Association of proviral load and the number of infected cell in bovine leukemia virus infection
Project/Area Number |
20K06413
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 42020:Veterinary medical science-related
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
関口 敏 宮崎大学, 農学部, 准教授 (10462780)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 牛伝染性リンパ腫 / プロウイルス / デジタルPCR / 絶対定量 / マルチプロウイルス / 牛白血病 / 疫学 / 防疫 / リスク分析 |
Outline of Research at the Start |
本研究はBLVの感染力を説明する「第2の関連因子」を同定することを目的とする。まず,感染力には感染細胞あたりのプロウイルスの挿入個数が影響しているという仮説の下,プロウイルスを高精度に測定する絶対定量法を確立する。次に,臨床検体を用いて血中プロウイルス量とプロウイルスの挿入個数の関係を明らかにする。最後に,プロウイルスの挿入個数が感染力に及ぼす影響をフィールド調査で分析する。本研究によって新たな関連因子が同定されれば,より正確に感染リスクを評価することが可能となる。
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Outline of Annual Research Achievements |
牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)は主にB細胞に感染し,宿主のDNA中にプロウイルスとして組み込まれ持続感染する。BLV感染牛は病態が進行すると,感染牛の2~3%がB細胞性のリンパ腫,すわなち、牛伝染性リンパ腫(EBL)を発症する。EBLはBLVを原因とする伝染病で,国内のEBLの発生頭数は増加傾向にある。BLV感染の診断はELISAによる抗体検出の他,Nested PCR法やqPCR法によるプロウイルス遺伝子の検出があり,qPCR法はプロウイルス量の定量も可能である。BLVに対するワクチンや治療法はなく,感染拡大を防ぐためにはBLV感染牛を摘発・淘汰または隔離飼育するしかない。しかし,米国や日本を含むアジア諸国ではBLVの感染率が非常に高いため,全てのBLV感染牛を淘汰することは難しい。そこでわが国では,BLV感染牛のプロウイルス量に基づく対策が推奨されている。これらの対策を実施するためには,感染牛のプロウイルス量を定量する必要がある。しかしながら、プロウイルスの定量検査にかかる費用を理由に、プログラムへの参加を断念する地域も少なくない。BLV対策への取り組みをさらに加速させるためには、より簡便で安価な定量法を開発する必要がある。そこで本研究では、デジタルPCRを用いた定量法の開発と、簡便かつ安価なDNA抽出方法を開発した。本研究によって創出した革新的な技術は次の3点である。一つは,世界で初めてBLVに対する絶対定量技術を確立したこと。次に,DNA精製が不要な簡易抽出法をデジタルPCR法でも実現したこと。最後に,血液1滴というごく微量なサンプルからプロウイルス量を高精度に定量できたことである。畜産領域においてこの技術を利用した報告はなく,本研究が世界で初めての技術となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
デジタルPCRをBLVの定量検査に利用する利点として,限界希釈を行うためサンプル中のPCR阻害要因を軽減できること,検量線を必要とせず、絶対的な定量を行えること,ポジティブな微小区画数を直接カウントするため定量精度が高いこと,PCR阻害要因の軽減と飽和するまでの増幅によって高い感度が得られることなどがあげられる。特に,qPCRでは作業が煩雑なだけでなく,検査実施者の技量が検査結果に大きく影響する。qPCRを使って正確なプロウイルス量を安定して計測するためには,熟練した技術が求められる。それに対し,デジタルPCRは絶対定量であるため,安定して再現性のあるデータが得られる。本研究では、デジタルPCRがPCRを阻害する夾雑物の影響を軽減できる性質を利用し,DNAの精製が不要なSDS抽出法を確立した。BLVが感染する白血球のゲノムを抽出し,PCRのテンプレートとして使用するためには,血中のタンパク質を除去し,純度の高いDNAを精製する必要があった。これに対し,本法は希釈と加温だけで済み,DNAとタンパク質が混在した状態でもテンプレートとして使用できる。DNAの精製がいらないため,DNA抽出にかかる時間が三分の一以下に、抽出コストを約98%減らすことに成功した。最後に,血液1滴からプロウイルス量を正確に定量する技術を確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
ドロップレットデジタルPCRを用いた絶対定量技術を確立したことにより、血液からゲノムを精製せずにPVLを定量できることが可能になった。本技術の特徴は、10%の差も判別可能で、PCR阻害物質に耐性あることから、シングルセル解析に応用できる。通常、BLV遺伝子は、一つの細胞に一つのBLV遺伝子(プロウイルス)が挿入されている。しかし、まれにBLV遺伝子が一つの細胞の中で、複数の染色体に組み込まれる、または一つの染色体上に複数のBLV遺伝子が組み込まれることがある(マルチプロウイルス)。この場合、プロウイルス量と細胞数の間で一対一の関係が成立しない。マルチプロウイルスを確認するためには、ゲノムを抽出して定量する方法(従来法)と、ゲノムを抽出せずに細胞をそのままドロップレットに閉じ込めて定量する方法(シングルセル解析法)を比較する必要がある。そこで今年度(令和5年度)では、ドロップレットデジタルPCRを用いたシングルセル解析法を確立する。次に、プロウイルスの細胞感染率が100%を超えるような感染個体を抽出し、従来法とシングルセル解析法で定量した値を比較する。例えば、一つの細胞あたり2つのBLV遺伝子が組み込まれていた場合、抽出法では感染細胞に対して2倍量の値を示す。一方で、シングルセル解析法では、感染細胞数とドロップレットの数が同等であるため、従来法の値と比べて2分の一になることが予想される。これにより、簡便にBLVのマルチプロウイルスを解析することが可能となる。
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Report
(3 results)
Research Products
(14 results)