Project/Area Number |
20K06266
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 41010:Agricultural and food economics-related
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
外園 智史 九州産業大学, 経済学部, 准教授 (40611570)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 貿易摩擦 / 貿易政策 / 大豆貿易 / 生産補助金 / 空間均衡モデル / 不確実性 / 価格変動 / コメ価格 / 相対取引 / 国際農産物市場 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、国際農産物市場の不確実性、不安定性について、数量的に明らかにすることである。 この目的の達成のために、まず、主要農産物の生産の不確実性の実態、価格変動の実態等、国際農産物市場の不確実性について数量的に明らかにする。 また、農産物貿易が盛んな今日、他国での天候変動等の影響が我が国に及ぶことが予想されるため、分析するためのツールとしての貿易モデル開発を行い、政策シミュレーション分析を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、政治的なリスクが農産物貿易に与える影響を分析するため、貿易モデルを構築し、米中貿易摩擦で話題となった大豆貿易を事例に研究を行った。 具体的には、2018年に中国によるアメリカ向けに発動した25%の関税と、これに対抗するためにアメリカで支払われた生産補助金の政策効果について、分析した。また、2021年から2025年にかけて中国で実施されている第14次5カ年計画における生産補助金支払についての分析も行った。 分析の結果、中国による対米大豆関税の発動は、中国の輸入相手国がブラジルにシフトし、両国の価格が上昇、一方で、アメリカ産の価格が下落し、アメリカ依存が大きい日本における価格も下落するなど、概ね現実を再現する結果となり、モデルの信頼性を確認できた。ただし、実際のアメリカの生産量の減少が1割程度になったのに比べ、モデルによる計測では3%程度の減少であった。これは、アメリカ産大豆の供給の価格弾力性の数値などによる誤差である可能性が考えられる。また、アメリカによる生産補助金の発動は、中国の関税による国内生産者の受取金額への影響を打ち消すのに十分な金額で、適切な金額であったことも確認できた。ただし、この影響で、アメリカや日本の大豆価格は9%程度落ち込むことになり、貿易歪曲効果が大きいことが分かった。 さらに、中国の第14次5カ年計画における生産補助金支払は、特にアメリカの身を意識した政策ではないはずであるが、結果的に最大の影響を受ける国がアメリカであることが明らかとなった。つまり、今後中国政府が、計画達成のために生産補助金支払額を増加させていった場合、アメリカも対抗して再び生産補助金を増額する可能性があり、大豆貿易は大きな政治的リスクを抱えた状態が続いていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまで、現地調査の余裕がなく、主に国内農産物市場の不確実性についての分析に終始していたが、今年度は、貿易モデルを構築し、シミュレーション分析において一定の成果が得られた。ただし、全体の研究を取りまとめる余裕がなく、若干の遅れがみられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の成果発表で指摘を受けた点について分析をやりなおし、再度研究発表か論文投稿を行う予定である。その他、可能であれば貿易歪曲効果については厚生経済分析を行い、研究全体を取りまとめたい。
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