α-シヌクレインを介したOPRM1遺伝子の転写調節機構の解明
Project/Area Number |
20K07862
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52020:Neurology-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅野 直人 東北大学, 医学系研究科, 助教 (30509550)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | パーキンソン病 / αシヌクレイン / ヒストン修飾 / エピジェネティクス / バイオインフォマティクス / α-シヌクレイン / αーシヌクレイン |
Outline of Research at the Start |
パーキンソン病はアルツハイマー病に次いで有病率が高い神経変性疾患であり、αSはこのパーキンソン病の変性過程においてもっとも重要とされるタンパクでる。応募者らは、近年αSのエピジェネティクスにおける役割に注目し検討を重ねてきており、直近の研究においてはαSがヒストンのメチル化修飾を介してOPRM1 (Opioid Receptor Mu 1)の転写調整を行なっている可能性を見出した。OPRM1はパーキンソン病においてドパミン製剤加療中に発現する衝動制御障害の危険因子とされている。 本研究では、αSがエピジェネティクスを介してOPRM1転写を制御する機構を解明することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
パーキンソン病はアルツハイマー病に次いで有病率が高い神経変性疾患である。パーキンソン病の主となる臨床症状である錐体外路症状(無動、振戦、固縮)に 対してはドパミン補充療法が有効であり、またリハビリテーションや療養環境の充実とあいまった結果、パーキンソン病患者の平均余命は20世紀末にかけ延び続け、現代では一般人口と同一とされる。これは同時にパーキンソン病罹患期間、ならびに治療期間の延長をもたらした。前述のように錐体外路症状に関してはド パミン補充療法が有効であるが、薬剤の特性上ドパミン受容体への刺激はその持続時間やドパミン受容体への刺激プロファイルが必ずしも生理的とはならない。 結果として過剰な刺激は衝動制御障害 (impulse control disorder: ICD)を誘発することがあり、その病的賭博や異常性欲といった徴候は患者本人の社会性を 著しく損なうことから、その後の療養環境において多大な悪影響を及ぼすものである。現代における治療期間の延長はそういった加療に伴う問題へ遭遇する機会 を増やしうるものとなっている。α-シヌクレイン (αS)はパーキンソン病の変性過程においてもっとも重要とされるタンパクでる。我々は、αSのエピ ジェネティクスにおける役割に注目し検討を重ねてきた。本研究において我々は、①αSがヒストンメチル化酵素 PRMT5 (Protein Arginine Methyltransferase 5)を介して、ヒストンH4タンパクのメチル化修飾(H4R3me2s)を増強すること、②本メチル化によって生じるエピジェネティクス変化によって、衝動制御障害 に関わるとされるNRCAM (Neuronal cell adhesion molecule)の発現が調整されること、③この現象は他施設由来のデータセットを用いたバイオインフォマティクス解析でも再現され、普遍性があること、を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒストンH4タンパクの3位アルギニンにおけるジメチル化 (H4R3me2s)は主としてPRMT5 によって付与されることがこれまでの多くの報告によって明らかとなっている。PRMT5の作用を実験系で確認するために、入手可能なPRMT5阻害薬を実験細胞SH-SY5Yに対して暴露した。具体的にはEPZ015666, GSK591, Pemrametostat, CMP5の4種を用い、GSK591がもっとも特異性、効率性が高いことを見出した。実験細胞SH-SY5YにおけるαS過剰発現とGSK591暴露において共通して転写調整を受ける遺伝子をRT-qPCR法を用い探索したところ、当初標的と想定していたOPRM1は該当しなかった。一方で神経細胞接着因子であるNRCAM がもっとも強く影響を受けていることがわかった。NRCAMは神経細胞において軸索伸長に関わるタンパクであり、そのノックダウンマウスは、自閉症や衝動制御障害の表現型を示すことが知られている。ヒトにおいても、薬物依存へのリスク遺伝子であることが複数の研究により報告されている。公共データベースより入手可能な、αS過剰発現細胞におけるバルクRNA sequencingデータセットを解析したところ、αS過剰発現環境下ではNRCAMの発現が低下傾向にあり、本実験の結果を支持するものとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は必ずしも想定通りには進まなかったが、幾分の方針転換を経てNRCAMという新たなαS標的遺伝子を見出すことができた。予定していた実験と結果のとりまとめは終了しており、現在本研究結果の投稿準備中である。
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Report
(3 results)
Research Products
(13 results)
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[Journal Article] 18F-THK5351 PET imaging in neurodegenerative tauopathies2021
Author(s)
Ezura M, Kikuchi A, Okamura N, Ishiki A, Hasegawa T, Harada R, Watanuki S, Funaki Y, Hiraoka K, Baba T, Sugeno N, Yoshida S, Kobayashi J, Kobayashi M, Tano O, Ishiyama S, Nakamura T, Nakashima I, Mugikura S, Iwata R, Taki Y, Furukawa K, Arai H, Furumoto S, Tashiro M, Yanai K, Kudo Y, Takeda A, Aoki M
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Journal Title
Front Aging Neurosci
Volume: 13
Pages: 761010-761010
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] High prevalence of serum anti-NH2-terminal of α-enolase antibodies in patients with multiple system atrophy and corticobasal syndrome2021
Author(s)
Kikuchi A, Yoneda M, Hasegawa T, Matsunaga A, Ikawa M, Nakamura T, Ezura M, Baba T, Sugeno N, Ishiyama S, Nakamoto Y, Takeda A, Aoki M
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Journal Title
J Neurol
Volume: 268
Issue: 11
Pages: 4291-4295
DOI
Related Report
Peer Reviewed
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