PINK1-Parkin経路の網羅的プロテオーム解析とミトコンドリア制御の解明
Project/Area Number |
20K06628
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 44010:Cell biology-related
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
小迫 英尊 徳島大学, 先端酵素学研究所, 教授 (10291171)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | PINK1 / Parkin / パーキンソン病 / ミトコンドリア / プロテオーム / 質量分析 / 免疫沈降 / 絶対定量 / オートファジー / ユビキチン化 / nanobody |
Outline of Research at the Start |
家族性パーキンソン病の原因遺伝子産物であるPINK1とParkinがオートファジーによって不良ミトコンドリアを除去するメカニズムの概要が最近明らかになったが、従来の研究からはその全貌が明らかにされていない。本研究では、最先端のプロテオミクス技術を用いてPINK1-Parkin経路の構成因子を網羅的に同定する。そしてPINK1とParkinの新たな相互作用因子や下流基質の機能を調べることにより、PINK1が如何にしてミトコンドリア異常を検知する分子センサーとして機能するかを明らかにする。さらにParkinがどのような分子をユビキチン化することでミトコンドリア機能を制御するかを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
家族性パーキンソン病の原因遺伝子産物であるセリン/スレオニンキナーゼPINK1とユビキチン連結酵素Parkinが協調して損傷ミトコンドリアをオートファジーによって特異的に除去する分子機構の概要が最近明らかになった。しかしながら、従来の細胞生物学や分子生物学を基盤とする研究からは、その全体像を理解する上で十分な知見が得られていない。特に損傷ミトコンドリアの外膜上で安定化し蓄積したPINK1が形成する複合体の構成因子を大規模に明らかにするためには、高度なプロテオーム解析技術が必須である。これまでに免疫沈降-質量分析(IP-MS)法を改良・最適化することにより、既知のPINK1結合因子であるTOM複合体構成因子だけでなく、TIM複合体構成因子であるTIM23を新たなPINK1結合因子として見出した。TIM23はPINK1と相互作用することによってミトコンドリア内膜のプロテアーゼによるPINK1の分解を防ぐ役割を担っていることが示唆された。そこで本年度は、PINK1の免疫沈降物中に含まれるTIM23を絶対定量することを試みた。PINK1およびTIM23由来のトリプシン消化ペプチドに相当する、安定同位体で標識したAQUAペプチドを3本ずつ合成した。脱共役剤で処理した細胞から調製したPINK1の免疫沈降物にこれらのAQUAペプチドを200 fmolずつスパイクしてトリプシン消化後、PRM法を用いたターゲット質量分析による定量解析を行った。その結果、PINK1の約1/5量のTIM23が共免疫沈降していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
免疫沈降-質量分析法の確立により、PINK1との新たな相互作用因子としてミトコンドリア内膜に局在するTIM23を同定することができた。このIP-MS法は他の標的タンパク質との相互作用タンパク質を大規模同定する際にも適用可能な汎用性の高い方法である。また、PINK1の免疫沈降物中のPINK1とTIM23の絶対量をAQUAペプチドとPRM法によって定量することに成功した。これによりミトコンドリア内膜のプロテアーゼによるPINK1の分解をTIM23が防ぐモデルを支持することができたため、本研究の進捗状況はおおむね順調と判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
ミトコンドリアの損傷を検知するセンサーであるPINK1が形成する複合体の構成因子を大規模に同定することにより、新たなPINK1との相互作用因子によるPINK1の安定性の制御機構を見出すことができた。近年開発された相互作用因子の同定法である近接ビオチン標識法も実施することにより、PINK1複合体の構成因子をさらに大規模に同定する予定である。
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Report
(3 results)
Research Products
(16 results)