カエデチョウ科を中心とする鳥類の目の顕著性進化に関わる種間比較および行動学的検討
Project/Area Number |
20K06809
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 45040:Ecology and environment-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
相馬 雅代 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (00578875)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2020: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 性的信号 / 鳴禽類 / 顔 / 性淘汰 / 進化 / 眼状紋 / 鳥類 / 視覚信号 |
Outline of Research at the Start |
鳥類の見た目の多様性の進化について,特に顔(目)付近に着目し,種間比較と種内行動学アプローチを併用して検討をおこなう.具体的には,虹彩色・eye ring (目のすぐきわの裸出した皮膚)・目の周りの羽の色という3つの特徴の組み合わせで,目が非常に目立つ種もあれば,どこに目があるかわからないような種もある.この多様性や性差に着目し,種間比較によってその進化要因を解明する.また,eye ringの顕著性がすでに示唆されている鳥種を用いて,eye ringの性的信号としての機能を検討する.目の顕著性の進化に着目し,生態学のさまざまな事象と関連する「目のような模様」に対する根本的な理解に寄与する.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,鳥類の目付近の形態が示す特徴の多様性に焦点をあて,その視覚信号としての進化要因解明を目指している.これまで,形態形質自体に着目し,種内および種間変異を検討してきた.これを発展させてきたのに加え,本年度は,視覚系の果たす役割についても,種間比較と行動実験の両面から検討をおこなった.一般に,視覚信号の進化は,視覚情報処理や視覚的注意と切り離すことができない問題である.この観点から以下のような研究成果を得ている. (1) 視覚の側方性 本課題の研究対象でるカエデチョウ科鳥類は,顔から体側にかけてしばしば模様を持ち,これらが雌雄が隣同士に並び立っておこなう求愛において重要な役割をになっていることがすでに指摘されている.また,鳥類は視覚情報処理において,左右での機能局在が著しく,求愛にも片側の目(視野)を使う傾向が高い(利き目が存在する)ことはよく知られている.一方で,求愛に左右どちらの目を使うかに関しては,異なる分類群で真逆の報告がなされており,スズメ目あるいはカエデチョウ科は,鳥類の中では特異な性質を示す可能性が高い.それがなぜであるのか,進化と機能の観点から解析をおこなった. (2) 視覚的注意 特定の模様特徴が視覚信号として機能しているならば,その特性だけを抽出した抽象的な視覚刺激に対しても,鳥は視覚的注意を向ける可能性がある.そこで,抽象的な模様呈示による注視実験をおこない,選好注視による刺激弁別および選好の定量により成果を得た. 以上の結果は,いずれも論文および学会発表として年度内に発表済みである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の2本柱であった,(1)種間比較アプローチおよび(2)行動学アプローチともに,どちらも,予定通りに研究を遂行している.また,研究計画の際にはあまり考慮できなかった視覚系の関与についても解析を加えられたという点と,それらを順調に研究発表に結びつけられているという点で順調であるとみなしてよい,と考える.
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Strategy for Future Research Activity |
本課題最終年度にあたって,これまでまだ発表できていないデータの解析,学会発表,投稿に注力すべきだと考える.特に,本課題は開始とコロナ禍とが重複しており,国際学会(対面)での発表や,国外での標本調査などの機会を逸しており,これらをできるだけ補うかたちで研究を進捗させたい.
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Report
(2 results)
Research Products
(14 results)