Project/Area Number |
20K05699
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 36020:Energy-related chemistry
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Research Institution | Japan Fine Ceramics Center |
Principal Investigator |
奥原 芳樹 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 主席研究員 (20466288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒山 友宏 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 主任技師 (80606385)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 太陽光 / 光励起熱電子放出 / 半導体 / 仕事関数 / エネルギー / 電子放出 / 波長選択光吸収 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、『太陽光からの高効率エネルギー変換を可能とすべく、熱と電気の両面でエネルギー回収できる革新的なデバイス』を目指し、その基礎原理を高温環境下にて発現できる材料構成を見出す。電気エネルギー変換については、高倍率集光・高温真空下において安定的な光増強熱電子放出を可能とする新たな薄膜材料構成(光吸収励起層+電子放射層)を見出し、発電機能を発現させる。熱エネルギー変換についても、その薄膜構成を基本として太陽光スペクトルの高吸収+赤外放射ロス抑制による高効率な熱変換を可能とする積層設計を探る。さらに、その新規デバイスについて集光型人工ソーラー光源による発電・発熱機能を実証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では「太陽光から熱と電気の両面で高効率にエネルギー回収できる革新デバイス」として、線集光型太陽熱レシーバの太陽光吸収膜に『光増強熱電子放出』を発現させる新規なデバイスの構築を目指す。下記のデバイスでは、カソード側の太陽光吸収層によって熱+光励起された電子を生成し、真空を介してアノード側へ放射させて発電させる。 カソード:BaSrOx / β-FeSi2 / Si基板 / 裏面Ag電極 アノード:Sn添加In2O3 / SiO2基板 これらの中で最も成膜の難しい層が、低い仕事関数によって電子放射層となるBaSrOx膜である。この層は、BaCO3+SrCO3+グラファイト粉末ターゲットによってスパッタリング成膜し、その膜を真空熱処理する際のCO脱離還元作用によってBaSrOx相となる。カソードの構造上、BaCO3+SrCO3+Graphite膜をβ-FeSi2膜上に成膜した後に真空熱処理してBaSrOx膜とする必要があり、その高温下での界面反応が懸念された。そこで、このCO脱離還元の温度下限を探り、450℃でも十分に還元が進行してβ-FeSi2膜上でBaSrOx膜を形成・保持できることを見出した。さらに、そのBaSrOx膜の組成分析を進めた結果、残存する炭素成分は5 at.%以下と極めて少なく、電子放射機能への影響は軽微と期待された。しかし、このBaSrOx膜は常温大気中で炭酸塩に戻る課題を抱え、外部機関での評価予定の仕事関数測定が停滞している。一方、(Ba,Sr)CO3の仕事関数1.25eVがBaSrOx膜0.99eVに近いという文献を見出し、有望な電子放射層の候補として挙げられた。BaCO3+SrCO3粉末ターゲットによる成膜の結果、これら炭酸塩の中間的な面間隔をもつ(Ba,Sr)CO3膜を形成できた。今後、これらの電子放射層をもとにデバイス化を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
この『光増強熱電子放出』に関する文献の中で、カソードとアノードの真空中での電極間隔を数μmに留める必要があるという理論計算に関する報告も出てきており、デバイス構成の上でその対策についても検討が必要となった。その対策として、カソードとアノードの電極間に絶縁性酸化物(SiO2など)の微粒子を挟むことで数μmの電極間隔を維持させる設計方針とし、こうした検討に時間を要してきた。一方、実績に記載のように、電子放射層についての安定的な機能発現に苦慮している点も進捗を遅らせている要因であるが、見出しつつある解決策をもとに研究促進を図っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
目指すべき『光増強熱電子放出』のデバイス構造として、 カソード構造:(Ba,Sr)CO3 or BaSrOx / β-FeSi2 / Si基板 / 裏面Ag電極 アノード構造:Sn添加In2O3 / SiO2基板 を構成して、真空環境下での人工ソーラー集光照射による発電機能の実証をトライしていく。発電実証用の集光照射可能な真空環境ユニットも完成できており、まずは安定な(Ba,Sr)CO3を電子放射層とするデバイスでの実験を急ぐ。BaSrOx膜を電子放射層とするデバイスについても、(Ba,Sr)CO3+Graphite膜でデバイスを構成して人工ソーラー集光照射下にてCO脱離還元を発現させてBaSrOx膜を形成できる可能性もある。太陽光吸収層の候補であるβ-FeSi2膜については、p型半導体であることが発電機能の発現に重要であり、結晶性を高めるべくSi基板の加熱環境下での成膜を試み、Hall係数測定にてp型であることを実証する。電子放射層については、(Ba,Sr)CO3およびBaSrOx膜の仕事関数を評価すべく並行して進める。 この光増強熱電子放出による発電デバイスについて、2013年にSchwedeらによって報告されてから近年になって多くの報告例が出てきているものの、依然として本研究にて目指しているコンセプト「線集光型レシーバの構造をベースとして光増強熱電子放出を発現させ、その太陽光吸収層にシリサイド系半導体、電子放出層にBaSrOx膜を適用する」といった研究例はなく、オリジナリティを発揮できる見込みである。
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