透過イオンの「流れ」に依存するチャネルブロックの分子内機構の解明
Project/Area Number |
20K07283
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 48020:Physiology-related
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
柳 圭子 (石原圭子) 久留米大学, 医学部, 准教授 (70265990)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
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Keywords | イオンチャネル / カリウムチャネル / 内向き整流性 / 電位依存性ブロック / pH / プロトン / ポリアミン / 電位依存性 / ナトリウムイオン / 電気生理学 |
Outline of Research at the Start |
Kir2は心筋の静止電位を決める重要な内向き整流性K+チャネルであり、そのK+透過性は活動電位が生じると瞬時に失われて心筋収縮に必要な長い脱分極が作られる。これは細胞内の陽イオン性有機分子であるポリアミンが静電的作用によってチャネルに進入してK+透過をブロックするためだとされるが、ブロックが生じる電位域は細胞外(血清)K+濃度の変化に応じてK+の平衡電位と共に移動する。これは生理学的に重要な性質であるがその理由は分かっていない。本研究はポリアミンによるブロックがあたかもチャネルを透過するK+の流れによって制御されるかのごとく振舞うメカニズムを電気生理学的な手法によって解明することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
内向き整流性カリウムイオン(K+)チャネルの活性化(開口)は細胞膜内外のK+の電気化学ポテンシャル勾配に依存するため、このチャネルはあたかもダイオードのように常に一方向にしか電流(K+)を通さない(強い内向き整流性)。チャネルの活性化―脱活性化は細胞内に存在する有機分子であるポリアミンやMg2+などの多価陽イオンによるチャネル孔のブロックとその開放を反映すると考えられるが、これがK+の電気化学ポテンシャル勾配に依存するメカニズムはよく分かっていない。本研究事業においてわれわれはすでに多価陽イオンによって生じる急峻な電位依存性を示す時間依存性ブロックは細胞内K+によって駆動され、一価陽イオンのNa+やLi+よって瞬時に生じる緩やかな電位依存性を示すブロックは細胞内K+と競合することを見出した。さらに令和4年度は新たに細胞内の水素イオン(H+;pH)の作用を詳細に解析して、細胞内液を酸性化させるとH+が極めて遅い時間経過で急峻な電位依存性をもってチャネルをブロックすることを見出した。チャネルの大きな細胞質領域内面にある負電荷を除去する変異によってH+の作用は強くなったが、細胞膜領域の中心腔にある負電荷を除去する変異によってH+によるブロックは生じなくなったことから、H+は細胞質領域のK+と競合しつつ細胞内液側から中心腔に侵入し、そこにある負電荷との静電的作用によってK+の流れをブロックすると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度の途中まではポリアミン分子が有する炭化水素鎖とチャネルとの相互作用を調べる目的でビスアミンやモノアミンを用いた実験を行っていたが、これらの分子は空気中の二酸化炭素と反応して劣化するために実験が思うように進まなかった。一方で細胞内H+の作用に関して得られた知見は同じく一価の陽イオンであるNa+やLi+を用いた実験から得た結果とは異なっており、ポリアミン分子における炭化水素鎖とチャネル内面との疎水的相互作用無しにNa+やLi+よりもさらに小さなH+がチャネルの奥深く侵入して強い内向き整流性を引き起こし得ることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度に細胞内H+の作用を解析して得られた知見は、同じく一価の陽イオンであるNa+やLi+を用いた実験から得た結果とは異なっており、Na+やLi+よりもさらに小さなH+がチャネルの奥深く侵入して強い内向き整流性を引き起こし得ることが明らかになった。さらなるチャネルブロックのメカニズムの解明にはH+自身の電気化学ポテンシャル勾配の関与やH+とK+の競合に関して実験を追加する必要が出てきた。
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Report
(3 results)
Research Products
(3 results)