2種類の方位選択性網膜神経節細胞の機能における差異の同定を目指して
Project/Area Number |
20K06900
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 46020:Anatomy and histopathology of nervous system-related
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
星 秀夫 東邦大学, 医学部, 講師 (30568382)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
狩野 修 東邦大学, 医学部, 教授 (20459762)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 網膜 / ギャップ結合 / 局所神経回路 / 網膜神経節細胞 / 双極細胞 / アマクリン細胞 / 方位選択性 |
Outline of Research at the Start |
申請者は最近、新たな網膜神経節細胞(RGC)を発見し、そのRGC とつながる局所神経回路も形態学的に明らかにした。しかし、その視覚機能はまだ明らかではない。このRGC の樹状突起が作り出す領域(樹状領域)は、網膜内のどの場所でも、大きな楕円形を示し、かつ全てが同じ傾きを示していたため、方位選択性を示すと予想している。さらにこの大きな楕円形のRGCとは形態が全く異なる、別の小さな樹状領域を持つRGC からも、同様の方位選択性 を示す所見を得ている。そこで本研究では、「これら2種類のRGC が、方位選択性という視覚機能において、どのように使い分けされているのか?」という疑問を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
私たちが目にしている様々な情報(視覚情報)は、受容器である網膜が受け取り、網膜内の局所神経回路で処理される。その処理結果が、網膜の出力細胞である網膜神経節細胞(RGC)から活動電位というかたちで大脳視覚野に送られる。つまり、脳は網膜で作られた活動電位のパターンの違いを読み取ることで、私たちが見ている様々な視覚情報を再構築していると考えられている。RGCには、グルタミン酸受容体を介して双極細胞が興奮性入力し、GABAやグリシン受容体を介してアマクリン細胞が抑制性入力する。興奮性入力と抑制性入力のバランスにより、RGCの活動電位パターンが決定する。RGC、双極細胞、アマクリン細胞はそれぞれ複数のサブタイプが存在し、サブタイプごとに異なる入力を受ける。そのため、各RGCの活動電位パターンを含めた機能を明らかにするためには、まずそのRGCと直接シナプス結合する双極細胞とアマクリン細胞について、つまり局所神経回路の理解が必要となる。私たちは、キンギョで2種類の方位選択性RGCの所見を得た。そこで、それらの違いを明らかにするために、それぞれのRGCが作り出す局所神経回路を形態学的に明らかにすることを目的としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナの影響による授業スタイルの大幅変更、研究に必要な抗体の確保、顕微鏡周辺部品の確保が困難な状況が続いた。そのためR3年度も研究時間が大幅に減少したため、研究が遅れている。R3年度は、限られた時間でできる目的の神経節細胞と局所神経回路を作り出す双極細胞の共焦点顕微鏡を用いた形態学実験とその解析を中心に研究を行った。本研究結果は、メイン研究からの派生実験として別論文にしたいと考えている。 本研究では、まず私たちが発見したRGCに興奮性入力するON型双極細胞(Mb1)に注目した。既に私たちは、Mb1がこのRGCに入力すること知見を得ている(Hoshi and Sato, 2018, J Comp Neurol)。このMb1とは、通常のシナプス結合とは異なる、異所性のシナプス結合様式をとっていることを示唆した。このMb1は、隣接するMb1と樹状突起間でギャップ結合を介してつながっていることが既に報告されているが、対極の軸索末端ではつながっていないということが電気生理学実験により報告されている。しかし、Mb1の軸索末端間の距離は網膜部位によって変化する。そこで、Mb1の軸索末端部周辺の構造を共焦点顕微鏡で解析した。隣接するMb1の軸索末端同士が、非常に近接してつながっているような光顕像を得た。そこで数種の抗体を用いて、その結合様式を詳細に解析している。さらに、生理的条件を変えて、この結合様式がどのように変化するのかを解析している。注目するRGCに入力する双極細胞の結合様式が、生理的条件の違いで変化するのであれば、それとシナプス結合するRGCの機能が変化することが推測される。 また、本年度から研究分担者として東邦大学大森医療センター神経内科の狩野修氏に参画していただき、本研究と臨床との橋渡し研究を検討している。2021年度、狩野氏との日本語総説を執筆し、2022年度出版予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
R4年度は、R3年度の双極細胞の形態学アプローチによる継続実験と、方位選択性を持つ2種類の神経節細胞を用いた電気生理学実験を行う。双極細胞の形態学実験は、メイン研究からの派生実験として、単独の論文作成を行う予定である。ここでは、新しい結合様式が生理的条件によってどのように変化するのかを明らかにする。そして、さらにいくつかのシナプス関連抗体を用いて、結合様式の詳細を明らかにする。現在、いくつかの結合様式を示す所見が得られているため、それらのパターンを分類する予定である。また、電気生理学実験では、ドーパミンD1受容体のアゴニスト・アンタゴニストを用いた薬物実験や、局所回路内の双極細胞と神経節細胞の2細胞記録を予定している。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)