Project/Area Number |
20K08240
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52050:Embryonic medicine and pediatrics-related
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
熊谷 直憲 藤田医科大学, 医学部, 講師 (40400329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 朋実 藤田医科大学, 医学部, 助教 (00866428)
池住 洋平 藤田医科大学, 医学部, 准教授 (70361897)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | IL1RAP / IL1受容体ファミリー / 膜性腎症 / ループス腎炎 / ネフローゼ症候群 / 免疫複合体 / IL1R1 / 家族性ネフローゼ症候群 / IL1-RAP / 不死化糸球体上皮細胞 / 株化リンパ球細胞 |
Outline of Research at the Start |
近年、ステロイド感受性ネフローゼ症候群(steroid sensitive nephrotic syndrome SSNS)を家族内発症した家系の遺伝子解析よりinterleukin-1 receptor accessory protein (IL1RAP)が家族性SSNSの新規原因遺伝子であることが同定された。IIL1RAP異常による家族性ネフローゼ症候群の臨床経過は、小児期発症の特発性SSNSに極めて類似するものである。本研究計画ではIL1RAPを軸とした免疫異常の解析と糸球体上皮細胞の機能解析を行い、これまで不明であった小児期発症の特発性SSNSの病態を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの実験でIL1RAPとIL1RAPを補助受容体とするIL1受容体ファミリーであるIL1受容体、IL2受容体、IL33受容体、IL36受容体の発現を、ステロイド依存性ネフローゼ症候群、ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群、IgA腎症、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、ループス腎炎などの腎病理組織検体を対象に免疫染色法により検討した。その結果、少数例での検討ではあるがIL1RAPおよびIL1受容体ファミリーはいずれも膜性腎症及びループス腎炎で強発現が認められたが、他の疾患では発現がほぼ認められないかまたは痕跡程度の発現のみが認められた。このことから、IL1RAP及びIL1RAPを補助受容体とするIL1受容体ファミリーは免疫複合体が関与する糸球体疾患で病態生理学的に重要な役割を担っているが、ネフローゼ症候群などの疾患での病態生理的な役割は否定的であることが示唆された。この結果は、IL1RAPはネフローゼ症候群において糸球体上皮細胞内で病態生理学的に役割を担っているという本研究計画の仮説に反するものであった。 今年度はILARAPおよび IL1RAPを補助受容体とするIL1受容体ファミリーを尿中で検出することにより、膜性腎症やループス腎炎の非侵襲的な診断が可能かどうか検証した。まず尿中のIL1RAPを、膜性腎症やループス腎炎を含む各種腎炎で測定した。その結果、尿中のIL1RAPとそれぞれの腎炎とに一定の関係は認められず、尿中IL1RAP測定による腎疾患の診断は困難と判断した。 また、ILARAPおよび IL1RAPを補助受容体とするIL1受容体ファミリーの糸球体上皮細胞に対する作用として、生理活性を持つリゾリン脂質の一つであるlysophosphatidic acidとの相互作用に着目し、免疫染色法を用いて予備的な解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画は、IL1RAPはネフローゼ症候群おいて糸球体上皮細胞内で病態生理学的に重要な役割を担っているという研究仮説の検証が目的であった。しかしこれまでの研究結果は当初の研究仮説に反するものであった。そのため当初の実験計画の優先順位の変更や研究内容の変更が必要となり、当初の研究計画より進捗状況が遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の予定として、IL1RAP及びIL1RAPを補助受容体とするIL1受容体ファミリーは免疫複合体との関連が強く示唆されたため、これらの分子とIgGを共染色し、IgGの沈着に関連しているかどうか検証する。 また近年、超解像度顕微鏡などを用いた研究などによりネフローゼ症候群には微量の抗ネフリン抗体が存在し、ネフリンに結合することが病態に深く関与していることが判明している(Watts AJ et al. J Am Soc Nephrol 33:238-252, 2022、Hattori M et al. Am J Transplant 22:2478-2480, 2022)。今年度までの実験でネフローゼ症候群の腎病理組織検体を対象とした免疫染色でIL1RAP及びIL1RAPを補助受容体とするIL1受容体ファミリーが染色されなかったのは、これら分子の発現が微量であり一般的な蛍光顕微鏡を用いた観察では検出できなかった可能性がある。そこで今年度は超解像度顕微鏡を用いてネフローゼ症候群の腎病理組織検体を対象として抗ネフリン抗体やIgGとIL1RAP及びIL1RAPを補助受容体とするIL1受容体ファミリーが共染色されるかどうか検証する予定である。 またIL1RAP及びIL1RAPを補助受容体とするIL1受容体ファミリーが関与する糸球体上皮細胞に対する作用の解明を、lysophosphatidic acidとの相互作用を含め不死化ヒト糸球体上皮細胞株を用いて行う予定である。
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