Project/Area Number |
20K07502
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 49050:Bacteriology-related
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
西山 宗一郎 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 准教授 (30343651)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 走化性 / 偏性嫌気性菌 / スポロゲネス菌 / ボツリヌス菌 / 走化性受容体 / クロストリジウム属細菌 |
Outline of Research at the Start |
ボツリヌス菌は世界最強とも言われる強力な神経毒を産生する食中毒菌である.この菌は酸素を嫌う偏性嫌気性菌であり運動性を示すが,走化性能(栄養物質を検知してそちらへ移動したり,有害物質を避けて逃げる性質)については解析が進んでいない.本研究ではまず毒素を産生せず扱いやすい類縁のスポロゲネス菌を使って走化性能の解析系を確立し,次にその系を利用してボツリヌス菌の走化性能を解析する.得られた知見から,この菌の生存戦略や病原性に走化性がどのように寄与するのかを解明していく.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではべん毛をもち運動能を示す偏性嫌気性菌Clostridium属細菌の走化性能の解析を目的としている.今年度は以下の実験を行った.まずスウォームプレートを用いた走化性アッセイ系の最適化においては,平板作製に用いる寒天が滅菌時に酸化ストレス物質を生じるとする説があるため,代替としてゲランガムを支持体とするスウォームプレートを試みた.ゲランガムは透明度が高く,もしスウォームを観察できれば解析にも極めて有利である.ゲランガムは陽イオンにより固化するため,1価や2価の種々のカチオン塩を様々な濃度で試した.種々の条件検討の結果,理想的な硬度を備えたゲルの作製に成功したが,スポロゲネス菌はこのゲル中で不定形・放射線状の広がりを見せ,走化性の指標であるスウォームリングを形成しなかった.おそらくはゲルの内部構造が寒天のそれとは根本的に異なることが原因と考えられる.他方,既存の寒天ゲルを用いたスウォームプレートによる最適化も並行で行った.培地作製条件の改変によりオートクレーブ時に発生する酸化ストレス物質の低減に成功し,スポロゲネス菌の形成するスウォームリングの解像度が劇的に向上した. ゲノムからのアプローチ(大腸菌再構成系の確立)については,スポロゲネス菌の走性受容体ホモログのセンサードメインと大腸菌のシグナル産生ドメインとのキメラ受容体の構築を継続した.今年度は切替え部位を見直すことにより,スポロゲネス菌走化性応答経路の大腸菌内での再構成に初めて成功した.即ち新たに構築したキメラ受容体発現菌は発現が良好であり,発現菌は数種のアミノ酸に対して走化性応答を示した.そこで次にボツリヌス菌からゲノムDNAを取得し,同様にキメラ受容体を構築して解析を行った.こちらも良好な結果が得られ,ボツリヌス菌の特定の走化性受容体が数種のアミノ酸に対し誘引応答を媒介することを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のように今年度試みた2つのアプローチのいずれもおおむね順調な進展がみられた.スウォーム条件の最適化については,新規のゲル化剤として検討したゲランガムでは良好なスウォームを観察できなかったが,並行して行った既存の寒天培地作製条件の再検討の結果,スウォームリングの解像度を劇的に高めることができた.オートクレーブ条件を見直したことで,酸化ストレス物質の大幅な低減に成功したと考えられる. 他方,キメラ受容体を用いた大腸菌再構成系においても目覚ましい進展が見られ,種々の試行錯誤の結果,安定に発現し機能しうる切替え部位を最終的に見出すことができた.過年度では膜外ドメインでの切替えを行っていたが,今年度は思い切って細胞質内の切替えに転換したのが功を奏した.グラム陽性菌とグラム陰性菌とのキメラ受容体の構築であったこともあり,膜外ドメインでの繋ぎ変えでは膜貫通領域の配置に余計な歪みが掛かっていた可能性が考えられる. このように今年度は双方のアプローチとも大きな進展が見られたことから,本採択課題の研究の進捗状況を「おおむね順調に進展している」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までの試行錯誤により,Clostridium属細菌の走化性物質のスクリーニングのためのスウォームアッセイ条件の最適化にようやく成功したと考えられる.今後はこの条件でまずはスポロゲネス菌の走化性物質のスクリーニング候補として,アミノ酸だけでなく種々の糖や有機酸などを検討する.次に,スポロゲネス菌の誘引または忌避物質と判断された走化性物質について,類縁菌のボツリヌス菌を用い,同条件のスウォームアッセイにより走化性応答を解析し,スポロゲネス菌の結果と比較する.菌の運動や走化性応答の顕微鏡観察の系についても,嫌気ボックスと嫌気チャンバーを用い,嫌気条件で長時間観察できるよう改良を行う. キメラ受容体を用いた大腸菌再構成系も今までの改善の結果完成に近づいたため,現在解析中のスポロゲネス菌・ボツリヌス菌の走化性受容体の近縁のホモログについて,順次遺伝子クローニングと機能解析を行い,前述のスウォームアッセイの結果との比較解析を行っていく.
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Report
(3 results)
Research Products
(10 results)