Project/Area Number |
20K08872
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 54040:Metabolism and endocrinology-related
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
西森 茂樹 帝京大学, 医療技術学部, 教授 (30838488)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 副甲状腺ホルモン / 副甲状腺ホルモン関連タンパク / 軟骨分化 / 骨分化 / 細胞内情報伝達系 / ノックアウトマウス / 過剰発現マウス / 骨粗鬆症 / 軟骨細胞の分化発生 / 骨細胞の分化発生 / 細胞内シグナル伝達 / 再生医学 / マウス遺伝学 / 骨・軟骨細胞 / シグナル伝達 / 発生学 / 遺伝子改変マウス / 発生・分化 / 骨・軟骨分化 / PTH/PTHrP / Salt-inducible kinase / Histone deacetylase |
Outline of Research at the Start |
研究代表者は遺伝子改変マウスを用いて、軟骨細胞及び骨細胞において、PTH/PTHrP (副甲状腺ホルモン/副甲状腺ホルモン関連タンパク) 受容体の下流で働くSalt inducible kinase及びClass II Histone deacetylaseによる新規の細胞内情報伝達系を見出した(Nishimori, et al. JCI Insight. 2019、及び、JCI. 2019)。 今回、同定した細胞内情報伝達系は骨・軟骨系の分化を制御する根幹の経路であり、骨粗鬆症、変形性関節症、骨軟骨異形成症などの骨・軟骨疾患の病態の解明及び治療薬の開発につなげたい。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らは軟骨細胞及び骨細胞においてPTH/PTHrP(副甲状腺ホルモン/副甲状腺ホルモン関連タンパク)受容体の下流で働き、骨軟骨系細胞の分化を制御する新規の細胞内シグナル伝達系を発見しました(JCI Insight. 2019、JCI. 2019、Bone 2021にて発表)。 PTH(副甲状腺ホルモン)とPTHrP(副甲状腺ホルモン関連タンパク)は同じ受容体を共有しながら、制御する細胞も効果の発現も異なります。PTHは副甲状腺で合成された後、内分泌因子(ホルモン)として、血流を介して骨と腎臓に至り、効果を発現します。PTHrPは局所因子(パラクリン)として、骨、軟骨、歯、血管平滑筋、皮膚、毛根、乳腺、膵臓、胎盤などの各所で合成され、近隣の細胞に作用します。軟骨細胞の場合、軟骨から骨への分化を抑制し、関節内の軟骨を若い状態に保ちます。将来的には、変形性膝関節症(国内での患者数約1000万人)の治療薬として、軟骨組織を維持する効果が期待されます。 研究代表者らはPTH/PTHrP受容体下流の細胞内情報伝達系をマウスの下肢骨で解析し、促進因子(SIK:塩誘導性キナーゼ、MEF2:筋細胞エンハンサー因子)と抑制因子 (HDAC:ヒストン脱アセチル酵素)を解明しました。これらの促進因子と抑制因子のノックアウトマウスまたは過剰発現マウスを掛け合わせたマウスの組織学上の形態変化の解析を行い、背後で働く分子メカニズムを解析しています。前年度に引き続き、これまで未知だった軟骨細胞の分化の過程で働く遺伝子群をマイクロアレー解析で選抜し、分子メカニズムを検証しています。将来的には、これらの促進因子や抑制因子に作用する小分子量物質が同定できれば、現在、合成ペプチドの注射剤しかないPTH及びPTHrPと同等の効果を持つ経口薬の開発につながります。特に、SIKを阻害する薬剤に注目しています。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染症の影響で、前任地のアメリカの研究所で作成・飼育していた各種ノックアウトマウス及び過剰発現マウスの輸送が困難な状況が続き、現在、マウスの維持、継代はアメリカで行なっています。 3種類の遺伝子を組み合わせ、トリプルノックアウトマウスの作成し、新生児または胎児の膝軟骨の解析を行なっていますが、個々のノックアウトマウスが生殖可能年齢まで生存できないため、トリプルヘテロマウス同士を掛け合わせています。交配の結果、トリプルノックアウトマウスが生まれる可能性は極めて低く、交配を繰り返しているため、遅延します。 Cre-LoxPシステムを用いて、軟骨特異的なトリプルノックアウトマウスも作成しています。Creマウスの交配が重なると、さらに確率が低くなり、遅延しています。
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Strategy for Future Research Activity |
SIK(塩誘導性キナーゼ)の阻害作用を持つ小分子物質の同定を進めるためには、SIKタンパクを認識する抗体、リン酸化されたSIKタンパクを特異的に認識するリン酸化抗体が重要です。SIKファミリータンパク(SIK1、SIK2、SIK3)の中で、ノックアウトマウスが骨・軟骨系組織に明らかな表現型を持つSIK3に着目して、解析を進めています。 発見以来の歴史が新しいSIKには市販品の良い抗体がなく、リン酸化抗体に関しては最近、ようやくSIK3のリン酸化抗体の市販が始まりました。SIK3抗体及びリン酸化SIK3抗体の中で良質な抗体を見つけ出し、スクリーニングの効率を高めることを目標に、検証を進めています。 良質な抗体が得られれば、マウス新生児の肋軟骨から採取した初代培養軟骨細胞をPTHrPで処理し、PTHrPによるSIK3 タンパクのリン酸化を抑制する物質のスクリーニングを推進して行きます。
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