Project/Area Number |
20K08271
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52050:Embryonic medicine and pediatrics-related
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Research Institution | Institute for Developmental Research Aichi Developmental Disability Center |
Principal Investigator |
野田 万理子 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 分子病態研究部, 研究員 (50571311)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 抑制性神経細胞 / 興奮性神経細胞 / E/Iバランス / 神経細胞移動 / ASD / てんかん / 知的障害 / ID / 神経科学 / 脳・神経 / 発生・分化 / 発達障害 |
Outline of Research at the Start |
自閉性障害を含む発達障害は遺伝的な疾患と考えられるが、病因解明から治療法探索に至るまで克服すべき点が多い。近年の臨床遺伝学的な解析の結果、多くの発達障害原因遺伝子(候補)が報告されてきたが、これらの遺伝子異常が病態を形成する分子メカニズムの理解は殆ど進んでいない。本研究では、“抑制性神経細胞の機能解析システム”を構築・駆使し、1)発達障害責任遺伝子であるPHACTR1, POGZとMED13Lが大脳皮質形成に果たす役割、および、2)疾患で見出された変異に基づく蛋白質機能障害が大脳皮質形成や神経細胞機能の異常を引き起こす分子病態メカニズム、を解析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
これまでの発達障害研究は臨床遺伝学的な研究の進展が著しく、既に1000種類以上の“責任遺伝子候補”が報告されている。しかしこれら発達障害原因候補遺伝子の中には、興奮性神経細胞において何ら表現型が認められない分子も存在する。本研究ではその中で特に発達障害の病態と関連が深い3種類の分子に着目した。すなわち難治性乳幼児てんかんの責任遺伝子であるPHACTR1、ASD患者で新規ミスセンス変異が複数例報告されている転写調節因子POGZ、知的障害(ID)患者で複数個所の新規ミスセンス変異が見いだされたMED13Lである。自閉スペクトラム障害(ASD)を含む発達障害にはてんかんを伴うものが多い。「てんかん」の病態の本質は大脳皮質神経細胞の過剰興奮であり、興奮性(Excitatory)と抑制性(Inhibitory)のバランス(E/Iバランス)の崩壊である。従って「てんかん」の病態形成には、興奮性神経細胞の機能異常(過剰興奮)だけではなく、抑制性神経細胞の機能異常(脱落や機能低下)の寄与も非常に大きいと考えられる。これまでのてんかん研究の主体は興奮性神経細胞におかれることが多かったが、本研究では、これまで着目されてこなかった抑制性神経細胞に焦点を当てて解析を行うことで、発達障害責任遺伝子の新たな機能を明らかにすることができると考える。 これまでに、胎仔期の抑制性神経細胞の高効率なラベル化法を確立し、胎生期大脳皮質の抑制性神経細胞のライブイメージングの解析系構築にも着手した。しかし、病気での療養期間が長く、実験の遂行がほとんどできなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
抑制性神経細胞への子宮内胎仔脳遺伝子導入は、導入時期を胎生(E)12とすることで高効率かつ選択的な導入が可能となったが、抑制性神経細胞の主要な産生部位である基底核原基(ganglionic eminence (GE))の3部位(caudal GE (CGE), medial GE (MGE), lateral GE (LGE))全てにラベルされたため、特に皮質に向かう抑制性神経細胞(MGE由来)の移動解析が困難となった。MGE選択的な抑制性神経細胞へのラベルを行うため、遺伝子改変マウスを用いた方法に切り替える予定でいたが、新型コロナウィルスの流行により、海外との契約状況に多大なる遅延が生じ、希望する遺伝子改変マウスの入手目処が立っていない。 そのため、現在は脳組織スライスを用いたlive imagingにより、皮質に向かう抑制性神経細胞を可視化し、PHACTR1, POGZ, MED13Lのノックダウンの影響を検討する手法に切り替える予定である。さらに、E14.5マウス脳のMGEを単離し、抑制性神経細胞を分離、in vitro遺伝子導入により各分子の発現抑制を行ない、培養後の細胞の形態を観察・解析し、live imagingのデータと比較検討する。 一方で、病気での療養期間が長く、実験の遂行がほとんどできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
In vitroでの抑制性神経細胞解析系の構築を早急に行う。今年度新たに研究室に導入した共焦点レーザー顕微鏡システム(ニコン、A1R HD25)を用いることで、これまでよりも高解像度かつ高速なlive imagingが可能となる。このシステムを用いて、胎生期大脳皮質の抑制性神経細胞ライブイメージングを行うことにより、皮質へと移動途中の抑制性神経細胞の形態・速度変化の数値化を行い、疾患を模倣した状態と健常状態との比較解析を行うことが可能となる。In vivoの解析は、遺伝子改変マウスの入手ができなかった場合、野生型マウスを用いて行い、生後、皮質に存在する抑制性神経細胞の免疫染色法による識別などで比較検討を行う。
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