Project/Area Number |
20K05486
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 33020:Synthetic organic chemistry-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
渕辺 耕平 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (10348493)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | フッ素 / アルケン / 生物学的等価体 / ルイス酸 / カルボカチオン / シクロプロパン / 結合活性化 / 生理活性 / ジペプチド / 医薬 / バイオイソスター / 合成 / ヘテロ環 / 活性化 / 窒素 / オキサジン / Friedel-Crafts / トリフルオロメチル / 選択性 |
Outline of Research at the Start |
近年、CF3基を有する化合物の合成・入手が容易になった。CF3基がもつ3本の炭素-フッ素結合のうち1本のみを新たな結合形成に利用し、かつ、2本を残すことができれば、有機フッ素化合物合成の新たな方法論になる。しかしこのような反応は、実際には未だ困難がある。本研究は、申請者ら独自の「生成物の形を変える反応設計」を活用することで、医薬品や有機半導体等の合成を容易とし、社会に貢献するものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
有機フッ素化合物においては、フッ素多置換体が工業的に入手容易である場合が多い。これらフッ素多置換有機化合物が有する複数の炭素ーフッ素結合のうち、一本だけを選択的に化学変換できれば、フッ素を減らしながら有用合成を行う、有機フッ素化合物合成の新しい合成手法となる。本研究では、炭素の混成状態が変わることで過剰反応が抑制される現象を「生成物の形を変える反応設計」としてその基盤に据え、有機フッ素化合物合成の新たな体系を構築する。 令和5年度は、合成中間体としての利用を志向し、官能基化されたモノフルオロアルケンのジアステレオ選択的合成法を開発した。具体的には、2位にアリールオキシ基が置換した1,1-ジフルオロシクロプロパンに対してジメチルアルミニウムクロリド(ルイス酸)存在下、各種求核剤を作用させた。1,1-ジフルオロシクロプロパンのsp3混成炭素からのフッ化物イオンの脱離に始まる位置選択的開環ー付加反応が起こり、求核剤としてアリルシランを作用させた場合は分子内にアルケン部位を有するモノフルオロアルケンを(2-フルオロ-1,5-ジエン合成)、求核剤としてシリルエノールエーテルを作用させた場合は分子内にケトン部位を有するモノフルオロアルケンを(2-フルオロ-5-オキソ-1-エン合成)、E体選択的に得た。これら生成物においてフッ素置換した炭素はsp2混成炭素であり、過剰反応は一切進行しない。本反応は求核剤とのカップリングによる新しいモノフルオロアルケン合成法を提供している。 なお、令和5年度は本反応について1件の学会発表を行なっており、英文誌への論文投稿も準備している。さらに、本反応に密接に関連する論文を1報英文誌に投稿し、受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度は、本研究課題で見出した新たな反応基質である1,1-ジフルオロシクロプロパンの新反応を見出すことができた。このことから、本研究課題はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題においては、その期間中に反応基質を(トリフルオロメチル)シクロプロパンから1,1-ジフルオロシクロプロパンとすることで、「生成物の形を変える反応設計」の深化を達成している。課題最終年度にあたる令和6年度はこれをさらに押し進め、(トリフルオロメチル)チイラン[(トリフルオロメチル)チアシクロプロパン]を基盤とするフッ素減算型有用硫黄化合物合成に挑戦したい。フッ素を含む有機硫黄化合物は医薬や農薬などとして有望であり、本研究課題の成果を社会に広く還元することを目指す。
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