させる。さらに、学術論文、学術学会で研究成果を積極的に発表する予定である。最初に、デンドリマー多量体および合成過程で得られた新規化合物の構造を核磁気共鳴スペクトルの測定や質量分析によって同定し、化合物の純度を評価する。必要な場合はデンドリマーやその多量体に加えて合成中間体の合成を行い実験を完結させる。また、デンドリマー直鎖二量体および直鎖三量体の構造変化を追跡した紫外可視吸収スペクトル滴定実験の結果を用いて、デンドリマー二量体および三量体と架橋分子の間の結合形成定数を全て評価する。測定結果を理論曲線によりフィッティングすることが成功しない場合は、再度吸収スペクトル滴定実験を実施する。これらの実験を実施しデンドリマー環状集積体の創出と性質評価を全て完了する。その後、デンドリマー環状集積体に関する研究成果をまとめて学術論文として発表する。論文発表の過程で追加の実験が求められた場合は、迅速に行い論文の発表を達成する。加えて、学会発表等で積極的に研究成果を発信する。
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