Pathological significance of K+ channel regulation in tumor microenvironment
Project/Area Number |
20K07071
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 47040:Pharmacology-related
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
大矢 進 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (70275147)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鬼頭 宏彰 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (40749181)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | カリウムチャネル / がんスフェロイド / 抗がん剤耐性 / ABCトランスポーター / cytochrome P450 / がん幹細胞 / アンドロゲン受容体 / 腫瘍微小環境 / スフェロイド培養 |
Outline of Research at the Start |
研究代表者は、①腫瘍微小環境における低酸素シグナルによるKCaチャネルの発現・活性の変動が、がん幹細胞化、抗がん剤耐性獲得などのがん悪性化に関与するのではないか、②腫瘍微小環境におけるがん免疫監視システムの維持にKCaチャネルが重要な役割を果たすのではないかという問いに辿りついた。本研究では、3Dスフェロイド培養システムにより腫瘍微小環境での、がん悪性化およびがん免疫監視システム脆弱化に関与するがん細胞とがん周辺細胞におけるKCaチャネルの病態的意義を解明し、KCaチャネルの悪性がん治療薬の標的としての潜在性を示す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、三次元(3D)スフェロイド培養システムを用いてin vitroで再現した腫瘍微小環境でのがん幹細胞能および抗がん剤耐性能の獲得におけるカルシウム活性化カリウムチャネル(KCaチャネル)の病態生理学的意義を解明し、KCaチャネル作用薬の悪性がん治療薬としての潜在性を示すことである。また、がん幹細胞化に着目した研究では、腫瘍再構成(再燃)に関するKCaチャネル阻害薬の潜在性を明らかにする。さらに、腫瘍微小環境でのがん免疫監視システムの破綻におけるK+自身やKCaチャネルの役割を解明することも目的とする。 本年度は研究実施計画のうち、①KCaチャネル阻害による抗がん剤耐性能抑制効果の検討と②実験的腫瘍微小環境におけるがん関連非がん細胞の機能変化とKCaチャネル作用薬の検討を実施した。研究実施計画①では、KCa1.1チャネルが発現する3種類のヒトがん細胞株スフェロイド培養モデルを用いて、KCa1.1阻害薬の処置によるドキソルビシン(DOX)耐性克服の新規メカニズムの解明に挑み、薬物代謝酵素のcytochrome P450うち、KCa1.1阻害薬によるCYP3A4の発現減少が関与することを見出した(現在投稿準備中)現在、KCa1.1阻害による下流シグナル経路を同定している。また、研究実施計画②では、がん随伴性マクロファージと同様のマーカーを発現するM2様マクロファージにおいて、KCa3.1活性化薬によりIL-8やIL-10の発現・産生が抑制されることを明らかにした。腫瘍微小環境における高カリウム条件で生じたIL-8とIL-10の発現・産生の増加もKCa3.1活性化薬により有意に抑制された。シグナル経路の解析により、ERK-CREBおよびJNK-c-Jun経路が関与することも明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ヒト前立腺がんLNCaP細胞株、ヒト骨肉腫細胞株MG-63、およびヒト軟骨肉腫SW-1353細胞株の3Dスフェロイド培養モデルを用いて、KCa1.1阻害による抗がん剤耐性克服の新規メカニズムについて検討し、次の①~③を明らかにした。①DOX耐性を獲得した3つのスフェロイドモデルにおいて、CYP3A4の発現がいずれも亢進していた。②KCa1.1阻害薬の処置により、CYP3A4の転写は有意に抑制された。③KCa1.1阻害によるCYP3A4の転写抑制にはAktシグナル経路が関与する可能性が示唆された。また、M2様マクロファージを用いて、KCa3.1阻害薬や活性化薬によるサイトカイン、ケモカイン、成長因子発現調節について検討し、次の①~③を明らかにした。①M2様マクロファージにおいて、KCa3.1活性化薬処理により、IL-8およびIL-10の発現が有意に抑制された。②M2様マクロファージにおいて、高カリウム環境によりIL-8とIL-10の発現が亢進し、KCa3.1活性化薬はそれを抑制した。③M2様マクロファージにおいて、KCa3.1活性化薬処置により、ERKとJNKのリン酸化が抑制され、ERK阻害薬とJNK阻害薬によりIL-8とIL-10の転写が抑制された。 本研究成果は、第96回日本薬理学会年会(公募シンポジウム)、第51回日本免疫学会学術集会、および第81回日本癌学会学術総会で発表するとともに、学術雑誌International Journal of Molecular Sciencesに発表した[研究発表(令和4年度の研究成果)参照]。以上より、研究計実施計画をほぼ達成しており、本研究は全体としては「おおむね順調に進展している。」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
①3DスフェロイドXenograft担がんモデルマウスを用いたKCaチャネル阻害薬のin vivo解析(担当:大矢、鬼頭、遠藤):ルシフェラーゼを恒常的に発現するがんスフェロイドを用いて担がんモデルマウスを作製し、抗がん剤耐性を獲得することを確認した後、抗がん剤単独投与と抗がん剤とKCaチャネル阻害薬の併用(全身投与または腫瘍内投与)による腫瘍重量に対する効果を検討する。同様に、生体発光イメージングシステムを用いてがん転移阻害効果をin vivoでリアルタイムイメージング解析する。KCaチャネル阻害薬の長期投与による副作用について、血液検査等によりモニターする。 ②実験的腫瘍微小環境におけるがん細胞および非がん細胞の機能変化とKCaチャネル作用薬の効果(大矢、梶栗、研究員):ヒトIL-10産生制御性T細胞、分化誘導したM2マクロファージおよび骨髄由来抑制細胞を低酸素環境または高カリウム環境に暴露させ、KCaチャネル機能・発現の変動について検討する。また、KCaチャネル阻害薬・活性化薬投与によるがん細胞の増殖、浸潤を促進する様々なサイトカイン、ケモカイン、成長因子の発現・産生への効果をリアルタイムPCR解析、フローサイトメーター解析、 ELISAを用いて検討する。また、KCaチャネル阻害薬処置したがんスフェロイドを利用して、遺伝子およびタンパクレベルでの網羅的発現解析により変動した分子群を同定し、パスウェイ解析によりがんスフェロイドにおけるKCaチャネルのネットワーク情報を充実化し、KCaチャネルを標的としたがん治療のモジュール創薬を考案する。がん関連データベースを利用した研究も実施する。
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Report
(3 results)
Research Products
(37 results)