Project/Area Number |
20K08481
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53020:Cardiology-related
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
安川 秀雄 久留米大学, 医学部, 教授 (60289361)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | STAT3 / 線維化 / 繊維芽細胞 / 心外膜肥厚 / 心筋傷害ストレス / 心筋リモデリング / 線維芽細胞 / SOCS3 / 急性心筋梗塞 / SOCS1 |
Outline of Research at the Start |
心筋傷害ストレスに対する心筋細胞における病態メカニズムの解析が進む一方で、心筋線維芽細胞の役割については不明な点が多い。SOCS1とSOCS3は、サイトカインによって発現が誘導され、STAT1とSTAT3の活性を強力に負に制御する。本研究の目的は、心筋梗塞による心筋虚血、高血圧による圧負荷やアンジオテンシンIIによる刺激による心筋傷害ストレス、心筋リモデリングや心不全などの病態における、心筋線維芽細胞内のSTAT1とSTAT3とその制御因子であるSOCS1とSOCS3の役割を明らかにすることである。
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Outline of Annual Research Achievements |
平滑筋特異的SOCSノックアウトマウスの表現系の解析 これまでに、平滑筋特異的SOCSノックアウトマウス(SOCS3-smKOマウス)は、野生型マウス(WTマウス)と比べ、生後6ヶ月以降に体重が優位に低下すること、優位に血圧が低下すること、心臓・体重比が優位に増大すること、優位な心筋間質の線維化と心外膜の肥厚を認めること、心エコーによる解析で、生後3ヶ月より、拡張能の低下を認めことなどを明らかにしていた。今回、長期間の生存率を観察し、WTマウスと比べ、SOCS3-smKOマウスは優位に生存率が低下する、つまり、寿命が短いことが明らかとなった。これらの表現型の機序を明らかにするために、interleukin-6 (IL-6)投与後の心臓を用いて、リン酸化STAT3と細胞マーカーとの二重免疫染色を行った。Alpha-SMA 陽性の平滑筋細胞よりはER-TR7陽性の繊維芽細胞において優位にSTAT3のリン酸化の亢進を認めた。次に、生後 6ヶ月と12ヶ月の血中の炎症性サイトカインとCRPを測定したところ、CRP、IFNganmaやIL-1はWTマウスと同等であったが、SOCS3-smKOマウスでは、血中IL-6がWTマウスに比べ優位に高く、また、アルブミンが優位に低いことが確認された。心筋間質の線維化と心外膜の肥厚の機序を明らかにするために、線維化関 連遺伝子のPCRアレイ解析を行ったところ、CTGF、PDGFbやTGFファミリー遺伝子の優位な発現上昇を認めた。このように、SOCS3-smKOマウスは、加齢に伴い心臓 の線維化が亢進し心外膜肥厚と拡張障害を来しカヘキシー様の病態を呈することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理由 M22-CreでSOCS3を欠失したマウスを作成し、死亡率の増加、左室拡張能や収縮能の低下、心外膜肥厚や心筋線維化の亢進、血圧低下、体重減少、血中IL-6の増 加、血中アルブミンの低下など多彩な表現型を明らかにできている。さらに、IL-6を投与することにより、繊維芽細胞において優位にSTAT3のリン酸化の亢進を認めており、全身の繊維芽細胞における慢性的なIL-6によるSTAT3の活性化やCTGF、PDGFbやTGFファミリーなどの線維化促進因子の発現上昇が、これらの表現型の発生機序であることが示唆され、メカニズムの解析も進んでいるため。これらの結果より、加齢における心臓の恒常性の維持における繊維芽細胞のIL-6-STAT3経路とその制御系であるSOCS3の重要性が明らかになったため、 繊維芽細胞特異的SOCS3欠損マウスを作成し、さらの解析を進めている。同マウスの作成に時間を要し、遺伝子発現低下の確認にも時間を要したため、進捗がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
SOCS3-smKOマウスにIL-6を投与することにより、繊維芽細胞において優位にSTAT3のリン酸化の亢進を認めており、SOCS3の免疫染色を行うことで、繊維芽細胞の SOCS3の発現低下を確認する。 また、ヒトの収縮性心膜炎や心外膜炎の症例において、組織におけるSTAT3のリン酸化やSOCS3の発現を評価し、ヒトの病態におい てもSOCS3発現の低下やSTAT3活性化の亢進について評価する。繊維芽細胞特異的SOCS3欠損マウスにおける梗塞後左室リモデリング抑制の機序についても解析を進める。
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