Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Outline of Annual Research Achievements |
当研究のこれまでの検討にもとづき、音響外傷による難聴発症時の蝸牛では、転写因子Atf3やStat4が炎症・免疫機能に関連する遺伝子群の発現をコントロールしていることが考えられた。次に難聴発症後早期の3時間に、Atf3やStat4以外の転写因子の発現が変動していないかどうか、スクリーニングをおこなった。難聴発症後3時間後の蝸牛では、RNA-seqとDNAマイクロアレイの実験により、273の遺伝子の発現が変動していた。これらの機能をデータベース解析したところ、転写因子にかかわる遺伝子が多数含まれていた。転写因子に特に密接にかかわる“Transcription factor activity, sequence-specific DNA binding”のキーワードにかかわる遺伝子には、難聴発症時に発現が増加する遺伝子が9遺伝子(Atf3, Dbp, Fos, Fosb, Fosl1, Helt, Maff, Nr1d1, Nr1d2)、発現が減少する遺伝子が16遺伝子(Arntl, Cdkn2a, Elf5, Eomes, Lbx1, Nkx2-2, Nkx6-2, Npas2, Olig1, Olig2, Pax6, Ppara, Rfx4, Sox3, St18, Tbx5)あった。これらの遺伝子について、より定量性の高い、リアルタイムRT-PCRの実験で発現を確認した。その結果Atf3, Dbp, Helt, Maff,Nr1d1の5つの転写因子については難聴発症3時間後に発現が増加することが確認された。これらの内Atf3については、難聴発症後12時間後にも発現が増加していることがリアルタイムRT-PCRで確認された。他の4者については、上記のスクリーニング実験において難聴発症後12時間後の増加は認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の交付申請書に記した研究目的は、急性感音難聴発症時のマウスの蝸牛において、多数の炎症・免疫関連遺伝子群を中心的に制御するマスター転写因子を探索 ・同定することである。また、この際転写因子Atf3やStat4に注目した解析を行うことを計画した。Atf3やStat4はともに、蝸牛以外の組織では炎症・免疫関連遺伝子を制御すると報告されている。 当研究では2020年度までに、難聴発症3時間および12時間後にAtf3の発現がコントロールの8倍以上までに著増することをしめした。また、この際Atf3の発現は蝸牛のコルチ器(有毛細胞・支持細胞)でみられることを示した。これまで難聴発症時の蝸牛において、炎症・免疫反応は蝸牛外側壁でおこると報告されていたが、我々のAtf3のデータは、蝸牛感覚上皮(有毛細胞・支持細胞)に炎症・免疫反応が存在すると示した点でも意義がある。また当研究では2021年度までに、難聴発症12時間後にStat4の発現が減少する傾向があることや、Stat4は蝸牛のコルチ器やらせん神経節に弱く発現しているというデータを得た。以上の様に当研究では研究目的にそって、難聴発症時の蝸牛において、転写因子Atf3やStat4に関するデータを取得し考察を深めることができた。 さらに2022年度までに、難聴発症3時間後の遺伝子発現解析によって、Atf3やStat4以外にも難聴発症時に機能を発揮すると考えられる転写因子の候補を同定することがきた。具体的にはそういった転写因子として、Dbp, Helt, Maff,Nr1d1が列挙される。以上のことより、当研究計画は当初の目的に沿って、おおむね順調に進展していると自己評価した。
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