Project/Area Number |
20K06725
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 44040:Morphology and anatomical structure-related
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
吉川 伸哉 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 教授 (20405070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根本 理子 岡山大学, 環境生命科学学域, 准教授 (30625926)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 細胞壁 / シリカ重合 / バイオミネラリゼーション |
Outline of Research at the Start |
ケイ藻とは異なりシリカの細胞壁が無い状態でも生存・増殖が可能であり任意に細胞壁形成を制御出来るパルマ藻を用いて、シリカの細胞壁形成に関わる遺伝子の欠損株を作出することで、細胞壁形成機構を明らかにする。パルマ藻の増殖には、細胞壁形成が必須ではないことは明白なため、これまでケイ藻を使った研究では得られていない、細胞壁形成に関わる遺伝子を完全に欠損させた株を確立できる可能性は十分に高いと予測される。パルマ藻の遺伝子欠損株を使った解析により、目的遺伝子の細胞レベルにおける機能の解明が可能になり、これまで不明な点が多かったシリカの細胞壁形成の理解に飛躍的な前進をもたらすことが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
パルマ藻 Triparma laevis f. longispina を用いてシリカ重合に関わることが予測される細胞壁に局在するタンパク質を同定するために、パルマ藻細胞からアセトン、SDS 処理により細胞壁画分を得た後に、フッ化水素でシリカを溶解し、細胞壁に含まれている有機成分を得た。有機成分は SDS-PAGE で分離し、主要なバンドをプロテアーゼ処理した後、液体クロマトグラフ質量分析(LC-MS/MS)に供した。 LC-MS/MS で得られたペプチド配列とゲノム情報から細胞壁に含まれるタンパク質をコードすると予測される2つの遺伝子(TrLOg5840, g5853)を同定した。遺伝子がコードするタンパク質は、いずれも1次構造では既知のタンパク質との相同性は検出されなかったが、N末端にシグナル配列を持ちシリカ重合に関与するタンパク質の特徴であるpentalysine clusterを複数含んでいた。TrLOg5853 がコードするタンパク質に対するペプチド抗体(anti5853抗体)を作成し、ウエスタンブロッティングと間接蛍光法によりタンパク質の局在を解析した。 ウエスタンブロッティングでは、パルマ藻細胞の全タンパク質を含む試料では、目的のタンパク質と思われる約35kDaバンドが確認されたが、細胞壁画分からフッ化水素で抽出されたタンパク質からはanti5853抗体のシグナルが得られなかった。一方、細胞壁画分に対する間接蛍光法では、細胞壁が標識された。加えて、細胞壁のフッ化水素不溶画分がanti5853抗体で標識された。これらの結果から、TrLOg5853 がフッ化水素難溶性の細胞壁構成タンパク質であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験の計画時ではLC-MS/MS の結果から同定した遺伝子TrLOg5853がコードするタンパク質は細胞壁に局在することが予測されたため、anti5853抗体は細胞壁を標識し、細胞壁からフッ化水素で抽出されたタンパク質の試料からもウエスタンブロッティングにより抗体のシグナルが検出されることが期待された。しかしながら、間接蛍光抗体法により細胞壁が標識される一方で、ウエスタンブロッティングではフッ化水素可溶化画分からは、抗体のシグナルが得られなった。両者の結果が異なる要因として、対象となるTrLOg5853 がコードするタンパク質がフッ化水素難溶性であるため、細胞壁のフッ化水素可溶化画分からは抗体のシグナルが得られないと仮説を立てた。フッ化水素不溶性の細胞壁構成タンパク質は、珪藻Amphora coffeaeformisでも報告されている。仮説を検証するために、フッ化水素不溶画分を試料とした間接蛍光抗体を行った結果、細胞壁のフッ化水素不溶画分が染色された。この結果は仮説を支持するものであり、今後のより解像度の高い局在解析を行いことでTrLOg5853がコードするタンパク質が細胞壁に含まれることをより明確に証明する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
LC-MS/MSで得られたペプチド配列とゲノム情報から、細胞壁に含まれるタンパク質をコードする2つの遺伝子(TrLOg5840、g5853)が予測された。この研究では、これらのタンパク質の細胞内局在と細胞壁形成過程における発現量の変化を明らかにすることを目的とする。 TrLOg5853がコードするタンパク質は、間接蛍光抗体法を用いた解析により細胞壁に局在することが示唆されている。これをさらに詳細に調べるために、空間的な解像度が高い免疫電子顕微鏡観察法を用いて局在解析を行う。 TrLOg5840がコードするタンパク質については、抗体を用いた細胞壁のフッ化水素可溶化画分に対するウエスタンブロッティングと間接蛍光抗体法により細胞内局在の解析を行う。 また、2つの遺伝子と細胞壁形成との関係を解析するため、培地中の珪素量を制限することで細胞壁を持たないパルマ藻細胞を誘導し、定量PCR法により細胞壁を持つ状態の細胞との発現量の違いを比較する。
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Report
(3 results)
Research Products
(4 results)
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[Presentation] The genome biology of parmales Bolidophyceae), a sister group of diatoms2021
Author(s)
Hiroki Ban, Shinya Sato, Shinya Yoshikawa, Kazumasa Yamada, Yoji Nakamura, Mutsuo Ichinomiya, Hisashi Endo, Romain Blanc Mathieu, Akira Kuwata, Hiroyuki Ogata
Organizer
Molecular Life of Diatoms 6
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Int'l Joint Research
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