Project/Area Number |
20K05777
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38010:Plant nutrition and soil science-related
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
野副 朋子 明治学院大学, 教養教育センター, 准教授 (90590208)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 鉄 / ムギネ酸類 / タルホコムギ / イネ科植物 / 石灰質土壌 / 鉄欠乏 / ニコチアナミン / ムギネ酸 / 植物 |
Outline of Research at the Start |
ムギネ酸類やニコチアナミン(NA)は植物が土壌中の難溶性三価鉄を吸収して、体内の必要な部位に輸送するために必要な鉄キレーターである。ムギネ酸類やNAの合成量は植物の鉄欠乏耐性能と正の相関があり、鉄欠乏シグナルの発生にも関与していることが見出されている。ムギネ酸類やNAを介した、植物の鉄欠乏感知機構を明らかにし、遺伝子組換え技術を用いずに作物の鉄欠乏による生育阻害を改善する新しい戦略の構築を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
乾燥地における農作物の収量を左右する環境ストレスとして、乾燥と並んで土壌への塩類集積によって生じる塩害がある。土壌に集積した塩類は、土壌pHをアルカリ性に高める。土壌pHが8.5を超えるアルカリ性土壌では鉄欠乏によるクロロシスが頻発し、作物の生育阻害を引き起こす。鉄は土壌中に豊富に存在しているが、その大部分が水に溶けにくい三価鉄として存在する。特に世界の陸地の約30%を占める石灰質土壌を含むアルカリ性土壌では鉄のほとんどが難溶性三価鉄として存在するため、植物は深刻な鉄欠乏に陥り、収量は激減する。鉄欠乏耐性作物の開発によりアルカリ土壌での食糧生産に貢献できる。 本研究は、パンコムギのDゲノムの提供親である、タルホコムギ(野生種)の鉄欠乏に対する生理的な応答を解析し、タルホコムギの保有する有用遺伝子の単離・同定を目指している。タルホコムギは中東諸国を中心に多数の系統が見出されているが、パンコムギの先祖となったタルホコムギの直系の子孫は、そのうちのごく少数の系統であると推定されている。タルホコムギに存在する鉄栄養関連有用遺伝子を同定し、パンコムギに導入することにより、鉄欠乏耐性パンコムギの作出に利用できると期待される。 2023年は、タルホコムギ42系統について、これまでに植物の鉄栄養の重要な因子であることの示されてきた、根からのムギネ酸類分泌、最新葉のSPAD (Soil & Plant Analyzer Development、クロロフィル含量)、葉の金属(鉄、亜鉛、マンガン、銅)含量と、25種類のフェニルアミド類及び2種類のファイトアレキシン含有量を分析して、Genome-Wide Association Study (GWAS)を行った結果をPlant Genetic Research誌に発表した。現在、タルホコムギ209系統について同様の解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2022年2月に出産をしたため。出産後、産休で復帰したが、保育園に常時入所できなかったため、長時間必要な実験を進めることができなかった。2023年度から実験を本格的に開始したが、子どもの体調不良等で急な計画変更を行う必要性が頻発したため。
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Strategy for Future Research Activity |
OsNAS2-GFPイネの根より全タンパク質を抽出し、抗GFP抗体を用いた免疫沈降法により、OsNAS2-GFPに結合するタンパク質を単離した。現在、タンパク質の品質についての確認実験を行っている。今後はOsNAS2-GFPに結合するタンパク質についてプロテオーム解析により同定する。 OsNAS2-GFPイネ及びAtNAS1-GFP分裂酵母にTOM1-mCherry及びENA1-mCherryを導入して、蛍光の共局在を観察する。AtNAS1-GFP分裂酵母を用いて、15 N-NAに加えて15 N-DMAを合成する。さらに15 N-NA及び15 N-DMAをカラムクロマトグラフィーにより精製し、OsNAS2-GFPイネ、分裂酵母への吸収実験に用いる。二次元高分解能二次イオン質量分析装置(high lateral resolution secondary ion mass spectrometer, NanoSIMS)を用いて15 Nの組織及び細胞内局在を可視化することでDMA・NAと鉄の植物体内・細胞内動態を分析する。 タルホコムギのGWAS解析により同定された鉄栄養関連遺伝子についての解析を進める。
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