AhRによる腫瘍抑制作用とその欠損マウスにおける腫瘍形成メカニズムの解析
Project/Area Number |
20K07437
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49030:Experimental pathology-related
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Research Institution | Research Institute for Clinical Oncology Saitama Cancer Center |
Principal Investigator |
生田 統悟 地方独立行政法人埼玉県立病院機構埼玉県立がんセンター(臨床腫瘍研究所), 臨床腫瘍研究所, 研究員 (00262072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 学 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 重粒子線治療研究部, 上席研究員(定常) (70280740)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | AhR / ileocecal junction / tumorigenesis / IL-1b / Reg3b / Pitx2 / FGFR2 / 大腸がん / Ah receptor / antimicrobial peptide / Lgr5 / Reg3 / 盲腸 / 炎症 / 腫瘍形成 / 食餌成分 / 発がん |
Outline of Research at the Start |
消化管は、口から肛門まで、それぞれの器官が一本の管に連続する。摂取された食物やバクテリアに接する上皮細胞は幹細胞システムにより構築され、その破綻の結果である腫瘍形成過程から、システムの構造が解き明かされてきた。リガンド依存性転写因子であるaryl hydrocarbon receptor (AhR)欠損マウスは、小腸末端と盲腸のつなぎ目付近の限局された場所に腫瘍を自然発生する。この領域は、絨毛を持つ小腸から大腸へと組織の形態が大きく変遷する場である。なぜこの部位に腫瘍が形成されるのか。本研究課題により、AhR欠損マウスの腫瘍形成過程を追跡し、食餌成分によるがん予防メカニズムを解析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2 部位別遺伝子発現の特徴 前年度までの解析により、回腸および盲腸の組織特異的な発現を示す因子が示された。本年度は、これらの因子をマーカーとして用いることにより、AhRKOマウスに生じる腫瘍の位置を特定することを目的として実験をおこなった。 回腸のマーカーとしてReg3bを、盲腸マーカーとしてPitx2およびFGFR2を用いて、腫瘍の免疫染色をおこなった。回腸ー腫瘍ー盲腸の連続性が観察可能な組織切片を作成した。その結果、Reg3bは回腸上皮細胞の非腫瘍部および回盲部に生じた腫瘍の回腸側上皮に検出された。正常な盲腸では、検出されなかった。一方、Pitx2とFGFR2は盲腸の非腫瘍部上皮に検出されたが、腫瘍組織においての染色性は低かった。さらにReg3bの染色は、AhRKOマウス盲腸上皮の一部にも認められた。これらよりAhRKOの回盲部に生じる腫瘍は、回腸から盲腸への移行部であるileocecal junction に位置することが明らかになった。また、AhRKOマウスの盲腸は、Reg3b陽性細胞に転換している可能性が示唆された。 さらにileocecal junctionと腫瘍形成の相関を調べるため、炎症を示す因子の発現を検討した。回腸から盲腸に至る組織をメスを用いて切り取り、上流から1)回腸、2)回盲部境界領域、3)盲腸の区分に採取して、蛋白質またRNAレベルで解析した。AhRKOマウスの組織では、IL-bの発現が回盲部で亢進していることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
腫瘍形成に至る組織レベルの変化や、部位別遺伝子発現の特徴については、おおむね順調に進展してきた。しかしながら、幹細胞の解析に関しては、Lgr5-EGFPとAhRKOの二重変異マウスの出産数が少なく、解析を困難にしている。さらにAhRリガンドによる腫瘍抑制効果については、今年度解析が進まなかったため、上記の区分とした。
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Strategy for Future Research Activity |
回盲部組織に変化が起こる時期をIL-1b等の炎症マーカーを指標に解析する。さらにこれら因子を発現する細胞や組織部位を免疫染色により特定する。異なる上皮組織の接合部位は癌を好発する部位として知られており、発生母地として興味深い性質をもっている。ileocecal junctionをそのような場所として捉え、部位特異的な炎症のみならず、BrdU を用いたlabel-retaining cellの存在を検討したい。
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Report
(3 results)
Research Products
(4 results)