Project/Area Number |
20K07655
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 50020:Tumor diagnostics and therapeutics-related
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
陶 弘 浜松医科大学, 医学部, 特任研究員 (90397399)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2020)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | lung adenocarcinoma / estrogen recepter / SNP / 肺腺癌 / エストロゲン受容体 / 一塩基多型(SNP) |
Outline of Research at the Start |
近年、非喫煙者肺癌の増加が顕著になり、欧米各国に比べて、日本を含む東アジア各国に非喫煙者肺腺癌症例が増え、また男性に比べて特に女性に多く発症することから、女性ホルモンが関連していることが推測されている。エストロゲン受容体ERは正常肺や肺癌組織にも発現し、細胞増殖にも関係している研究報告がある。肺癌におけるERの発現に関する研究は沢山ある中、ER遺伝子多型と肺腺癌リスクとの関連はほとんど研究されていない。本研究は日本人非喫煙者肺腺癌症例からER遺伝子多型のアリル頻度を調べ、発症リスクとの関連、そして非喫煙者肺腺癌症例でよく見つかるEGFR変異との関連を明らかにすることを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
日本を含むアジア各国では、非喫煙者肺腺癌の割合が増加傾向にあり、特に女性の発症が多いことから、女性ホルモン関連遺伝子との関係を明らかにするために、本研究はエストロゲン受容体(ER)遺伝子における一塩基多型(SNP)について調べた。 今年度はまずエストロゲン受容体の二つ亜型(αとβ)のSNPをデータベースから検索し、肺腺癌発症リスクとの関連を報告した論文からターゲットSNPを絞る。ERαは肺腺癌組織での発現は少ないとされてきている中、複数のSNPが肺腺癌との関連を中国大陸と台湾のグループで報告されている。この中4つのSNPsに絞って、データベース上でそれぞれ連鎖不平衡による影響の有無を確認したうえ、解析のターゲットとして決めた。 同じ東アジア国の日本の非喫煙者肺腺癌症例におけるこれらのターゲットSNPsの頻度を調べるために、まず日本人非喫煙者肺腺癌270症例と癌なしの健常人コントロールサンプル330例を選出し、凍結手術検体と血液検体からゲノムDNAを抽出した。その一部のDNAサンプルを使って、PCR-sequencing法により、4つのターゲットSNPsのスクリーニングを行い、それぞれの野生型、変異型とヘテロ接合型の検体を確認し、ポジティブコントロールとして使った。残りの症例と対照サンプルをTaqMan SNP Genotyping Assayを用いて遺伝子型を同定し、そのデータを統計解析により、肺腺癌リスクとの関連を調べた。とりあえず1つのSNPに関して、野生型に比べて、ヘテロ接合型と変異型ともに有意差が認められなかった。さらに優性モデルと劣性モデルでの解析でも有意差が認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在まではおおむね予定通りに、エストロゲン受容体のターゲットSNPsを絞って、非喫煙者肺腺癌症例対照サンプルで調べて、肺腺癌リスクとの関連を評価する。データベースではSNPsの機能評価がないものが多く存在するので、ターゲットを選別するために、今までの論文を参考にしている。論文報告では、ERβより、ERαの方からいくつかのSNPsが有意に肺腺癌リスクとの関連が示唆されたため、現在の研究方向として、α型の関連SNPsを中心に調べている。 一方、日本人非喫煙者肺腺癌症例のDNAについて、現存のストックで一部のサンプルは枯渇したものがあったため、もとの凍結生組織からゲノムDNAを抽出したり、凍結組織もない場合、新たに本研究の研究対象基準に満たした症例を追加でゲノムDNA抽出を行っているため、症例数は少し少ないのである。 また、本研究で使っている日本人非喫煙者肺腺癌症例はEGFR変異のデータはついており、現時点ではまだ解析に取り入れていないが、本研究の目的の一つでもあるエストロゲン受容体のSNPsとEGFR変異の関連についても解析するためのデータは蓄積している。 現時点での解析結果では、1つのSNPに関して肺腺癌リスクと有意な関連は認められなかった。症例数はまだ300ぐらいで、これから症例数を蓄積していくので、さらに、ほかのターゲットSNPsも調べていく。解析のアレンジを多様に展開できるため、結論は今出ていなくても、これからの解析では新たな関連性が見えてくると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これからは追加解析で、ターゲットSNPsを含めて、追加症例対照sampleでの解析を行い、非喫煙者肺腺癌リスクとの関連を調べる。追加臨床情報、EGFR変異などとの関連解析も予定している。 同時にERαに関して、近年新たなスプライシングバリアントの報告があり、今までのターゲットSNPsとの関連はまだ解析されていない。新たな亜型の特異抗体を用いて、肺腺癌での発現、さらにSNPsとの関連を調べることによって、肺腺癌リスクと関連する新たな一面が見えてくると考えている。現時点で見つけた亜型特異抗体は海外製カスタマイズ抗体で、保証がないため、まず試しにいくつかの条件検討を行ってから、最適な条件で解析に持って行く予定である。 ターゲットSNPsについて、現時点で選定した4つのSNPs以外にも、追加でいくつかのものを調べる予定である。選別の条件として、論文報告で陽性結果が認められたもの、そして、欧米人を研究対象にしたもの、あるいはデータベース上でERαの機能に影響が予測(確定)しているもの。さらに、時間的に余裕があれば、ERβについてもいくつかのターゲットSNPsを選定し、解析するように勧めていく予定である。
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