Project/Area Number |
20K06303
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 41030:Rural environmental engineering and planning-related
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature (2023) Gakushuin Women's College (2020-2022) |
Principal Investigator |
荘林 幹太郎 総合地球環境学研究所, 研究部, 特任教授 (10460122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 典江 事業構想大学院大学, 事業構想研究科, 講師 (20642705)
竹田 麻里 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任研究員 (60529709)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 多面的機能支払交付金 / エコスキーム / 英国 / ドイツ / 政策目的 / 多面的機能支払 / 共通農業政策 / 戦略計画 / 外形的裁量度 / 補助金交付要綱 / EU共通農業政策 / 多面的機能支払い / 中山間地域 / デカップリング / 地方裁量度指標 / 国際比較 / 農林水産省交付金 / 地方分権 |
Outline of Research at the Start |
農村振興政策における国から地方自治体への補助金・交付金について「地方裁量度指標」を構築することによって真の裁量度を定量的に把握するとともに政策目的と同指標値の間の整合性を分析する。加えて地方分権が著しく進行しているEU共通農業政策の農村振興関連の各種財政支援金について地方裁量の有効性並びにその政策目的との整合性を検証し、国際比較を行う。それらを踏まえて、我が国農村振興政策分野における補助金・交付金の望ましい形態についての政策提案を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
多面的機能支払交付金を対象に、自治体担当者に対するヒアリングを引き続き実施した。その結果、以下が明らかになった。国による同交付金の制度設計内容と自治体の要望との乖離を把握するためには、前提条件の固定が必須となることである。たとえば、同交付金の目的も「変数」とする場合、その点の乖離が大きくなり、制度設計上の地方裁量度の必要性ではなく、政策目的設定の裁量度の議論に転換される可能性がある。したがって、裁量度の必要性分析においては政策目的は国の現行制度と同一にする必要がある。一方で、末端の水路、道路等の資源を適切に維持管理するという狭い目的設定を前提とすると、裁量に関するヒアリング対象者の自由な発想を阻害する懸念がある。さらに、会計検査に対する対応も裁量度に関する自治体の潜在的希望を把握する上で勘案すべき重要事項である点も明らかになった。国の制度のもとで実施する場合、会計検査に対する制度上の説明責任を負わないため、自治体は裁量度を増すことによる地域特性の反映メリットと制度自体への説明責任に伴う行政コストの増加のトレードオフに直面することとなる。 国際比較に関しては、前年度のイタリアに続き、英国とドイツに対する行政担当者等へのヒアリング調査を実施した。英国は、EU離脱に伴い所得支持のための直接支払いを削減させ、環境支払の大幅な拡大で置換する方針となっている。環境支払制度の拡大の際の地域特性の反映のための制度的枠組みについて政策担当者等へのヒアリングを行った。また、EU加盟国のドイツでは、農業環境政策については各州が制度設計を行っていたが、導入が義務付けられたエコスキームは本質的には環境支払いと同じ性格を有しているにもかかわらず国全体への統一的適用が条件となっているため中央政府による政策設計が行われた。これに伴うさまざまな相克への対応について州政府担当者などにヒアリングを実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度に完了する予定であったが、以下の二つの理由により完了が遅延した。一つには、自治体の多面的機能交付金担当者へのヒアリングを通じて、現行制度において真の裁量度が小さい、すなわち国の制度と自治体が望む制度との乖離が大きいことは強く示唆され、その定量的計測の意義は確認できた。しかしながら、定量的測定の信頼度の確保のためには、自治体担当者へのヒアリングやアンケートの際の前提条件を適切に設定・固定する必要があることが明らかになったため、その方法の確定に時間を要したためである。もう一つは、国際比較の対象となる欧州の新たな農業政策及び農村振興政策、とりわけ農業環境政策の大きな変更の過渡期にあり、その変更の詳細の確定を待つ必要があったため、国際ワークショップを開催できなかったことである。EU及び英国ともに、農業環境政策の中央と地方の関係が劇的に変化したことから、その詳細の確定を待つことは研究遂行上の必須の条件だった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の分析を踏まえて、裁量度の計測に関しては以下により実施し、その成果をとりまとめる。想定していた市町村の多面的機能交付金担当者に対する裁量度計測のための郵送アンケートを変更し、オンラインアンケートを実施する。本年度に明らかになった、裁量度に関する質問の前提条件を明確にしないと調査の意義が大きく棄損される懸念から、事前に調査の前提条件等について被調査者に対して詳細に説明する必要があり、それを郵送アンケートで文章で説明すると回収率が著しく低下すると判断したものである。そのためオンラインでの実施とし、前提条件について説明する動画を提供することとした。加えて、オンラインアンケートの配布に対して全国町村会の支援を得ることにより、回収率の確保を図る。マクロな観点ではこの方法により裁量度の定量化をはかるとともに、それを補完するために、同交付金の実施に経験を有する担当者を複数人招集して、オンラインアンケートの前提条件と同一条件での自治体政策の立案に関するワークショップを開催し、国の政策との相違点を明らかにする。 国際比較に関しては、イタリア、英国、ドイツの調査結果を取りまとめ、それを踏まえて、地方裁量度とその変遷、さらには裁量度の確保のための適切な政策のあり方に関する国際ワークショップを開催する。 上記を踏まえて、国際ジャーナルへの論文を執筆するとともに、自治体職員を主たる読者ターゲットとした著作を執筆する。
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