Project/Area Number |
20K09535
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56030:Urology-related
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
飛澤 悠葵 弘前大学, 医学研究科, 助教 (70623768)
|
Project Period (FY) |
2021-01-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
|
Keywords | 糖鎖生物学 / 抗腫瘍免疫 / 前立腺癌 / ヒアルロン酸 / ヒアルロン酸分解酵素 / Tmem2 / 膀胱癌 / Cemip / 前立腺がん |
Outline of Research at the Start |
ヒアルロン酸は細胞外マトリックスに含まれる巨大な線状糖鎖ポリマーであり、腫瘍の悪性度と相関することが知られている。最近の報告では抗腫瘍免疫を制御する樹状細胞上にヒアルロン酸が存在し、そのヒアルロン酸が樹状細胞の所属リンパ節への移動に重要であることが示唆されている。本研究ではヒアルロン酸分解酵素の発現が高いことが確認できた前立腺がん細胞を用い、腫瘍細胞が持つヒアルロン酸分解酵素が樹状細胞上のヒアルロン酸を除去することで抗腫瘍免疫の成熟を阻止しているのではないかという仮説を検証する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はノックアウトマウスの準備を進めながら、昨年度作製した細胞株を用いてin vivoでの腫瘍形成能について野生型マウスを用いて検証した。まずは前立腺癌細胞株TRAMP-C2より作製したTmem2強制高発現株TRAMPC2-Tmem2と親株をMHCクラスが同一のC57BL/6マウスに移植したところ予想に反し高発現株では全く腫瘍ができないという結果が得られた。当初予定ではTmem2高発現細胞は腫瘍抗原を取り込み獲得免疫に重要な役割を担う樹状細胞上のヒアルロン酸を分解することで腫瘍免疫の成熟を妨害すると予想したが逆の結果となった。この現象が間違いない事をさらに詳しく検討するためTmem2をCrispr-CAS9システムにより欠損させたTRAMPC2-Tmem2KO株と親株をC57BL/6マウスに移植したところ、親株に比べTmem2欠損細胞株は有意に巨大な腫瘍を形成することが明らかとなった。癌細胞などの接着細胞においては、Tmem2のヒアルロン酸分解活性によりヒアルロン酸リッチな細胞外マトリックス上でも成熟した接着斑を形成することができ細胞移動が活発に起こることを報告してきたが、生体内では必ずしも癌細胞にとってプラスではないことが明らかとなった。本結果から考えられる事は、膀胱癌においてはTmem2は上皮間葉転換の過程で発現低下が起こることが明らかとなっており、Tmem2欠損細胞株が間葉系の性質を強く発揮するために生体内で高悪性化した可能性があると考えられるため来年度以降に検討する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ノックアウトマウス作製に関してまだ使用できる段階ではないためその点で遅れていると判断した。一方で細胞株と野生型マウスを用いた検討では当初予想した反応ではなかったものの標的分子の発現調節によって有意に差が見られたため、癌細胞の生体内での挙動に何らかの影響を及ぼしていることが明らかとなってきた。この点については癌細胞そのものの性質をin vitroで詳細に解析するとともに、腫瘍免疫に対するアプローチも検討する必要があると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初予想と異なる結果が出ているため作製中のノックアウトマウスも含め、予想したメカニズムと実際に起きている現象でどのような違いがあるかを検討していく。少なくとも、標的とした遺伝子の発現量を調節することで生体内での腫瘍形成能が変化していることから、腫瘍細胞そのもの、もしくは癌微小環境における何らかの制御機構に変化を与えているものと考えられるので、その点を明らかにしていきたい。
|