Project/Area Number |
20K08064
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52040:Radiological sciences-related
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
中山 文明 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 放射線規制科学研究部, グループリーダー (50277323)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 組織幹細胞 / 放射線障害 |
Outline of Research at the Start |
組織修復を担当する幹細胞(Muse細胞)が報告されたが、放射線障害に対する役割は不明である。そこで、γ線による放射線小腸障害マウスモデルを用いて、このMuse細胞の放射線小腸障害の予防・治療効果を検討する。この幹細胞は障害部位へホーミングし、障害部位で様々な細胞に分化することが知られているが、他の障害と比べて極めて特異な放射線障害において、この細胞の可能性を検証する。障害組織から回収した幹細胞のシングルセル解析による遺伝子発現解析から、Muse細胞の利点・欠点を明らかにすることで、放射線障害組織における幹細胞医療実現のための条件を見出す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、SSEA-3をマーカーにする組織修復を担当する幹細胞を使った放射線小腸障害の予防・治療法の開発を目指している。急性放射線小腸障害の増殖因子による治療研究に長年取り組んできた経験・実績から、急性放射線障害の実験モデルをすでに構築しており、それを活用することで放射線障害に対する幹細胞治療法を探索していく。SSEA-3+細胞細胞が放射線障害部位にホーミングすることが、幹細胞治療による再生医療のポイントになるが、我々は細胞ホーミング機構に関係する糖鎖生物学にも豊富な経験を有することから、放射線障害部位への幹細胞のホーミング機構の解明にも取り組んでいく。初年度は、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞からSSEA-3+細胞を培養し、SSEA-3をマーカーとしてセルソーターで分離に成功した。種々の検討により多能性を持つことも確認できた。 当該年度では、γ線照射の放射線小腸障害モデルにSSEA-3+細胞の投与条件の検討をおこなった。SSEA-3+細胞投与はγ線照射後に実施し、最良の放射線障害治療効果が得られる照射線量および投与のタイミングを模索しが、元来ソーティング効率が低いうえ、セルソーターの度重なる故障により、十分なデータの取得には至らなかった。しかしながら、SSEA-3+細胞の障害部位へのホーミングを認める組織サンプルの取得には成功した。次年度は、細胞保存方法を検討し、実験をより効率的に実施するとともに、SSEA-3細胞の障害部位へのホーミング機構に関して解析していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症対策により研究室内での研究活動が規制された。研究の中心を担う機器の度重なる故障にも見舞われ、研究計画が大きく遅延した。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト骨髄由来間葉系幹細胞からSSEA-3をマーカーとしてセルソーターで分離したSSEA-3+細胞を、8~12Gyのγ線全身照射を行ったBALB/cマウスもしくはSCIDマウスに種々の条件で投与し、小腸クリプト数などの組織学的評価、LD50/6、骨髄移植後による生存率等により、障害の予防・治療効果を評価し、実験モデルとして最適な投与条件を決定する。さらに、腸管組織の分化状態を免疫組織学的に評価し、シングルセル解析を中心とした遺伝子発現解析を加えることで、いわゆる外来性の幹細胞が放射線小腸障害組織において、どの程度特異的にホーミングし、どの段階まで分化しているのか明らかにする。この基礎データに基づき、動物モデルの再構築に取り組み、特に実際の放射線治療に伴う腸障害の臨床に近い照射後中長期の放射線障害幹治療モデルの確立を目指す。一方、実験モデルから得られた組織を使って、SSEA-3+細胞のホーミングマーカーとして知られるS1Pを免疫組織化学染色や質量分析で解析し、阻害実験を加えることで放射線障害組織へのSSEA-3+細胞のホーミングメカニズムを解明する。以上の成果に基づき、重粒子線照射条件へ実験モデルを適応させ、重粒子線がん治療による腸障害治療への応用の可能性を探っていく。
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