Project/Area Number |
20K05762
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38010:Plant nutrition and soil science-related
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡部 敏裕 北海道大学, 農学研究院, 准教授 (60360939)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平舘 俊太郎 九州大学, 農学研究院, 教授 (60354099)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
|
Keywords | イオノミクス / 植物 / 土壌 / 植物イオノミクス / 無機元素 / 分画 / ストレス応答 / 土壌元素動態 |
Outline of Research at the Start |
イオノミクスとはある生物に含まれる全元素(イオノーム)を網羅的に解析するものであるが、測定できる成分(元素)数は20~30と少なく得られる情報量が少ない。しかし、生体内で無機元素は無機イオンとしてだけではなく様々な有機化合物の構成要素としての役割も大きく、それらを考慮した真の解析が必要である。そこで本研究では、各種の分画方法により植物成分を分画し、各画分について元素の一斉分析を行うことで「二次元イオノーム」情報を取得、より強力なイオノーム解析手法を開発し、植物栄養学に適用する。また、土壌についても分画とイオノーム分析を組み合わせ、より詳細な植物―土壌間の元素動態解析を可能にする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である本年度は土壌に多く硫黄を含む硫気荒原に生息する酸性土壌耐性が極強のカヤツリグサ科植物の根における元素動態に及ぼす硫黄の影響について調査した。このカヤツリグサ科植物は硫黄が十分存在する条件でのみアルミニウム耐性が極強であり、硫黄が地上部へのアルミニウム輸送の制御に関わることが示唆されている。調査ではアルミニウムを含む培養液で栽培した植物体のインタクト根から脱離液で溶出されるアポプラスト画分、凍結融解により膜を破壊した後に脱離液で溶出されるシンプラスト画分、および残渣画分(脱離液で溶出されない画分)に分け、それぞれの画分における元素の一斉分析を行った。その結果、この植物のアルミニウム耐性において重要な役割を持つことが予想される硫黄は、アポプラストでは硫黄処理の影響は全く受けなかった一方、低硫黄処理のシンプラストでは高硫黄処理の1/100程度の濃度しか硫黄が存在しなかった。このことはアルミニウム耐性における硫黄の役割がシンプラストにおけるものであることを強く示唆する。また硫黄と同様にシンプラストでのみ高硫黄処理で濃度が上昇した元素にはリンと鉄があり、これらの元素が硫黄と関係してアルミニウム耐性を強化している可能性が予想された。アルミニウム処理時に根に存在する硫黄の形態は95%以上が無機硫酸イオンであることが別に行った実験で明らかになったため、根シンプラストでのアルミニウムの形態として硫酸イオンとの複合体を予想した。しかしそれに反して、アルミニウムの形態は有機酸との結合形態が主体であった。このことから硫酸イオンはアルミニウムの直接的な無毒化以外の役割を持つことが示唆された。 補助事業期間中の研究により、形態を考慮した無機元素の一斉分析の新しい方法を提案できた。この方法を使うことで、全量分析ではわからなかった植物や土壌の元素の変動を検出できる可能性が示された。
|