Study on the improvement technique of the space value in rural landscape using by native wildflowers.
Project/Area Number |
20K06114
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 39070:Landscape science-related
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
大澤 啓志 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (20369135)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
|
Keywords | フラワーツーリズム / レクリエーション雑木林 / 棚田 / 下刈り / 環境税 / ススキクラスの種 / 林床管理 / アンダーユース / 地域文脈 / 遣り甲斐 / 生育立地 / 開花景観 / 管理インセンティブ / 生態的社会的正統性 / 生物多様性 / 在来野草類 / 地域活性 / 農村計画 |
Outline of Research at the Start |
「地域活動×文化的景観×生物多様性保全×文化的洗練性による良質な農村ランドスケープの持続」を基盤的な枠組みに置き、在来植物を用いた空間価値化の実践地に学びつつ、来訪者による外部評価を得ることでそれぞれの地域固有の生物多様性の価値を住民自身が認識し、その保全・活用・管理への参画の喜びも含めた多様な主体による地域ランドスケープの質的向上を図るための理論構築を行うものである。特に活動持続の側面を重視し、野草類の開花景観の単なる「見た目の美しさ」ではなく、生態学的正統性そして地域の生物資源利用の正統性を踏まえた農村空間の価値化を行うランドスケープの継承的創造を意図している。
|
Outline of Annual Research Achievements |
中山間地域のレクリエーション利用型の雑木林(栃木県那珂川町小砂地区)において,環境税等による下刈り管理再開による林床植生の影響を調べた。木本種の毎木調査として,10年継続管理区,5年前管理区,20年放置区を設け,10㎡の調査区各8箇所で47種,約4,000個体を確認した。管理区では,ヤマツツジ,ウリカエデが個体数で優占し,低い樹高階層に集中して生育していた。多様度指数は20年放置区に対して有意に増加していた。次に,10年継続管理区と20年放置区において,16㎡の調査区による植生調査を実施した。平均出現種数は,管理区(40.1~49.3種)に対し20年放置区(21.2種)が有意に低い値であった。ヤマハギ,シラヤマギク,ノハラアザミ等のススキクラスの種が管理区のみで出現するのが特筆された。ただし,下刈りが夏期以降に行われるため夏~秋に開花する高茎種は植物体上部の消失が生じ,開花が抑制されることも示された。 河岸段丘沿いの小規模な棚田・段畑跡地を公園にしてヒガンバナの群生地化を図り,観光資源としている栃木県那須町蓑沢地区を事例に,畦畔法面の植生を実態把握した。秋季の種組成は,TWINSPANによりツリガネニンジン,ゲンノショウコ,ヨモギ,コナスビ等のススキクラスの種の出現の有無で大別された。細分して比較した結果,ヒガンバナの冬期の被度が最も高い地点群は,他の3群に対し種数が有意に低く,帰化植物率は有意に高くなっていた。冬季のヒガンバナの被度と出現種数の関係には,負の相関(r=-0.639)が認められた。当地区ではヒガンバナの開花期には外部向けのイベントが催され,それが草刈り管理も含む地域活性化活動の刺激になっていた。以前からの住民とヒガンバナの関りの地域文脈を継承する群生地であることが示され,「畦畔の草刈り-開花景観-イベント」のサイクルによって地域活力の持続が図られていた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
在来野草類の開花景観が地域活性化の駆動装置として機能し得ることを埼玉県加須市浮谷地区,栃木県那珂川町三輪地区・富山地区,栃木県那須町蓑沢地区を事例に,特にその活動契機において社会的な地域文脈が強く関与するとともに,管理継続においては対象植物(ノウルシ,カタクリ,イワウチワ,ヒガンバナ)の生態的特性も踏まえ活動を展開していることを明らかにする等,着実に成果を上げている。今後,群落開花景観の成立空間のみならず,その保全管理が広く地域の農村ランドスケープにまで及ぶ事例地から,在来野草類活用と地域持続の関りについて考察を進める必要がある。また,人との親和性が高いカワラナデシコを取り上げ,特定の活動事例地のみならず,古文書等を用いた我が国における人と在来野草類の文化的な関りの内実についても検討していく必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は,①棚田跡地でのフクジュソウの開花景観を用いた地域活性化活動事例地(福島県山都町沼の平地区)における下刈り管理と景観保全そして地域福祉の関係の検討,②環境税等を用いた民有地の雑木林レクリエーション林(栃木県那珂川町小砂地区)でのフラワーツーリズムに適した開花野草類の分布量とその開花フェノロジーの把握,③人との親和性が高いカワラナデシコの開花景観の保全・活用を可能とする個体群維持における埋土種子集団形成の有無の実証研究,④同じくカワラナデシコとの文化的関りとして日本の古典文学における時代ごとの掲載状況と託された感情の変遷,についての調査・研究を進める。 最終年度であるため,①在来野草類をシンボルとした住民による里山林の管理・活用の実践地ごとの特性を比較する中で,活動主体や活動空間の属性に応じた空間価値の向上内容の特徴を整理する。②野草類の開花景観の維持・創出における生態学的な側面に加えて,文化的な関りからみた空間価値の意義を考究する。③単なる開花景観の(見た目の)価値ではなく,生態的社会的正統性を有する農村ランドスケープの空間的価値向上を図っていく理論と手法についてまとめていく。
|
Report
(3 results)
Research Products
(20 results)