An implication of transporter-mediated regulation of brain PG concentration for mental diseases
Project/Area Number |
20K07018
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 47030:Pharmaceutical hygiene and biochemistry-related
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
中西 猛夫 高崎健康福祉大学, 薬学部, 教授 (30541742)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | プロスタグランジン / トランスポーター / 膜輸送体 / 中枢神経系 / 炎症 / うつ / うつ病 / SLCO2A1 |
Outline of Research at the Start |
炎症により増加する脂質メディエータであるプロスタグランジン(PG)はうつ病等の精神疾患と関連するが、脳内におけるPGの濃度調節機構には不明な点が多い。応募者は、脳内で細胞からのPG分泌に膜輸送体が関わることを見出した。脳内には複数のPG輸送体が発現することから、本研究課題は、中枢神経系においてPGの膜透過性を左右する膜輸送体を同定し、それらの分子によるPG濃度調節機構と情動に関わるPGの作用との関係を解明することを目的とする。本研究成果は、PG膜輸送体とうつ病との関係に新規知見を与え、その治療法の応用開発に繋がる。
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Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、マウス腹腔内にリポ多糖(LPS)を投与した炎症モデルにおいて、プロスタグランジン(PG)類を輸送する膜輸送体SLCO2A1が脳機能に重要な働きを果すPGE2やPGD2の脳間質液中濃度を調節することを実証した。このようなPG動態調節機構の破綻が情動行動に及ぼす影響を個体レベルで評価するために、令和4年度はSlco2a1KOマウスを用いたオープンフィールド(OF)試験および強制水泳(FS)試験を実施した。OF試験において生理的条件下では、野生型(WT)群とヘテロKO群間で自発行動量には変化はみられなかったが、ホモKO群では自発的な運動量が低下した。さらに、LPSを投与したホモKO群の移動距離の総和は対照群の約1/3まで減少し、有意差(p=0.007)を認めた。一方、FS試験ではいずれの条件下でもWT群とヘテロまたはホモKO群間で、うつ様行動の指標となる無動時間に有意な差は認められなかった。LPS投与時にKOマウスの血中PGE2濃度が顕著に増加することを考慮すると、SLCO2A1は中枢神経系や全身のPGE2動態を制御し炎症時の自発行動や不安様行動などに関わることが示唆された。
さらに、SLCO2A1に加えPG類を認識する複数の膜輸送体が存在することから脳実質におけるPG類動態制御機構を解明するため、ミクログリア(MG6)とNGFで神経様細胞に分化させたPC12細胞との共培養系でPG類を介した細胞ネットワークにおけるこれら輸送体の役割を現在検討中である。分化したPG12細胞でPG産生酵素COX1/2及び膜輸送体Slco2a1、Slco2b1、Abcc4のmRNA発現を確認した。さらに、中枢神経系でPGE2動態制御に関わる排出型膜輸送体Abcc4の機能解析を実施するためにCRSPR/Cas9によりMrp4欠損マウスを作出し、自家繁殖のための近交系コロニーを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
PG膜輸送体の同定と膜透過機構について、対象とするPG膜輸送体の脳実質組織における発現を指標にin vitroで使用可能な細胞を主体とするモデルの構築を行っているが、in vivoおよびin vivo間で膜輸送体遺伝子の発現プロファイルが必ずしも一致せず、PG類の細胞間ネットワークに果たす膜輸送体の解析が進んでいない。令和4年度に検討を開始したPC12及びミクログリア(MG6)の共培養系で少なくとも、SLCO2A1、SLCO2B1およびABCC4の発現が確かめられたことから、今後本モデルを用いて膜輸送体機能解析を進める予定である。ただし、PC12の分化条件により膜輸送体の発現量が変化するため詳細な分化条件を検討する必要がある。
SLCO2A1が及ぼす神経細胞への影響についてはBDNF-Luc Tg を用いて解析する予定であるが、現在Slco2a1KOマウスの離乳率(繁殖効率)が低く、Slco2a1を欠損BDNF-Luc Tg作出に時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの実験結果により、PGE2およびPGD2の脳内動態/分布調節に少なくともSLCO2A1が関与すること、OF試験においてSlco2a1KOマウスにおいて自発行動量が低下することなどが明らかになりつつある。しかし、PGE2やPGD2がミクログリア、アストロサイト、神経細胞などの脳実質細胞で合成された後どのように利用されるのか、そしてどのような経路で消失するのかなど、PG類の動態及びその調節因子は明確になっていないため、SLCO2A1によるPG類調節機序の生理的重要性(すなわちSLCO2A1の寄与)を理解することが難しい。したがって、脳実質における細胞間でのPGのやり取りを再現できる適切なモデルを構築し、SLCO2A1以外のPG輸送体分子の役割についても知見を得る必要がある。さらに、本研究成果により作出されたAbcc4 KOマウスや作製予定のSlco2a1を欠損したBDNF-Luc Tgマウスを利用して、PGE2の動態を調節する膜輸送体が神経細胞へ及ぼす影響を分子及び個体レベルで解析することで、脳内のPG動態制御調節機構とその破綻がもたらす情動や精神疾患への影響について考察し、現在でも不明な点が多く残されているうつの病態解明につながる生命現象の発見とその理解に努める。膜輸送体が情動行動やうつ様状態と深く関わる場合、PGE2はEP受容体を介するシグナルにより様々な遺伝子の発現を調節するため、脳内脂質代謝物の変化についても追究する。
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Report
(3 results)
Research Products
(13 results)