Project/Area Number |
20K07644
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 50020:Tumor diagnostics and therapeutics-related
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
岡部 聖一 東京医科大学, 医学部, 講師 (40366109)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片桐 誠一朗 東京医科大学, 医学部, 助教 (50532298)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 分子標的治療 / 分子標的薬 / 慢性骨髄性白血病 |
Outline of Research at the Start |
骨髄中は低酸素下の環境にある。低酸素下での慢性白血病幹細胞の維持、増殖には、複数の分子が関与し、代謝変化が薬剤の耐性化に働くと考えられるが、どの分子がドミナントな役割を果たしているのか、不明である。本研究で新規幹細胞の分子を同定し、再発への関わり、阻害薬による効果を細胞培養、動物実験にて検討し、低酸素下に存在する白血病幹細胞の解明と治療への応用を計る。
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Outline of Annual Research Achievements |
フィラデルフィア染色体が認められ、BCR-ABL1遺伝子がCMLの発症に関与している。ABL阻害薬により予後が改善し、治癒に至る症例が存在すること、また骨髄中に白血病細胞が残存し、再発する症例が存在する。骨髄中では、造血幹細胞は、多分化能や自己複製能を維持しており、ニッチと呼ばれる微小環境に存在し生存が維持されている。慢性骨髄性白血病を含む、白血病細胞でも幹細胞が存在し、ニッチにみられることが示唆されている。骨髄中は低酸素下の環境にあり、この白血病幹細胞が治療抵抗性となり、ABL阻害薬中止後に再発する。低酸素下での白血病幹細胞の維持、増殖には、複数の分子が関与し、代謝変化が薬剤の耐性化に働くと考えられるが、どの分子がドミナントな役割を果たしているのか不明である。 2022年度は急性白血病に対する低酸素下での代謝に関しての検討を行った。GLS1は、グルタミンをグルタミン酸に変える働きを持つ酵素であるが、グルタミンはアミノ酸トランスポーターであるASCT2/SLC1A5を介して細胞に入り、グルタミナーゼ (GLS) によって触媒される脱アミノ反応によりミトコンドリア内でグルタミン酸に変換される。低酸素状態では、このGLS1の発現が上昇し、細胞内のアミノ酸代謝が変化することが明らかになった。GLS阻害薬の投与により、白血病細胞に対して細胞死を誘導した。またBCL2阻害薬との併用でも細胞死の増加がみられた。骨髄中は低酸素状態にあるため、骨髄中に残存する白血病細胞への効果が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
低酸素応答機構では、赤血球産生や血管新生などに関連した遺伝子発現が誘導され、エネルギー産生経路は、ミトコンドリアに依存しない解糖系に切り替わる(代謝リプログラミング)。この低酸素誘導性代謝リプログラミングでは、HIFによる遺伝子発現誘導に加え、酸素や代謝産物・基質の量的変動によって変化する。悪性腫瘍である、がん細胞では正常細胞のエネルギー代謝とは大きく異なっている。骨髄中は低酸素状態下である。低酸素応答は低酸素環境下における恒常性の維持に働く機構であるが、低酸素応答は、がん、免疫疾患などの病気でも認められ、代謝変化に伴って、その病態と密接に関与していると考えられている。低酸素下における、白血病細胞での遺伝子発現を行っており、その候補が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞はミトコンドリアで酸素を燃焼させることにより、生存に必要なエネルギーの大部分を得ている。そのため、細胞への酸素供給が低下すると、生命の存続を脅かす「低酸素ストレス」となる。一方で生体は低酸素ストレスに対する防御機構を備えており、低酸素誘導性転写因子Hypoxia Inducible Factor(HIF)やNF-κBを中心とした遺伝子発現様式の変化が分子基盤となることが明らかとなってきた。がん細胞は通常の酸素濃度下においても、自身のエネルギー産生をTCA回路、電子伝達系によらず、解糖系に依存するという代謝的特徴(ワールブルグ効果)がある。これまでの研究では、このような代謝リモデリングはp53やc-Myc、HIFなどのストレス応答性転写因子群による代謝酵素遺伝子の発現誘導の結果によって生じる。しかし、周囲の環境やストレス応答による細胞内代謝の変動が代謝酵素タンパク質の翻訳後修飾動態を変化させて、エネルギー代謝を制御するという新しいメカニズムも存在する。このように代謝の変化に伴って、腫瘍の進展と薬剤の耐性化と密接に関与していると考えられている。固形腫瘍では、代謝の変化によりPFKFBが高発現しており、治療標的と考えられている。本研究では低酸素下における白血病幹細胞での代謝の変化、細胞を取り巻く免疫的な環境の解明、さらに再発の機序を明らかにすることにより、白血病症例の予後の改善、新たな治療法の開発につなげていきたい。
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