ヒスチジン立体配置に基づいた細胞膜透過性タンパク質ファミリーの探索と機能解析
Project/Area Number |
20K05850
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38040:Bioorganic chemistry-related
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
岩崎 崇 鳥取大学, 農学部, 准教授 (30585584)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2020: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | ヒスチジン / タンパク質 / 立体構造 / 細胞膜透過 / 神経伝達物質受容体 / ペプチド |
Outline of Research at the Start |
これまでに我々は、ヒスチジン連続タンパク質がヒト細胞内に効率的に取り込まれる現象を世界に先駆けて発見した。これらのタンパク質の一部は、細胞内に取り込まれた後に、疾患に関与する挙動を見せる。すなわち、ヒスチジン連続タンパク質は、新たな機能性タンパク質ファミリーであると考えられる。これまでは、一次構造中にヒスチジンが連続したタンパク質のみを解析対象としてきた。そこで本研究では、立体構造中にヒスチジンが連続するタンパク質を解析対象とすることで、新しいヒスチジン連続タンパク質を探索・同定・機能解析する。これにより、ヒスチジン連続タンパク質ファミリーの全容を解明するとともに、新たな生命現象の発見に挑む。
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Outline of Annual Research Achievements |
これまでに我々は、ヒスチジンが連続した配列を有するタンパク質(ヒスチジン連続タンパク質)がヒト細胞内に効率的に取り込まれる現象を世界に先駆けて発見した。興味深いことに、ヒスチジン連続タンパク質の一部は、細胞内に取り込まれた後に、疾患に関与する挙動(例:細胞毒性)を示す。すなわち、ヒスチジン連続タンパク質は、細胞膜透過能を有した新たな機能性タンパク質であると考えられる。そこで本研究では、ヒト血中に含まれる新しいヒスチジン連続タンパク質について探索・同定・機能解析することを目指した。 2021年度までの研究において、プロテオミクス解析によりヒト血中に存在する細胞膜透過性ヒスチジン連続タンパク質として、ヒトHistidine rich glycoproteinを主成分とする複数種類のヒスチジン連続タンパク質を同定した。2022年度は、ヒスチジン連続タンパク質の細胞内取り込み機構の解析を進めた。ヒスチジン連続タンパク質を効率的に細胞内へ取り込むヒト細胞株(RERF-LC-AI細胞、HT1080細胞)と、取り込まないヒト細胞株(MCF-7細胞、U251細胞、CaCo-2細胞、MKN74細胞、HepG2細胞)のRNA-Seqデータを比較することで、ヒスチジン連続タンパク質の細胞内取り込みに関与している受容体候補を複数種類特定した。これらの受容体候補をsiRNAによりノックダウンさせた結果、ある神経伝達物質受容体のノックダウン細胞株において、ヒスチジン連続タンパク質の細胞内取り込みが顕著に抑制された。以上の結果から、ヒスチジン連続タンパク質の細胞内取り込みに関与している受容体の絞り込みに成功した。ヒスチジン連続タンパク質と神経伝達物質受容体の相互作用はこれまでに報告されていないことから、新規の生命現象解明につながる知見であると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、2021年度中に「細胞膜透過性ヒスチジン連続タンパク質の候補同定」を完了し、2022年度中に「細胞膜透過性ヒスチジン連続タンパク質の機能解析」を実施する予定であった。実際に2022年度中にヒスチジン連続タンパク質の細胞膜透過に関与する受容体として、当初は予想もしていなかった神経伝達物質受容体を絞り込むことに成功している。「細胞膜透過性ヒスチジン連続タンパク質の機能解析」は予定通り、かつ興味深い方向に進んでいることから、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる2023年度は、「細胞膜透過性ヒスチジン連続タンパク質の機能解析」をさらに追求する。具体的には、ヒスチジン連続タンパク質を取り込んだヒト細胞内における遺伝子発現変動解析(RNA-Seq解析)を実施することで、ヒスチジン連続タンパク質が細胞内でどのような機能を示しているのかについて明らかにする。 これら一連の解析を通じて、ヒト血中に存在する細胞膜透過性ヒスチジン連続タンパク質の存在と、その受容体、および細胞内における機能を包括的に明らかにすることで、ヒスチジン連続タンパク質が細胞膜透過をする生物学的意義を解明するとともに、ヒスチジン連続タンパク質が関与する新たな生命現象の解明に挑む。
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Report
(3 results)
Research Products
(3 results)