配列が著しく異なる2つの天然変性タンパク質に共通する構造と機能の解明
Project/Area Number |
20K06527
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 43020:Structural biochemistry-related
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
小田 隆 立教大学, 理学部, 助教 (00573164)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 天然変性タンパク質 / 構造生物学 / X線小角散乱 / 古細菌 / 高速原子間力顕微鏡 / 天然変性 / NMR / 高速AFM / 分子動力学計算 / X線小角散乱(SAXS) / 核磁気共鳴分光法(NMR) / 分子動力学シミュレーション(MD) / 高速原子間力顕微鏡(HS-AFM) |
Outline of Research at the Start |
一般に、タンパク質の機能に重要な領域はアミノ酸配列や立体構造が保存されていると考えられる。しかし、天然変性タンパク質は生物種間でアミノ酸配列保存性が低く、特定の立体構造も取らないため、上記の概念に反する。本研究では2つの生物種間でアミノ酸配列が著しく異なる天然変性領域について、X線小角散乱と種々の解析法を組み合わせて解析することで、動的構造と機能を比較し両者に共通する構造的特徴を解明する。これにより、一見、配列が保存されておらず、共通の立体構造もない天然変性領域がなぜ共通でかつ生物学的に重要な機能を発揮しうるのかを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では2種の好熱性古細菌(Tko, Pfu)由来のHefタンパク質について、天然変性領域(IDR)のアミノ酸配列が著しく異なるが、DNAクランプのスライド抑制という共通の機能を発現する機構の解明を目指す。2022年度は(1) スライド抑制効果の検証のためのHS-AFMによるDNAクランプのスライド観察条件の検討を行った。(2)スライド抑制に重要なHef IDRの構造的特徴を捉えるためにHef IDRの二次構造のより詳細な解析を行った。また、Pfu Hef IDRには当初予想していなかった2つめのDNAクランプ結合モチーフが存在することが前年度までの解析から示唆されたため、Pfu Hef IDRとDNAクランプ、DNAの三者複合体の構造を解析する前に(3)この機能について検討した。 (1)に関してはDNAクランプのスライドを安定に長時間観察するために、長鎖DNAの構造を変更したものを調製したが、それだけでは目的の達成は難しいことが予測された。 (2)に関しては、Tko Hef IDRのNMR測定を行い、得られた測定データを現在解析中である。 (3)に関しては、1つめまたは2つめのDNAクランプ結合モチーフどちらか一方でPfu Hef IDRとDNAクランプを共有結合させた複合体タンパク質を調製し、DNA結合能を生化学実験で評価した。その結果、どちらの複合体タンパク質もDNA結合能が同程度にあることがわかり、どちらもDNAクランプのスライドを抑制し得ることが示された。2つのモチーフの使い分けを解明するためには今後より詳細な変異体解析が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
DNAクランプのスライド抑制という機能を評価するために多数のDNAクランプ分子を長時間安定にHS-AFMで観察する必要があるが、この条件の検討に難航している。観察を困難にしている原因は、DNA鎖にDNAクランプがロードされる頻度が低いこと、DNAを固定する基板上の脂質膜が観察中に変形や汚れを生じることなどである。 また当初Pfu Hef IDR、DNAクランプ、DNAの三者複合体の構造をSAXSにより解析する予定であったが、予想していなかった2つめのDNAクランプ結合モチーフの存在を考慮して解析する必要が出た。2つのDNAクランプ結合モチーフの機能評価など当初は予定していなかった解析のために遅れを生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
多数のDNAクランプ分子を観察するためにはDNA鎖上にDNAクランプがロードされる頻度を上げる必要がある。DNAを基板から大きく浮かせることでDNAクランプがロードされやすくなると予想されるため、次年度はこれに取り組む。具体的にはDNAオリガミなどを利用した観察を検討する。Hef IDRの二次構造の解析については2022年度に測定したNMRデータの解析を行い、DNAクランプのスライド抑制にHef IDRの二次構造が関わっているかを明らかにする。Pfu Hef IDRについては引き続き変異体を用いた生化学実験を行うことで2つのDNAクランプ結合モチーフの機能を評価し、そのうえでSAXSによる複合体の構造解析を行う。これによりDNAクランプのスライド抑制機構を解明する。
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Report
(3 results)
Research Products
(10 results)
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[Journal Article] C9orf72-derived arginine-rich poly-dipeptides impede phase modifiers2021
Author(s)
Nanaura Hitoki、Aiba Yuichiro、Nakanishi Mari、Shiota Tomo、Hibino Masaki、Kikuchi Sotaro、Nagata Riko、Morikawa Naritaka、Iguchi Naohiko、Kiriyama Takao、Nagamori Shushi、Sugie Kazuma、Saio Tomohide、Yoshizawa Takuya、Mori Eiichiro et al.
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 12
Issue: 1
Pages: 5301-5301
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] X線小角散乱と計算科学を用いた統合的解析による天然変性タンパク質の動的構造と機能の理解2022
Author(s)
小田隆, 大井里香, 古寺哲幸, 安藤敏夫, 小沼剛, 菅瀬謙治, 苙口友隆, 井上倫太郎, 杉山正明, 石野園子, 石野良純, 佐藤衛
Organizer
日本農芸化学会2022年度京都大会(JSBBA2022)
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Invited
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