Project/Area Number |
20K08750
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 54010:Hematology and medical oncology-related
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Research Institution | Local Incorporated Administrative Agency, Nagano Prefectural Hospital Organization, Nagano Children (2021, 2023) Shinshu University (2020) |
Principal Investigator |
坂下 一夫 地方独立行政法人長野県立病院機構 長野県立こども病院(生命科学研究センター), 生命科学研究センター, 主任研究員 (10345746)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | 若年性骨髄単球性白血病 / JMML |
Outline of Research at the Start |
若年性骨髄単球性白血病(JMML)は、RAS/MARKシグナル伝達関連の遺伝子異常で発症し、遺伝学的解明が進んだ。しかし治療成績は5割前後で進歩が認められず、新たな治療法の登場が待たれている。我々の研究グループは細胞接着分子であるカドヘリンスーパーファミリーに属するPCDH17遺伝子をJMMLの病態説明をする候補の一つとして見出した。PCDH17と増殖シグナルとの関連を解析し、新たなる分子標的治療薬の探索を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
若年性骨髄単球性白血病(JMML)は、RAS/MARKシグナル伝達関連の遺伝子異常で発症し、遺伝学的解明が進んだ。治療においては造血幹細胞移植が唯一の根治的治療であるが、治療成績は5割前後で進歩が認められず、新たな治療法の登場が待たれている。我々の研究グループはJMML白血病幹細胞の増殖には未熟な造血環境が非常に重要な役割を担っていることを報告した(Sakashita et.al Leukemia,2015)。このことからJMML白血病性幹細胞の細胞間作用がJMML白血病性幹細胞の増殖に与える影響に着目し、細胞接着分子であるカドヘリンスーパーファミリーに属するプロトカドヘリン17(PCDH17)遺伝子をJMMLの病態説明をする候補の一つとして見出した。JMML症例のCD34陽性細胞でshRNAを用いてPCDH17をノックダウンするとJMML白血病幹細胞であるCD34+CD38-細胞の増殖を抑制した。この系を利用し、PCDH17と増殖シグナルとの関連を解析し、新たなる分子標的治療薬の探索を行う。今回の研究は正常造血幹細胞およびJMML幹細胞でのPCDH17遺伝子の分化、増殖に与える働き(シグナル伝達)を解析することにより、分子標的治療の新たなるターゲットの探索とPCDH17遺伝子の発現調節をターゲットとした治療戦略の可能性についての検討を目的としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
PCDH17の役割について、正常造血幹細胞およびJMML白血病幹細胞における解析を進めた。まず、白血病細胞株を用いてPCDH17発現の役割を検討した。PCDH17の発現がない細胞株に対してPCDH17を過剰発現させ、細胞増殖および増殖に関連するタンパク質のリン酸化について解析を行い、PCDH17の増殖に関する役割を明らかにした。 白血病細胞株にPCDH17を過剰発現させたところ、細胞増殖が抑制された。網羅的なシグナル伝達解析を行った結果、Platelet-Derived Growth Factor Receptor (PDGFR)を介した下流シグナルに関連する分子群の発現が低下し、この経路が細胞増殖に重要な役割を果たしていることが判明した。PDGFRは受容体チロシンキナーゼであり、その下流にMAPK、PI3K/Akt/mTOR、JAK/STATといったシグナル経路を活性化することが知られている。 そこで、RAS経路に遺伝子変異を持つ白血病細胞株において、PCDH17遺伝子の高発現を誘導するヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDACi)と、RAS経路阻害剤であるMEK阻害剤(MEKi)の併用効果を検討したところ、相乗効果により細胞増殖抑制とアポトーシス誘導が認められた。次に、AGM細胞と共培養し得られたJMML幹細胞を用いて、HDACiとMEKiの併用効果を解析した結果、HDACiとMEKiの併用により相乗効果を持って細胞増殖抑制とアポトーシス誘導が達成された。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究成果を踏まえ、今年度はさらに深く解析を進め、新たな治療ターゲットの探索を実施する。特に、PCDH17の下流シグナル伝達経路における重要な役割を果たすと考えられる経路を対象に、その阻害剤を使用した実験を行う。具体的には、PCDH17の発現が細胞の増殖や分化に与える影響を詳細に解析する。まず、白血病細胞株においてPCDH17を過剰発現させた際の細胞増殖および分化に関連するシグナル経路を特定し、それぞれの経路に対する阻害剤を使用してその影響を検討する。これにより、PCDH17がどのようにして細胞の増殖や分化に寄与しているのかを明らかにする。また、AGM細胞と共培養したJMML幹細胞を用いて、HDACiとMEKiの併用がどのように細胞増殖抑制とアポトーシス誘導を引き起こすかを詳細に解析する。これにより、併用療法のメカニズムを解明し、臨床応用に向けた基礎データを蓄積することを目指す。
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