脳内オピオイド産生の計測制御による過食のメカニズムの解明
Project/Area Number |
20K05933
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38050:Food sciences-related
|
Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
太田 宏之 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 薬理学, 講師 (20535190)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
守本 祐司 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 生理学, 教授 (10449069)
今野 歩 群馬大学, 大学院医学系研究科, 講師 (40509048)
古賀 農人 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 精神科学, 助教 (70744936)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2020)
|
Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
|
Keywords | エンケファリン / 大脳基底核 / 線条体 / 依存症 / 過食 / オペラント条件付け / 摂食行動 |
Outline of Research at the Start |
嗜好食の摂取が止まらず反復すると肥満となり様々な疾病につながります。摂食行動の反復は、基底核-ドーパミン報酬系によって制御されています。基底核には脳内麻薬の一種であるエンケファリンが強く発現していることから、嗜好食摂取後にエンケファリン産生が増大し、そのため嗜好食の摂食行動が強化されているものと想定されます。この仮説が証明されれば、行動・薬理学的な嗜好食依存へのアプローチが可能となります。本研究では,嗜好食依存に対するエンケファリンの関与を明らかにします.
|
Outline of Annual Research Achievements |
肥満は摂食行動の「反復」によって引き起こされます。摂食行動の反復は基底核-中脳報酬系によって制御されていますが、未だその機序が完全に解明されたわけではありません。これまでの研究により、基底核の代表的な脳内オピオイドであるエンケファリンは摂食行動への関与が示唆されているものの、反復行動との具体的な関連は不明でした。そこで本研究では、エンケファリンが摂食行動の反復において果たす役割を明らかにします。 初年度は、エンケファリン産生遺伝子(pro-Enkephalin; PENK)をノックアウトするCRISPR-Cas9とsgRNAを組み込んだアデノ随伴ウイルス(AAV)を作成しました。作成したAAVをマウスの基底核・線条体に導入して、PENKをノックアウトした状態で確率的な報酬に基づくオペラント条件付けを行いました。その結果、オペラント行動によって報酬(エサ)を得た場合において、再度その行動を実行するまでの時間がPENKのノックアウトによって延長することがわかりました。一方、オペラント行動によって報酬が得られなかった場合における反復実行までの時間には変化が見られませんでした。これらのことから、PENKは報酬が得られた場合における同一行動の反復に寄与していることがわかりました。 本研究成果は、エンケファリンが摂食行動の反復に関して中心的な役割を果たしていることを示しています。 なお、PENKのノックアウトによってオペラント条件付けの効率が低下することも付随してい観察されています。具体的にPENKが学習のどのような側面に影響するかを今後明らかにしていく予定です。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時点においては、PENKプロモーター下流に発光タンパクのAkalucを発現させ、摂食行動時のPENKプロモーター活性をin vivo計測する研究計画であった。しかし、当該のコンストラクト(AAV-PENK-mCMV-Venus-Akaluc)を作成し線条体に発現させた結果、発光のin vivo計測は可能であったものの、日をまたいだ計測値が一定ではなく、定量的な解析がほぼ不可能であることがわかった。原因は、発光基質のAkalumine (i.p. or i.v.)の脳内への到達が一定ではないためであると推定された。そのため、PENKのノックアウトをCrispr-Cas9を用いて行うことで、エンケファリンの機能推定を行う計画に変更した。
|
Strategy for Future Research Activity |
エンケファリンは報酬を得た後の反復行動に関与していることが明らかとなったが、オペラント条件付けの効率が著しく悪くなるという現象も観察している。新規に開発した、正と負の学習率を持った強化学習モデルに基づいた学習率解析を実施し、エンケファリンと基底核における強化学習の関係を明らかにする。
|
Report
(1 results)
Research Products
(4 results)