Project/Area Number |
20K06022
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 39030:Horticultural science-related
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
半田 高 明治大学, 農学部, 専任教授 (00192708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 将 明治大学, 研究・知財戦略機構(生田), 研究推進員(客員研究員) (30815816)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | アジサイ / 耐塩性 / 遺伝的多様性 / Na+イオン / K+イオン / 落葉 / Naイオン / Kイオン / 種分化 / DNAマーカー |
Outline of Research at the Start |
アジサイの種分化には不明な点が多い。本研究は,アジサイの起源種・変種の自生地集団について,①形態調査に基づく多変量解析,②複数のDNAマーカーを用いた分子遺伝学的解析,③耐塩性に関する環境ストレス試験を実施する。耐塩性は,アジサイの種分化過程で海岸地帯に進出するために獲得したと考えられ,これは塩害を受ける沿岸部での植栽や初期植生回復への利用や,冬季に道路等へ凍結防止剤を散布する地域での植栽においても重要な園芸形質である。本研究の成果は,遺伝子マーカーを用いた耐塩性育種素材の開発や,遺伝的多様性情報に基づく遺伝資源保全のガイドライン作成へ情報提供することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの研究で,伊豆諸島沿岸部に自生するガクアジサイ野生集団が, 葉身にNaイオンを蓄積させていることを明らかにした. しかし, ガクアジサイがどのように自生地環境に適応しているかはほとんど明らかにされていない. そこで本年度の研究では, ガクアジサイ野生種の育種素材としての更なる利用に資する包括的な環境適応性を明らかにするため, これまで園芸品種の育種への利用が少なかった伊豆諸島集団の自生地の標高と海岸線からの距離, 気象情報, 土壌Naイオン量, 植物形態, 葉身のNaイオンおよびKイオンの量等を調査した. その結果,伊豆大島と八丈島のガクアジサイは, 海岸線から10-100 m程度離れた所に広く分布しており, 一部は2-3 km離れた内陸部にも自生していた. 落葉は沿岸部に自生する集団で特に著しかったが, 同じ沿岸部であっても落葉の程度が弱い集団も存在した. 植物の塩ストレスに関係する自生地の年平均降水量は3,000 mm, 年平均風速は5.0 m/s程度であり, 伊豆半島の2,000 mm, 3.5 m/sというデータと比較しても2島において厳しい環境下で生育していることが示唆された. 土壌と葉身のイオン分析より, 沿岸部土壌および沿岸部集団の葉身の両方で他の植物であれば生育に悪影響を及ぼす程度のNaイオンの蓄積があることが示され, さらに葉身のNaイオン量は先行研究と同様に沿岸部集団でより多かった. これは他の植物が生育を維持することが難しい塩ストレス環境下にガクアジサイが適応性を持つことを示唆した. 以上のことから伊豆諸島のガクアジサイ集団は伊豆半島と比較し, 異なる環境で生育している集団が多く, 今後のアジサイの育種に寄与する可能性が考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナによる行動制限解除後に当初予定していたアジサイ野生種・変種の自生地における調査と材料採取を開始した。アジサイの開花期である6-7月に調査・採取できた材料については,挿し木による研究材料の育成を行い、2022年の秋から同所的に栽培した育成苗を用いた耐塩性試験を開始している。このため,当初予定されていた実験計画からは約1-2年遅れて実験が進められている現状である。 この間に研究実績の概要で述べたような評価系の開発し,この評価系を用いた実験を育成材料に対して実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに採取・育成した材料を用いて,開発した評価系によるスクリーニングで耐塩性の異なる野生集団や園芸品種についてより詳細な調査を実施しており,根への塩水浸漬処理と葉への塩水散布により,NaイオンやKイオンの植物体内移動・蓄積状態やストレス耐性に関係する適合溶質の定量を行っている.これまでに得られた野生集団の実験結果を精査したところ,再調査の必要性が明らかになったことから,今年度は再調査と分析材料の採取を実施する。また,アジサイ3種・変種の遺伝的多様性と耐塩性について,より詳細な情報を得るために,これまで用いてきたガクアジサイ園芸品種由来のDNAマーカーに加えて野生種由来のDNAマーカーを用いた解析を行う。
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