極低出生体重児に対する経母乳ヒトサイトメガロウイルス感染症対策
Project/Area Number |
20K08217
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52050:Embryonic medicine and pediatrics-related
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
水野 克己 昭和大学, 医学部, 教授 (80241032)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幸田 力 昭和大学, 医学部, 准教授 (10365752)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
|
Keywords | 電子レンジ / サイトメガロウイルス / 細胞感染 / 温度変化 / 母乳 / 超早産児 |
Outline of Research at the Start |
超早産児にとって母乳は疾病予防にもつながる薬としての役割もある。一方で母乳は母親がサイトメガロウイルス(CMV)既感染であると経母乳CMV感染のリスクとなる。基礎研究では電子レンジ(MW)処理により母乳中CMVは感染性を失うことがわかった。今回、MWによる経母乳CMV感染対策を検証する。母乳を電子レンジ500W 40秒後に与えられた児(介入群)と、従来式の冷凍解凍母乳を与えられた児(対照群)と比べて感染率が低下するのかを修正36週時点で尿中HCMVDNAをPCR法で判定する。感染がなくなればMWという一般的な方法で経母乳CMV感染が防ぐことができるため、世界規模で恩恵を被ることができる。
|
Outline of Annual Research Achievements |
母親の母乳は児にとって最善の栄養であり、特に超早産児にとっては壊死性腸炎、慢性肺疾患、未熟児網膜症から守る働きもあり、”薬”としての役割も期待される。しかし、母親がCMV既感染者である場合、母乳を介してサイトメガロウイルス(CMV)が感染する可能性がある。正期産児であればほとんど症状もなく経過するが、超早産児では敗血症様症状や胆汁うっ滞などを起こすことがある。また、急性期症状は軽微であっても将来的に学習障害につながるという報告もあり、超早産児における経母乳CMV感染対策は新生児医療において重要なテーマとなっている。 経母乳CMV感染対策のゴールドスタンダードはHolder Pasteurizationであるが、特殊な機器が必要となるため行える施設は限定される。そこで、電子レンジを用いた感染対策を考えてきた。これまでに人工乳にCMVを添加して500W40秒の電子レンジ処理によりHFL-Ⅲ細胞感染が防げること、同じ処理で母乳中のSIgAやラクトフェリン、TGF‐βに有意な減少はみられないこと、電子レンジ処理による母乳の温度変化にはばらつきはあるが軽微であることなどを本研究として行ってきた。今回は、CMVIgG陽性の母親母乳を用いて、電子レンジ処理(200W、60秒・500W、60秒)による母乳中CMVのHFL-Ⅲ細胞感染性を検討した。なお、処理母乳量は100mlと50mlにて行った。すべての母乳のおいてCMVDNAコピー数を測定している。結果:200W、50秒の電子レンジ処理でも有意に細胞感染を減少させた。100mlと50mlで比較すると同じ条件であれば温度上昇が大きくなるため、50mlのほうが細胞感染性を減らすことがわかった。温度変化は200W、60秒で22.8~24.2℃であり、CMV感染性の減弱を温度変化だけで説明することはできず、電磁波の影響が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
まず、COVID-19パンデミックにより様々な研究計画が影響を受けた。病院の感染対策としてNICU入院中の児に対する面会制限があり、ごく短時間の面会の間に本研究に関する説明をすることが困難であった。このため、当初の目的であった人を対象とした研究計画が実施できていない。その間に、基礎研究を行う予定であったが、CMVDNA測定や細胞感染を行う担当者自身がCOVID-19にり患し、ICU治療を必要とし、実験ができるようになるまで半年近くかかった。現時点では、実際に超早産児に検討を行う前に、人為的に添加したウイルスではなく母乳中に存在するCMVそのもので細胞感染性の実験を行うことを優先した。さらに、冷凍母乳を電子レンジ処理により解凍したところ、一部の母乳では中赤外線分析(Miris社製母乳分析器)により測定したたんぱく質濃度が極端に減少することがわかり、現在、その現象に対してあくまでも測定処理の問題なのか、特定の女性の母乳でおこる現象なのか、またそうであれば、どのような女性(母乳)でこの現象が起こるのかなど、母乳成分変化についても詳細な検討が必要となった。これらの検討により、実際に超早産児に200W、60秒の電子レンジ処理をした母乳を与えること自体がまったく影響がないことを確認することを優先している。このため、当初の目的であったRCTにより電子レンジ処理による経母乳CMV感染率を比較する検討は遅れているのが現状である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も電子レンジ処理による安全性確認を第一に考えて研究を進める。 1)電子レンジ処理による凍結母乳の解凍による母乳成分変化についてinterobserber variablityを確認し、測定者による差がないことを確認する。 2)電子レンジ処理をした母乳について、中赤外線法(Miris社製母乳分析器)によるたんぱく質測定とBradford法によるたんぱく質測定法による違いを検討する。たんぱく質量としては変化がなくても、凝集など性質変化がある場合には腸管の未熟な超早産児に与えることが栄養学的に不適切と考えられる可能性もある。中赤外線法ならびにBradford法による差異がないことを確認することが臨床応用に必須と考える。 3)電子レンジ処理以外の方法として乾式での小型低温殺菌処理器(北陽電機株式会社製)での感染対策を検討する。まずは、中赤外線法による母乳成分測定を行う。
|
Report
(3 results)
Research Products
(6 results)