Project/Area Number |
20K07734
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 51030:Pathophysiologic neuroscience-related
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
澁木 克栄 新潟大学, 脳研究所, 非常勤講師 (40146163)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 認知機能障害 / 統合失調症 / 視覚的残像 / 遅延見本合わせテスト / 医療用ゲーム / 認知症 / 記憶障害 / 使用依存的可塑性 / ゲーム / 神経変性 / シナプス / 視野検査法 / 視覚野 / 同名半盲 / 眼球運動 / 視線チェック / 皮質盲 |
Outline of Research at the Start |
申請者は、視覚野の陳旧性脳梗塞による同名半盲(皮質盲)が、簡単な視覚刺激の提示によって急速に回復した症例を経験した。本研究はこの知見に基づき、患者への視覚刺激の提示や患者の注視点のコントロール、患者応答の記録・解析・結果表示等を自動的に行うPCプログラム(医療用ゲーム)の開発を行う。医師は患者の症状の推移に合わせて医療用ゲームのパラメータを調節し、患者は自分自身の症状の改善を報酬とする医療用ゲームを行う。こうして、効率的な皮質盲の診断・治療を行うシステムが実現される。また同様の医療用ゲームは、認知症などにおける認知機能の解析やリハビリテーションにも有用性を有すると期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
統合失調症の認知機能障害は患者の社会復帰を妨げる大きな要因であるが、認知症の物忘れのような一見して判る症状を伴わないことが多い。令和5年度は60歳女性の治療抵抗性統合失調症患者の視覚的認知機能について解析した。この患者は幻覚妄想、特に幻聴と連合弛緩が目立ち、精神病院に13年間入院(他院転院期間を含む)しているが、退院の目途が立っていない。しかし、認知症のスクリーニングテストであるHDS-Rでは29点/30点満点、MMSE では30点/30点満点で、認知機能障害を検出できなかった。そこで本患者の視覚的認知機能を、タブレットPCを用いた遅延見本合わせテストを用いて評価した。タブレットPCを用いると、ランダムに生成された多数の課題の平均点を解析できるので、定量性が増す。また課題の各ステップの時間を精密に制御できるというメリットがある。各課題では、まず5000枚の中からランダムに選択された画像が被検者に10秒間~0.1秒間提示された。次に、簡単な計算課題を10秒間被検者にやってもらい、正答できた計算課題数を遂行機能の指標として用いた。最後に、被検者に5つの異なる画像の中から最初に提示した画像を選択するよう求め、正しい選択ができた試行のパーセンテージを、視覚的認知機能を示す指標として用いた。本患者は見本図形の提示時間が10秒間、5秒間のときは100%の正答率を示した。しかし0.5秒、0.1秒と短くなるにつれ、正答率が下がった。0.5秒、0.1秒の正答率は正常高齢者より明らかに低かった。図形提示が一瞬である場合、我々は図形の視覚的感覚記憶(残像)に基づいて図形の形状を認知する。従って本患者では視覚的残像が障害されていると思われる。本患者の視覚的残像の障害は、統合失調症におけるワーキングメモリの障害として解釈できるのかも知れない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
医療用ゲームによる皮質盲の解析を行い、更にこの技術を応用して認知症の記憶障害、統合失調症の認知機能障害の解析を行い、一定の成果を挙げつつある。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で研究活動や国内・海外での学会活動は制限を受け、進捗状況は予定より遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者は平成31年3月に新潟大学脳研究所システム脳生理学分野教授を定年退職した後に脳研究所非常勤講師として研究を行っている。定年後に臨床医としての訓練を開始し、現在は新潟大学精神科専門研修プログラムの精神科専攻医4年目である。本研究は定年前の経験を生かして医療用ゲームを開発し、定年後に遭遇する様々な臨床的疾患の研究に応用することを目指して立案された。既に認知症や統合失調症などの疾患において成果は出ているが、今後も現在の専門領域を活用し、解析対象を広げて研究を遂行していきたい。残念ながら新型コロナウイルス感染症による遅れもあるので、最終年度には補助事業期間延長を申請する予定であった。しかし新潟大学の方針で、定年退職後5年以上経過した段階で、非常勤講師の期間延長を認めない方針となった。従って、令和6年度が当初の予定通り最終年度となるので、可能な限り研究を遂行して行きたい。
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