Project/Area Number |
20K08827
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 54030:Infectious disease medicine-related
|
Research Institution | Teikyo Heisei University (2021-2023) Teikyo University (2020) |
Principal Investigator |
斧 康雄 帝京平成大学, 健康メディカル学部, 教授 (10177272)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 智 帝京大学, 医学部, 講師 (10409386)
永川 茂 帝京平成大学, 健康メディカル学部, 教授 (50266300)
佐藤 義則 帝京大学, 医学部, 講師 (90455402)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
|
Keywords | アシネトバクター・バウマニ / 薬剤耐性遺伝子 / コリスチン / リファンピシン / 併用療法 / 老化モデルマウス肺感染 / 免疫応答 / 好中球 / チゲサイクリン / カルバペネマーゼ産生菌 / 迅速診断法 / セフィデロコル / 抗菌活性 / マウス感染モデル / マクロファージ / バイオフィルム / 抗菌薬 / マスト細胞 / リポ多糖 / 炎症性サイトカイン / 薬剤耐性 / 食細胞 / 病原因子 / 感染モデル |
Outline of Research at the Start |
院内感染で問題となる多剤耐性アシネトバクター属菌の病原性は、まだ十分調べられておらず、免疫不全患者に感染・発症した場合は、CLや TGC療法の有効性は限定的である。申請者らは、本菌の病原性について、薬剤耐性機構、貪食抵抗性、リポ多糖(LPS)、外膜蛋白(OMP)と気道上皮細胞への接着性、バイオフィルム形成能などについて検討してきたが、国内外をみても発症/重症化に関与する病原因子の詳細な解析報告はない。本研究は、MDRAを含むアシネトバクター属菌の感染発症や重症化に関与する宿主要因と菌側要因を解析することを目的とし、本菌の病原性低下を狙った新規治療法の開発や新たな免疫賦活療法の開発を目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
1)2016年に海外からの入院患者から得られた広範囲に薬剤耐性を示すA. baumannii (XDRA)株の薬剤感受性と全ゲノム配列を解析し、当院分離の多剤耐性A.b(MDRA)アウトブレイク株についても検討した。XDRA 分離株は、カルバペネム系薬を含むβ-ラクタム系薬、アミノグリコシド系薬、ホスホマイシン、フルオロキノロン系薬、テトラサイクリン系薬、チゲサイクリン(TGC)、およびST合剤に対して耐性を示し、その関連遺伝子変異を明らかにした。本株は、それぞれオックスフォードスキーム配列タイプ1050およびパスツールスキーム配列タイプ2に属し、アミノグリコシド耐性トランスポゾン TnaphA6 を含む接合プラスミドを保有していた(Infect Public Health. 2024)。当院MDRA分離株については現在解析中である。2)MDRA治療薬の併用効果を解析するため、コリスチン(CL)とリファンピシン(RFP)、TGCの組み合わせで解析した結果、CLとRFPの併用が最も良い併用効果を示し、MDRA感染症の治療に有用である可能性が示唆された。3)老化表現型を示すヒト早発性老化症候群モデルマウス(klothoマウス)を用いて本菌の感染に対する肺の免疫応答を解析した。A.b (ATCC 19606)感染24時間後のWTマウスの肺では好中球や肺胞マクロファージの数が増加したが、KOマウスではほとんど変化しなかった。またA.b感染後のWTマウスとKOマウスのCD4+T/CD8+T細胞の比率に差は無かったが、KOマウスではCD4+TおよびCD8+T細胞数が増加した。さらに本菌感染後のKOマウスでは、IL-1βやIL-6の発現に加えcd68、cd40lのmRNA発現がWTマウスに比べ有意に誘導され差がみられることを学会発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は共同研究者とこれまで得られた研究結果の解析を継続実施した。また、新たに老化表現型を示すヒト早発性老化症候群モデルマウス(klothoマウス)を用いた本菌の感染に対する肺の免疫応答を解析した。課題に関する実験研究と並行して、論文執筆のための文献検索や論文執筆作業を実施し、国際誌に1報の論文が受理され公表できた(詳細は研究実績の概要及び論文参照)。また、国内関連学会において本研究課題に関して学会発表を実施した(後述の学会発表参照)。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)当院や諸外国で分離された多剤耐性A.baumannii(MDRA)の全ゲノム解析を実施し、病原因子に関わる遺伝子の解析を行う。 2) 好中球や単球・MΦとMDRAとの相互作用から本菌の病原性を解明する: 特に、本菌は莢膜保有菌で、その貪食には莢膜特異抗体が必要であるが、莢膜欠損株やOMP欠損株、LPS欠損株を作成し食細胞による貪食作用の違いがみられるか野生株と比較して検討する。抗菌薬処理後の食細胞の貪食殺菌能に及ぼす影響についても検討する。 3) MDRAを含む薬剤耐性菌の病院感染拡大を予防するために、耐性菌迅速検出法の開発に向けた基礎的研究を実施する。 4) MDRAに対する新規抗菌物質の探索を継続すると共に、既存抗菌薬の併用療法に関する基礎研究を実施する。
|