Project/Area Number |
20K06057
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 39040:Plant protection science-related
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
小栗 秀 東京農業大学, 生物産業学部, 教授 (70277250)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | lectn / chitin / tomato / lectin / Tomato / Lectin / トマト / レクチン / キチン / 病害抵抗性 |
Outline of Research at the Start |
トマトは、果実と葉のそれぞれに構造の異なるキチン結合性レクチンを発現していることを発見した。両レクチン遺伝子の植物ホルモン応答性は異なり、果実レクチンの発現はサリチル酸で誘導され、一方、葉のレクチン遺伝子の発現はジャスモン酸で誘導された。本研究では、私達が同定した二種のレクチンについて、遺伝子発現の病害応答の違い、細胞内局在性、病害生物糖鎖との相互作用などの基礎的な知見を集積し、レクチン発現抑制体を用いてレクチンの生物学的機能を解析する。レクチン遺伝子の保持と品種間の病害抵抗性との関係は現時点では不明であるが、重要な果菜であるトマトの耐病性品種の選抜や分子育種への応用が期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
トマト植物体は2種類のキチン結合性レクチン遺伝子TLFとTLLを有する。TLFは根と受粉後10日以降の果実房室組織に発現し、TLLは葉の傷害処理により発現が誘導される。本研究の目的はレクチンの機能解析を通してトマトにおける耐病性品種の選抜や分子育種の目標となる知見を集積するとともに、植物界に分布するキチン結合性レクチンの役割を示すことである。当年度は、レクチンの役割として想定される病害抵抗性の効果について形質転換体を用いた検証を開始した。 1.トマトレクチン遺伝子の解析:10種のトマト固定品種において、TLLとTLFの2遺伝子を共にゲノム上に保持する品種は存在せず、どちらか一方の遺伝子のみがゲノムに検出された。既公開のトマトゲノム配列上にTLL遺伝子は検出されなかったため、TLL遺伝子を有する品種を材料に用いてゲノムウオーキング法を行い、TLL5’上流配列の取得を進めていた。その途上、TLL遺伝子を含むトマト品種の全ゲノム配列情報が公開された。これらの情報を総合し、TLLとTLFは3番染色体上の同一の遺伝子座に座上する対立遺伝子の関係にあることがわかった。 2.TLLとTLF遺伝子を過剰発現する組換え植物の作出と評価:コドンを最適化し、クローニングを可能としたTLL遺伝子を植物発現ベクターに組み込み、35Sプロモーター下においてTLLを恒常的に発現するシロイヌナズナとタバコ組み換え体を作出した。組換え体においてレクチン活性が検出された。これらの形質転換体の育種を進め、抗虫活性と抗菌活性試験を開始した。 3.チョウセンアサガオのキチン結合性レクチンの解析:チョウセンアサガオ果実に発現するイソレクチンA遺伝子(dsaA)をクローニングし、構造を明らかにした。ベンサミアナタバコを用いた一過的発現系により生産された遺伝子産物を同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1. TLLとTLF遺伝子を過剰発現する組換え植物の作出:(目的)トマトレクチンの抗昆虫活性とin vivo抗菌活性検定のための過剰発現体作出。(問題点)35Sプロモーター下においてTLLまたはTLF遺伝子を過剰発現するシロイヌナズナ形質転換体T1植物とタバコ形質転換体T0をそれぞれ作出した。TLL形質転換体はレクチン活性を示した。一方でTLF形質転換体はトランスジーンを保持していたもののシロイヌナズナとタバコともにレクチン活性を示さなかった。(対策)ベンサミアナタバコを用いた一過的植物発現系では、TLF遺伝子組換え体はレクチン活性を示す。この一過的発現系を用いて抗糸状菌活性試験を検討する。また、トマト果実から精製したレクチンを人工飼料に添加し、抗昆虫活性を検定する。 2. TLLの5’上流配列の取得:(目的)TLL遺伝子の傷害応答性発現を制御する5’上流領域の確定とレポーター遺伝子を用いた解析 (問題点)ゲノムウオーキング法によるクローニングの遅れ (対策)TLL遺伝子を保持するトマト品種の全ゲノム配列が公開されたことから、クローニングが可能となった。発現ベクターを構築する。
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Strategy for Future Research Activity |
1.発現様式の異なる2種類のトマトレクチン遺伝子TLLとTLFについて、両者の発現制御領域を特定し、組織レベルにおいて発現を比較することで遺伝子発現応答の違いを明確にし、両者の特性を明らかにする。①TLL遺伝子を保持する品種としてMoneymakerを 、TLFを保持する品種としてMicro-Tomを用いて、TLLとTLF遺伝子の発現をホルモン応答性と果実の発達過程においてリアルタイムPCRを用いて比較する ②TL-L遺伝子の5’上流配列を取得し、GFPをレポーター遺伝子に用いて発現解析をマイクロトムとシロイヌナズナを用いて行う。③ 葉におけるTLLの細胞内局在性を蛍光抗体法を用いて観察する。 2.トマトレクチン過剰発現形質転換体を用いた病害抵抗性の検定 ①抗昆虫活性の検定: TLLを過剰発現するシロイヌナズナ形質転換体をアブラナ科を食草とするシロチョウを供試し、成長抑制効果を検証する。また、精製果実レクチン(TLF)を添加した人工飼料を供試し、影響を観察する。②抗糸状菌活性の検定:TLLを構成的に過剰発現するタバコを作出した。これらの遺伝子組換体にBotrytis cinereaを接種し、野生株との病徴の違いを観察する。③精製トマトレクチンによる抗糸状菌活性の検定:キチン結合性レクチンの抗糸状菌活性は、キチナーゼと相乗的に作用することが示されている。トマトレクチンについてもその効果を検証する。
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Report
(3 results)
Research Products
(3 results)