皮膚筋炎におけるRNA編集酵素ADAR1の自己免疫応答ともたらす病態
Project/Area Number |
20K08688
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 53050:Dermatology-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
室 慶直 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (80270990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 通浩 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (60319324)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | ADAR1 / 間質性肺炎 / 皮膚筋炎 / 自己抗体 / 炎症性ミオパチー / 疾患モデルマウス / 全身性エリテマトーデス |
Outline of Research at the Start |
DNAから転写されたRNAは、RNA編集と呼ばれる様々な修飾を経て機能を発揮している。ヒトで最も高頻度に行われるRNA編集は、アデノシン(A)が脱アミノ化反応によりイノシン(I)に変換されるA-to-I RNA編集で、その機能分子には二本鎖RNA特異的アデノシンデアミナーゼ(adenosine acting on RNA:ADAR)がある。そのうちのADAR1遺伝子が重要で“自己”のRNAによる自己炎症・自己免疫を制御している。ADAR1の発現変調がI型インターフェロンの産生亢進が知られている膠原病において重要な役割を果たしているのではないかという仮説に基づき研究を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年、皮膚筋炎においては多数の自己抗体が同定され、病型分類の優れたバイオマーカーとなっている。また、その病態にI型インターフェロン(IFN)が大きく関与することもわかってきた。RNA編集の機能分子であるADAR1 (adenosine deaminases acting on RNA 1)は、遺伝性対側性色素異常症や、I型IFN関連疾患のAicardi-Goutieres syndrome症候群の責任遺伝子であるが、本研究では、皮膚筋炎をはじめとする各種膠原病に、どのくらいの割合でADAR1に対する自己抗体が存在するのかについて、これまでの研究で簡便な測定法(ELISA法)を確立できたので、各種膠原病患者の多数例をスクリーニングする。 そして、ADAR1自己抗体が生体におよぼす病態として、いかなる臓器にどのような病変がおよぶのかを明らかにしていく目的で、マウスを使用して、ADAR1免疫による自己免疫モデル動物を作成、解析を行う。 すでに所有しているマウスのADAR1のcDNAを含むプラスミドpCMV-SPORT6-mAdar1を大腸菌発現用ベクターに組み替え、リコンビナント蛋白を免疫用に大量調整しようと試みたが、発現効率が予想以上に悪く、抗体誘導に要する量の調整は困難であると結論した。次に、大腸菌での発現用にコドンの最適化を図った全長ADAR1遺伝子を入手し、リコンビナント蛋白の大量調整を行うも、各種培養条件の最適化にもかかわらず、やはり全長タンパクの発現精製は難しかった。 そこで、市販のヒトADAR1リコンビナント蛋白を購入、マウスに免疫したところ効率よくヒトADAR1に対する抗体を産生したのみならず、いくつかのマウスはマウスADAR1に対する抗体(自己抗体)も産生しており、さらにはそれらのマウスにおいて、アジュバントのみを免疫したマウスに比べ、肺や筋肉、皮膚における炎症が高度に惹起されている個体があることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウスのADAR1のcDNAを含むプラスミドpCMV-SPORT6-mAdar1を大腸菌発現用ベクターに組み替え、リコンビナント蛋白を免疫用に大量調整しようと試みたが、発現効率が予想以上に悪かったため、大腸菌での発現用にコドンの最適化を図った全長ADAR1遺伝子を入手し、リコンビナント蛋白の大量調整を試みた。様々な培養条件を試してみたが、結果的に満足のいくタンパクの収容量を得ることができず、マウスへの免疫実験が遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
市販のヒトADAR1リコンビナント蛋白を購入しマウスへ免疫したところ、数匹のマウスにおいて、ヒトADAR1タンパクのみならず、マウスADAR1タンパクにも抗体産生を誘導できることを確認できた。そして、それらのマウスにおいては病理学的に間質性肺炎も惹起されていることも確認できたため、今後、さらにヒトADAR1リコンビナント蛋白を購入し免疫の匹数を増やし、対照コントロールタンパクの免疫群、ADAR1タンパクの免疫群(抗体産生の有無により層別化)で病態の比較を行っていきたい。
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Report
(4 results)
Research Products
(6 results)