Project/Area Number |
20K06753
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 44050:Animal physiological chemistry, physiology and behavioral biology-related
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
松野 元美 公益財団法人東京都医学総合研究所, 脳・神経科学研究分野, 主席研究員 (90392365)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | ショウジョウバエ / 長期記憶 / ドーパミン / 加齢性記憶障害 / 記憶痕跡細胞 / 記憶固定 / 記憶汎化 / 加齢 |
Outline of Research at the Start |
研究代表者は予備実験により、 加齢体では長期記憶学習後、記憶痕跡細胞が正常に形成されるが、条件刺激以外の匂いでも記憶痕跡細胞が活性化され、長期記憶をベースとした逃避行動が誘起されてしまうこと、つまり記憶汎化が加齢性長期記憶障害の背景にあることを明らかにしている。さらに固定に必要なドーパミン神経細胞(固定DA神経細胞)の異常活性がこの過程に関わることを示唆する結果を得ている。本研究では「加齢体では記憶固定中、固定DA神経細胞の異常活性が記憶汎化を引き起こし想起障害となる」という仮説を立て、これを立証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
我々は加齢体では長期記憶学習後、記憶痕跡細胞が正常に形成されるが、条件刺激以外の匂いでも記憶痕跡細胞が活性化され、長期記憶をベースとした逃避行動 が誘起されしまうこと、つまり記憶汎化が加齢性長期記憶障害の背景にあることを明らかにしている。さらに固定に必要なドーパミン作動性神経細胞(固定DA神 経細胞)の異常活性がこの過程に関わることを示唆する結果を得ている。2023年度は、「記憶固定時の記憶痕跡細胞の活動変化とその加齢による抑制」という仮説について検証を行った。 (1)記憶汎化が見られる長期記憶学習24時間後に、短期記憶ができるか調べることで、加齢個体の学習後の匂い判別能力が正常であることを確認した。(2)加齢体で観察される学習後の記憶汎化は、記憶痕跡細胞が形成される長期記憶学習後特異的であることを明らかにした。(3)記憶痕跡細胞の活動をc-fosプロモーターと活動依存性遺伝子発現を利用したルシフェラーゼ発光を使って計測した。それにより、若齢体で見られる学習後の活動変化が加齢体では見られないこと、これはドーパミンシグナルを抑制することでレスキューされること、を明らかにした。(4)学習後に記憶痕跡細胞の活動を人工的に変化させると、加齢体の記憶汎化が抑制され、また活動を逆に制御すると、若齢体でも記憶汎化が見られることを明らかにした。活動を学習前に変化させても、上記のような記憶汎化への影響は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
加齢体で観察される記憶汎化は長期記憶学習後に特異的に生じることを明らかにし、またこの時、長期記憶学習によって形成された記憶痕跡細胞の活動変化がドーパミンシグナル依存性に抑制されることが原因となっていることを、薬理学、行動遺伝学、組織染色を用いて示した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)記憶痕跡細胞の活動変化の抑制は、ドーパミンシグナル依存性であることを明らかにしたが、どのドーパミン受容体によって引き起こされるかを明らかにする。また、(2)記憶痕跡細胞の学習後の活動変化は何を引き起こすことで、記憶汎化を抑制しているのか、その詳細について知るため、記憶痕跡細胞の下流神経細胞を同定する。予備実験により、記憶痕跡細胞を含むキノコ体とシナプスする特異的な神経細胞が記憶痕跡細胞に対し、フィードバックを行い、記憶汎化を抑制していることを示唆する結果を得ている。
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