がん細胞の複製ストレスを解消する新規lncRNAの機能解明
Project/Area Number |
20K07570
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 50010:Tumor biology-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 美穂 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (80548470)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 長鎖非翻訳RNA / がん細胞 / 複製ストレス / R-loop / DNA複製ストレス |
Outline of Research at the Start |
がん細胞に特徴的な高い複製ストレスは、ゲノム不安定性をもたらし、発がんの促進やがんの進展を加速させることがよく知られている。しかし、がん細胞が高い複製ストレスに晒されながらも、複製を完了させ細胞増殖していく機構は完全に解明されていない。本研究では、①がん細胞の複製ストレスの解消に関わる新規lncRNAの同定 ②lncRNAと相互作用するタンパク質の同定から、未知のがん細胞複製ストレス解消メカニズムを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
がん細胞に特徴的な高い複製ストレスは、ゲノム不安定性をもたらし、発がんの促進やがんの進展を加速させることがよく知られている。しかし、がん細胞が高い複製ストレスに晒されながらも、複製を完了させ細胞増殖していく機構は完全に解明されていない。私たちはこれまでに、複製ストレスによって発現が誘導される長鎖非翻訳RNA (lncRNA)、TUG1を同定した。タンパク質をコードしないlncRNAは近年DNA損傷修復との関連が報告されているが、私たちはTUG1がDNA損傷の原因となるR-loopを解消する役割をもつことを明らかにした。TUG1と相互作用しDNAの複製ストレスから生じるDNA損傷を防ぐ機能をもつタンパク質を解析したところ、R-loopに結合することが知られているDHX9が同定された。私たちは、DHX9とTUG1が細胞内で直接結合していることを実験的に示した。次に、TUG1が解消するR-loopをゲノムワイドに同定したところ、TUG1ノックダウンにより特異的にR-loopが蓄積する領域が約300ヶ所存在することが分かった。TUG1-sensitive sitesと名付けたこれらの領域は、数kbにわたってマイクロサテライト配列を含む特徴的なリピート配列であり、定常状態でもR-loopを蓄積しやすい領域であった。つまり、TUG1はR-loopを形成しやすくDNA損傷を受けやすい領域を標的とし、その領域のR-loopを解消することでゲノムDNAを損傷から守る機能を果たしていることがわかった。さらに私たちは、TUG1によるR-loop解消は、TUG1結合タンパク質DHX9のRNAヘリカーゼ活性によることを明らかにした。また、超解像顕微鏡によって、TUG1が標的とするR-loopは転写と複製が逆方向から衝突するDNA損傷を受けやすい領域であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TUG1が解消するR-loopをゲノムワイドに同定するために、R-loopに特異的な抗体S9.6を用いてDRIP-seqを行った。解析の結果、TUG1ノックダウンにより特異的にR-loopが蓄積する領域が約300ヶ所存在することが分かった。TUG1-sensitive sitesと名付けたこれらの領域は、数kbにわたってマイクロサテライト配列を含む特徴的なリピート配列であり、定常状態でもR-loopを蓄積しやすい領域であった。つまり、TUG1はR-loopを形成しやすくDNA損傷を受けやすい領域を標的とし、その領域のR-loopを解消することでゲノムDNAを損傷から守る機能を果たしていることがわかった。これまでの研究で、CRISPR技術を利用して目的のRNAに結合するタンパク質を生細胞内で同定するCRISPR-assisted RNA-protein interaction detection method (CAPID)法を行い、TUG1と結合するRNAヘリカーゼDHX9を同定している。TUG1-sensitive sitesにはTUG1とDHX9が結合しており、DHX9をノックダウンするとTUG1-sensitive sitesのR-loop量は増加する。これはDHX9の強制発現によってレスキューできるが、ヘリカーゼ活性変異体ではレスキューされなかった。このことから、TUG1によるR-loop解消は、TUG1結合タンパク質DHX9のRNAヘリカーゼ活性によることが明らかになった。 また、超解像顕微鏡によって、TUG1とR-loopとPCNAが共局在していることを示した。TUG1が標的とするR-loopは転写と複製が逆方向から衝突するtranscription-replication conflictsと呼ばれる領域であることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はTUG1を標的とする治療の効果を調べるため、脳腫瘍同所移植モデルを用いた動物実験を行う。R-loopを蓄積する抗がん剤との併用効果を含め、TUG1の発現抑制がどの程度腫瘍の増殖を抑えるか検討する。また、治療後の組織におけるTUG1発現量とR-loop量を調べ、TUG1阻害による細胞増殖抑制メカニズムについて解析を行う。
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Report
(3 results)
Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Cancer-Specific Targeting of Taurine-Upregulated Gene 1 Enhances the Effects of Chemotherapy in Pancreatic Cancer2021
Author(s)
Tasaki Y, Suzuki M, Katsushima K, Shinjo K, Iijima K, Murofushi Y, Naiki-Ito A, Hayashi K, Qiu C, Takahashi A, Tanaka Y, Kawaguchi T, Sugawara M, Kataoka T, Naito M, Miyata K, Kataoka K, Noda T, Gao W, Kataoka H, Takahashi S, Kimura K, Kondo Y.
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Journal Title
Cancer Research
Volume: -
Issue: 7
Pages: 1654-1666
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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