自己免疫寛容を誘導する胸腺上皮細胞の分化・維持機構の解明
Project/Area Number |
20K07332
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 48040:Medical biochemistry-related
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
秋山 伸子 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 上級研究員 (60342739)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
|
Keywords | 免疫寛容 / 胸腺上皮細胞 / 自己免疫寛容 |
Outline of Research at the Start |
胸腺の髄質に局在する上皮細胞(髄質上皮細胞;mTEC)は自己免疫疾患の発症抑制に必須である。しかし、その分化・維持機構については十分に解明されていない。申請者らはこれまでに、mTEC の分化に必須な TNF レセプターファミリー RANK の発現を指標に、胎仔期において mTEC に特化して分化する前駆細胞を同定した(J Exp Med. 2016)。一方、成体における mTEC の維持機構については、実体は明らかでない。本研究課題は、成体における mTEC 前駆細胞を同定し、その細胞の特性を解析することにより、mTEC の分化・維持機構の解明を目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
自己免疫疾患の治療や予防には、その発症機構を理解することが重要である。胸腺の髄質に局在する上皮細胞(髄質上皮細胞;mTEC)は自己免疫疾患の発症抑制に必須である。しかし、その分化・維持機構については十分に解明されていない。我々はこれまでに、mTEC の分化に必須な TNF レセプターファミリー RANK の発現を指標に、胎仔期において mTEC に特化して分化する前駆細胞を同定した(J Exp Med. 2016, 213:1441)。一方、成体における mTEC の維持機構については、実体は明らかでない。本研究課題は、成体における mTEC 前駆細胞を同定し、その細胞の特性を解析することにより、mTEC の分化・維持機構の解明を目指す。 我々はTNF レセプターファミリー RANK と CD40の両シグナルについて成体期で一時的に遮断したマウスから、mTEC 前駆細胞候補と考えられる細胞集団を得た。この新規細胞群を 成体 mTEC 前駆細胞候補とし、採取してシングルセル発現解析を行った。成体 mTEC 前駆細胞を採取する目的で、そのクラスター特異的に発現の高い細胞表面タンパク質を探索した。その結果、この新規細胞群において特異的に発現の高い遺伝子の一つとして X を同定した。そこで X のレポーターマウスを導入し、FACS 解析を行なった。その結果、胸腺上皮細胞のうちおよそ 3 割の細胞が X を発現していた。予想通り、成熟 mTEChi にはほとんど発現しておらず、cTECおよび未分化の集団 mTEClo で発現が高いことが分かった。この結果は、X がmTEC 前駆細胞で発現が高い可能性を示している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規細胞群において特異的に発現の高い遺伝子の一つとして X を同定した。そこで X のレポーターマウスを導入し、FACS 解析を行なった。その結果、胸腺上皮細胞のうちおよそ 3 割の細胞が X を発現していた。予想通り、成熟 mTEChi にはほとんど発現しておらず、cTECおよび未分化の集団 mTEClo で発現が高いことが分かった。この結果は、X がmTEC 前駆細胞で発現が高い可能性を示している。現在、免疫染色によりXの局在を検討しているが、これまで知られているmTECマーカー分子とは全く異なる局在をしており、新しい情報を提供する可能性を秘めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
計画1) 成体mTEC前駆細胞候補の自己免疫寛容誘導能を検証する。成体mTEC前駆細胞候補を分取し、胸腺髄質上皮細胞が分化しない aly/aly マウス胎児胸腺との胸腺再構成実験を行い、再構成した胸腺をヌードマウスに移植する。Aly/aly マウスの胎仔胸腺だけを移植したヌードマウスは自己免疫となるが、mTEC前駆細胞候補が、機能的な mTEC に分化した場合には自己免疫は抑制される。 計画2) 成体 mTEC 前駆細胞候補の維持を制御する機構を同定する。成体 mTEC 前駆細胞候補の特性や維持機構を解明するために、前駆細胞候補で選択的に高く(あるいは低く)発現する転写制御因子やシグナルレセプターを探索する。さらに選択的に発現する遺伝子の Gene ontology 解析、プロモーター解析、レギュロン解析も考慮し、mTEC 前駆細胞を維持する因子やシグナルの候補を決定する。ついで、候補となった因子あるいは候補シグナルに必須な因子を欠損するマウスの mTEC 分化をフローサイトメーターと免疫組織染色を検討し、成体 mTEC 分化における必要性を明らかにする。 計画3) 1 細胞移植により成体mTEC前駆細胞の幹細胞性を検証する。成体 mTEC 前駆細胞が幹細胞であるのかを検証するために、1 細胞の移植実験を行う。mTEC 前駆細胞をセルソーターで分取後、単一細胞をマイクロインジェクションにより、胎仔胸腺に移植する。前駆細胞が幹細胞としての性質を持つ場合、1 細胞から、全ての mTECに分化すると予想され、免疫組織染色とシングルセル遺伝子発現解析により検証する。
|
Report
(3 results)
Research Products
(9 results)
-
-
-
-
[Journal Article] ntegrative analysis of scRNAs-seq and scATAC-seq revealed transit-amplifying thymic epithelial cells expressing autoimmune regulator2022
Author(s)
T Miyao, M Miyauchi, S. T Kelly, T W. Terooatea, T Ishikawa, E Oh, S Hirai, K Horie, Y Takakura, H Ohki, M Hayama, Y Maruyama, T Seki, H Yabukami, M Yoshida, A Inoue, A Sakaue- Sawano, A Miyawaki, M Muratani, A Minoda, N Akiyama, T Akiyama
-
Journal Title
eLife
Volume: in press
Pages: 1-16
Related Report
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
-
-
-
-
-