Project/Area Number |
20K07448
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49030:Experimental pathology-related
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
中田 知里 大分大学, 医学部, 客員研究員 (60379625)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
|
Keywords | miR-210 / 腎がん / miR-210 (miR-210-3p) |
Outline of Research at the Start |
代表者は これまでに腎癌の発生・悪性化に関与するmicroRNAの同定を目的とした網羅的発現解析を行い、miR-210が腎淡明細胞癌において特徴的に発現上昇することを発見した。さらにこれが責任遺伝子VHL不活化によるVHL-HIF1α経路の脱制御によることから、miR-210は腎癌の発症・悪性化に関与していると考えた。そこで 近位尿細管特異的にmiR-210を発現する遺伝子改変マウスを作製したところ、尿細管上皮の増殖亢進が認められた。本研究ではmiR-210過剰発現によると考えられる尿細管上皮増殖に関与する分子あるいはシグナル/代謝経路を同定し、これを標的とした新規治療法の確立を目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
尿細管上皮細胞の増殖・分化メカニズム解明を目指すにあたり、R4年度に新たな実験モデルとしてzVHL-KOおよびdre-mir-210-KOゼブラフィッシュを樹立している。今年度、これらを交配しダブルKOを得て、表現型の観察を開始した。 受精後8日目までにVHL-KOとダブルKOにおいて浮腫が観察され、ダブルKOにおいて浮腫がより強い傾向があった。浮腫の出現は腎機能低下を示唆しており、miR-210欠失は腎機能に影響を与えうると考えられた。また浮腫が強くなるにつれて組織中の乳酸量が増加した。これは解糖系が亢進していることを示しており、miR-210欠失がミトコンドリアのエネルギー代謝に影響を及ぼしたと考えられた。 また、受精後8日目の稚魚について電子顕微鏡により尿細管上皮細胞を観察すると、浮腫が強い個体では尿細管上皮の壊死が観察された。微絨毛の消失、ミトコンドリアの減少が認められ、管腔には円柱様のものが認められた。このような個体はほぼダブルKOであり、miR-210欠失が尿細管上皮への障害を増悪していると考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新たに実験モデルとして追加したゼブラフィッシュについて、昨年度樹立したzVHL-KOとdre-mir-210-KOを交配し、ダブルKOの表現型の観察を開始した。ダブルKOにおいて、zVHL-KOに比べて浮腫などの表現型が増悪される傾向があった。電子顕微鏡による尿細管上皮細胞の微細構造の観察、網羅的発現解析、GC-MS/MSによる代謝産物の網羅的解析を実施し、これらの結果からダブルKOにおける表現型の増悪を説明できるシグナル経路、代謝経路があるのか変動しているものを検索している。 今年度の計画は順調に進んだ。しかしR3年度において、大学による改修工事に伴って所属講座の実験室が閉鎖となり、実施可能な実験が制限されるなど実験を実施する時間が著しく減ったことから、全体の計画としてはやや遅れが出ている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は、VHL-HIF-miR-210経路において、miR-210が欠失することによる表現型の一端を見つけることができた。また網羅的発現解析、GC-MS/MSによる代謝産物の網羅的解析を実施した。 今後は、これら網羅的解析のデータを用いて、表現型を説明できるような変動がみられているのかを検討する。また、近位尿細管上皮細胞の分化や増殖に変化がみられるか、ネフロンマーカーを発現するCdh17-GFPゼブラフィッシュとの交配や、分化マーカーや増殖マーカーの免疫染色により調べる。また、網羅的解析において変動したシグナル経路、代謝経路について、作動薬や阻害剤を用いて表現型が軽減される、あるいは増悪するなどの変化がみられるか調べる予定である。
|