Project/Area Number |
20K07374
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49020:Human pathology-related
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
長田 佳子 鳥取大学, 医学部, 講師 (50304209)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | Epstein-Barrウイルス (EBV) / 再活性化 / 抗体産生 / バセドウ病 / 自己免疫疾患 / TSHレセプター抗体 (TRAb) / IgM抗体 / Epstein-Barr ウイルス(EBV) / TSHレセプター抗体(TRAb) / TSHレセプター抗体 / Epstein-Barr ウイルス (EBV) / Epstein-Barr virus |
Outline of Research at the Start |
EBウイルスは、抗体産生細胞に分化するBリンパ球に潜伏感染します。私たちはEBウイルスが再活性化するとき、感染しているBリンパ球の抗体産生を刺激することを報告し「EBウイルス再活性化に誘導される抗体産生系」を提唱しています。この系ではIgM抗体が多く産生され、除去されるはずの自己抗体産生細胞がレスキューされて抗体産生してしまいます。私たちはEBウイルス再活性化の抑制による、バセドウ病など自己免疫疾患の抗体産生抑制治療をめざしています。
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Outline of Annual Research Achievements |
Epstein-Barrウイルス(EBV)はほとんどの成人に潜伏感染しているヒトヘルペスウイルスである。主としてB cellに潜伏感染し、その再活性化により宿主B cellの形質細胞への分化と抗体の分泌が誘導される。我々は、胚中心・骨髄を介する抗体産生とは別の抗体産生経路である、EBV再活性化に誘導される抗体産生経路を提唱している。 TSHレセプター抗体 (TRAb) はバセドウ病の原因となる自己抗体である。通常の甲状腺刺激作用のあるTRAbはIgG型だが、我々はEBV再活性化に誘導される抗体産生系によってIgM型のTRAbの産生がおこることを証明した。IgM型のTRAbは甲状腺ホルモン産生シグナルの伝達を行わず、TSH結合阻害も行わないが、補体を介して甲状腺濾胞上皮細胞破壊を行った。 以上の実験はヒトのTSHおよびTRAbを結合できるブタの甲状腺濾胞上皮細胞を用いて行ったが、我々はさらにヒトの甲状腺濾胞上皮細胞を用いて破壊実験を行うため、外科手術標本を用いてヒトの甲状腺濾胞上皮細胞の分離を行った。ヒト細胞を用いることにより、TSHレセプター抗原に加え、その他の甲状腺抗原の流出を証明することができ、バセドウ病と他の自己免疫疾患の合併についての示唆を得ることができる。この甲状腺初代培養細胞の作製は精製度上昇のためさらに改良を加えている。 また我々は、TRAbのIgM型とIgG型の比であるMG ratioがバセドウ病患者の経過予測に利用できるのではないかという仮説について、数例について継続採血によって検討し、増悪の1ヶ月前にMG rastioが上昇するとの結果を得た。 現在までの結果について、第66回日本甲状腺学会学術総会、第52回日本免疫学会学術総会、第97回日本薬理学会年会にて発表した。また第66回日本甲状腺学会学術総会にてヤマサ基礎医学研究助成を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
IgM型のTRAbは甲状腺ホルモン産生シグナルの伝達を行わず、TSH結合阻害も行わないが、補体を介して甲状腺濾胞上皮細胞破壊を行う。今回、ヒト甲状腺濾胞上皮細胞を用いた破壊実験を行うため、甲状腺濾胞上皮細胞の初代培養について、過去の文献をもとに行っていた。しかし、さらに精製度の高い細胞採取の方法が見つかったため、再度サンプルのとり直しを予定している。また破壊実験に用いるIgM型TRAbについて、今まではEBウイルス感染Bリンパ球の培養上清から精製してきていたが、今回HEK293への遺伝子導入によってさらに精製されたTRAb-IgMを作成している。 TRAb-IgMは甲状腺抗原を流出させ、病原性のTRAb-IgGの産生を誘導することが示唆されたため、TRAbのIgM, IgGを患者血清で測定し、その比(MG ratio)がバセドウ病の経過予測に役立つかどうか検討しているが、さらに多人数のサンプルを得るため、採血プロトコールについて検討中である。 また、本年度はフリーザーの故障によりサンプルが失われる事故があり、サンプルの取り直しに時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
TRAb-IgMが補体を介して、甲状腺濾胞上皮細胞を破壊することが示されたことから、濾胞上皮細胞の破壊では、実際にどのような抗原が流出するのか、初代培養ヒト甲状腺濾胞上皮細胞を用いた検討を続ける。さらにTRAb-IgMの投与によって実際にバセドウ病類似の状態を作りだせるのか、ラットを用いた実験を行う。今までの培養上清から精製したTRAb-IgMではin vivo投与は難しかったが、遺伝子導入によるTRAb-IgMではこれが可能となった。MG ratio測定キットについてもさらに多人数での検討を予定している。 EBV再活性化によって産生されるTRAb-IgMの作用がわかったことにより、この作用機序を用いて、新しい創薬につながる可能性が出てきている。また既存薬の効果についても検討を準備している。 EBV再活性化に誘導される抗体産生系は、バセドウ病以外の自己免疫疾患にも関与していると考えられ、他教室、他施設との共同研究も進めていく予定である。
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