小児のせん妄の成因調査と実態解明に向けた多施設研究およびデータベースの構築
Project/Area Number |
20K09261
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 55060:Emergency medicine-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
榎本 有希 筑波大学, 医学医療系, 講師 (30649231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 哲也 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (00621921)
荻原 重俊 地方独立行政法人東京都立病院機構東京都立小児総合医療センター(臨床研究部), その他, 医員 (10867766)
下條 信威 筑波大学, 医学医療系, 講師 (20462210)
壷井 伯彦 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 手術・集中治療部, 医師 (60754455)
城戸 崇裕 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (90868621)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | せん妄 / 小児 / 神経逸脱物質 / 敗血症 |
Outline of Research at the Start |
集中治療領域で生じるせん妄の、急性に生じる脳の臓器障害である。成人で集中治療室 (ICU) に入室した患者の1/3に生じる重要な合併症のひとつである。死亡率の上昇や長期的な認知機能の 低下との関連性が報告されている。しかし、小児で、まだその実態は明らかでなく、せん妄と同様 のアプローチで、急性脳傷害としてのせん妄を測定できているかは不明である。小児せん妄の実態 を明らかにするために本研究を施行する
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Outline of Annual Research Achievements |
1.筑波大学附属病院PICUでのせん妄の実態調査を行った。せん妄は58%の症例で発症していた。せん妄なし、せん妄はあったが1日で正常化する群、発症が2日以上持続する群の順にICU入室期間が長かった。結果については現在国際学会での発表を準備し、あわせて論文執筆も進めている。 2.心臓血管術後の小児患者に対して、神経逸脱物質物質(neuron specific enolase)の測定とせん妄の出現の関連について研究を行い、意識階層(昏睡、せん妄、正常)内のせん妄スコア( Cornell Assessment Pediatric Delirium )は、脳損傷マーカーレベルと関連していることを明らかにした研究がScientific Report 誌に掲載された。 3.せん妄が影響を与える可能性のあるアウトカムの一つとしてPost Intensive Care Syndrome(PICS)がある。PICSを評価するためのツールの一つであるHealthy Aging Brain Care Monitor(HABC-M)の自己報告版を日本語に翻訳し、集中治療後の環境における信頼性と妥当性を分析し、Australian Critical Care誌に掲載された。 4.国内の4つのPICUでせん妄の発生状況に関するpoint prevalence studyを行った。対象患者のうちせん妄率はおよそ1/3の患者でみられ入院期間、死亡率は特に差を認めなかったたことを日本集中治療学会で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
プロジェクトA: 1.筑波大学附属病院のPICUでのせん妄の発生割合の調査を行った。2018年から2022年の当院のPICU入室患者を対象として、Cornell Assessment Pediatric Delirium (CAPD) スケールを用いて、せん妄の評価を行った。せん妄は58%の症例で発症していた。せん妄なし、せん妄はあったが1日で正常化する群、発症が2日以上持続する群の順にICU入室期間が長かった。現在学会報告準備中である。 2.心臓血管術後の小児患者に対して、神経逸脱物質物質(neuron specific enolase, NSE)の測定とせん妄の出現の関連について検討を行った。意識状態は階層的(昏睡>せん妄>正常)とし、意識状態とNSEの関連は階層的ベイズモデリングにより実施した。40人の患者(年齢中央値12ヶ月)から134のデータポイントを分析した。多重回帰モデルにおいて、NSEは昏睡と正の関連を示し、pSOFA、ミダゾラム、デキスメトミジンとも関連していた。また、各NSE濃度における意識状態確率を評価し、意識が階層的に分類されること、CAPDスコアもNSEと関連することをともに確認し、Sci Rep誌に報告した。 プロジェクトB:新型コロナウイルス のためまだ終了してないが、プロジェクトAの結果を踏まえて現在追跡調査を行っている。 プロジェクトC:国内の4つのPICUでせん妄の発生に関するpoint prevalence studyを行った。対象は16歳のPICU入室患者とした。CAPDを用いた。状態評価は昏睡、せん妄あり、せん妄なしとした。調査日にPICUに入室した患者は102名でそのうち、対象となった患者は61名、混迷が20%(n=12)、せん妄が38%(n=23)だった。。人工呼吸管理やカテコラミンを使用している症例はせん妄発症群で多かった。入院期間、死亡率は特に差を認めなかった。 (榎本有希ら.2023年 日本集中治療学会)
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Strategy for Future Research Activity |
研究結果は概ね得られているため、次年度は解析をすすめ学会報告や論文投稿を行う予定である。
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Report
(3 results)
Research Products
(6 results)