選択励起パルスを用いる高感度多次元NMR測定法の開発と応用
Project/Area Number |
20K06533
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 43020:Structural biochemistry-related
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
葛西 卓磨 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (70446516)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 核磁気共鳴法 / 選択励起パルス / タンパク質 / ベイズ推定 / マルコフ連鎖モンテカルロ法 |
Outline of Research at the Start |
核磁気共鳴(NMR)法は、タンパク質等生体分子の解明への貢献が期待される一方、高分子量タンパク質を測定する場合や、生細胞中で測定する場合など、磁化の減衰の速さに由来する感度の低さの問題があった。本研究は、従来のNMR法とは異なり、磁化があまり減衰しないよう短い時間で測定を終え、それに伴う解像度の減少を測定法と解析法の工夫で補うことにより、感度の向上を図るものである。補助事業期間中に、方法の開発、高難度タンパク質における実証実験、生物学への応用をおこなう。
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Outline of Annual Research Achievements |
本法は、核磁気共鳴(NMR)法において、タンパク質等の多次元相関スペクトルを測定する際、共鳴周波数(化学シフト)情報を得るためのパルスシーケンス中の待ち時間に磁化が緩和してしまうことを原因とする感度の低下を避けるため、選択励起パルスを用いて周波数情報を符号化し、フーリエ変換以外の方法でその情報を復号することを目指すものである。このアイディアと数学的にほぼ等価な、chemical shift saturation transfer (CEST)実験において選択的な摂動を与える方法などでは、情報を効率的に得るために適応的に実験条件を定めることが有効であり、昨年度よりその手法開発に取り組んでいる。本年度は、CEST現象の物理方程式であるBloch-McConnel方程式の数値的求解によりシミュレーションおよび解析に用いることができるモデルを構築した。ベイズ最適な実験条件を選択するにあたり、マルコフ連鎖モンテカルロ法によるベイズ推定をおこなうが、フォワードモデルの求解に時間がかかるものの、既存の近似法はいずれも要求精度を満たさないことがわかったため、新たに精度がよく計算速度が既存法とほとんど変わらない近似法を開発した。さらに、手法の検証のため実際のNMR装置において適応的な測定を行うために必要なプログラムを作成し、タンパク質試料の調製やシグナル帰属をおこなった。シミュレーションによりパラメータ調整をおこなったうえで検証のための実測定をおこない、シミュレーション・実測定のいずれにおいても、既存の方法を上回る性能が得られることが確認された。現在、発表のため結果を取りまとめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の当初の目的にも、また他の種類の測定にも応用できる可能性がある実験条件選択・解析法の開発に軸足をシフトし、開発をほぼ完了して結果の取りまとめをおこなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は結果の取りまとめと発表をおこなう予定である。現時点までに必要なデータはほぼ取得し終えているが、取りまとめや改訂の過程で必要に応じて追加実験をおこなう。
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Report
(3 results)
Research Products
(6 results)