ドラッグ・リポジショニングを活用した大腸がん化学療法に伴う有害事象の回避法の確立
Project/Area Number |
20K07198
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 47060:Clinical pharmacy-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川尻 雄大 九州大学, 薬学研究院, 助教 (30621685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 大介 九州大学, 薬学研究院, 講師 (00403973)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | 抗がん薬 / 末梢神経障害 / 手足症候群 / オキサリプラチン / カペシタビン / ドラッグ・リポジショニング / プロトンポンプ阻害薬 / がん化学療法 / 支持療法 |
Outline of Research at the Start |
大腸がんの抗がん薬治療の有害事象である末梢神経障害・手足症候群は十分な対応策が確立していない。オキサリプラチンによる末梢神経障害およびカペシタビンによる手足症候群に関して、有効な治療薬・抑制薬を探索することを目的とする。ドラッグリポジショニング(既存の医薬品の中から新たな薬効を同定し応用すること)の手法により、培養細胞や動物モデルを用いた発現メカニズムを標的とした予防・治療薬の探索と、医薬品有害事象データベースを基盤とした予防・治療薬の探索を行う。基礎研究において、末梢神経障害および手足症候群に対して抑制効果を示した薬剤に関しては、臨床後方視的研究においてヒトにおける抑制効果も実証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2021年度までに、オキサリプラチンの末梢神経障害に対しては対症療法薬の候補として疎経活血湯が、予防薬の候補としてアミノ酸製剤シスチン・テアニンおよびプロトンポンプ阻害薬が、カペシタビンの手足症候群に対しても、オメプラゾールなどのプロトンポンプ阻害薬が抑制効果を有する可能性が、それぞれ基礎研究と医療情報データベースの解析で明らかとなっている。 2022年度は、主にプロトンポンプ阻害薬のオキサリプラチン誘発末梢神経障害に対する抑制作用についての臨床調査研究を進めた。目標患者1000例に対して、2009年1月から2019年12月までに九州大学病院においてオキサリプラチンの投与を開始した1180名の患者のカルテ情報を収集し、中間解析を行った。末梢神経障害の発現や末梢神経障害によるオキサリプラチン中止と累積投与量とのそれぞれの関係についてKaplan-Meier曲線を作成し、末梢神経障害に影響を与えると報告されている年齢、性別、治療レジメンなどの因子を多変量として組み込んだCox比例ハザード分析を行った。その結果、プロトンポンプ阻害薬の併用群においてany gradeの末梢神経障害の発現(ハザード比[95%CI]=0.786[0.658-0.939]、P=0.008)および末梢神経障害によるオキサリプラチンの中止(ハザード比[95%CI]=0.569[0.350-0.925]、P=0.023)が有意に少ないことが明らかとなった。また、プロトンポンプ阻害薬の種類ごとに解析を行うと、オメプラゾール及びエソメプラゾール併用患者において、末梢神経障害の発現やそれによる治療中止が顕著に少なかった。以上のように、臨床においても、プロトンポンプ阻害薬がオキサリプラチンによる末梢神経障害に対して抑制効果を示す可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大腸がんの化学療法の有害事象のうち、カペシタビンの手足症候群に対してプロトンポンプ阻害薬が抑制効果を有する可能性が基礎研究と医療情報データベースの解析で明らかとなっている。また、オキサリプラチンの末梢神経障害に対しては、対症療法薬の候補として疎経活血湯が、予防薬の候補としてアミノ酸製剤シスチン・テアニン、プロトンポンプ阻害薬がそれぞれ基礎研究で同定された。プロトンポンプ阻害薬については、医療情報データベースの解析においても、オキサリプラチン末梢神経障害の報告を少なくする可能性が示された。さらに、プロトンポンプ阻害薬は、臨床における後方視的研究の中間解析においても、オキサリプラチンの末梢神経障害の発現や末梢神経障害による治療中止を有意に抑制していることも明らかとなった。これらの成果はすでに論文7報や学会等で公表している。 これらの状況を鑑みると、予定していた計画と比較しても概ね順調に進行していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度まで概ね計画通り進行しているため、2023年度も当初の経過通り、研究を推進する方針である。引き続き、オキサリプラチンの末梢神経障害に関しては、動物・細胞モデルをもちいた神経障害の発現メカニズムの解明とそのメカニズムに基づいた改善薬の探索を行う。同時に、臨床における診療録の後方視的調査研究を継続を行い、臨床的エビデンスの構築を行う。最新の報告や臨床状況の変化等も反映しながら、適宜軌道修正をしながら進行していく予定である。
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Report
(3 results)
Research Products
(15 results)