視細胞による脈絡膜形態および血流変化の誘導メカニズムの解明
Project/Area Number |
20K09781
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56060:Ophthalmology-related
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
丸子 一朗 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (10443871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 知弘 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (50241881)
長谷川 泰司 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (70623487)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | 脈絡膜 / 中心性漿液性脈絡網膜症 / 脈絡膜血管異常 / 脈絡膜新生血管 / 脈絡膜厚 / 視細胞 / 網脈絡膜血流 |
Outline of Research at the Start |
脈絡膜は視細胞の酸素供給を担っており、視細胞の酸素供給の充足度により脈絡膜形態および血流が変動している可能性がある。一方で、脈絡膜血流の増減による形態変化については詳細は不明である。 本研究では臨床的に視細胞変性疾患や視細胞障害をきたす網膜疾患の網脈絡膜血管形態および血流を光干渉断層血管撮影(OCTA)、レーザースペックルフローグラフィ(LSFG)および共焦点走査型レーザー検眼鏡(cSLO)を使用して非侵襲的に観察し、視細胞の状態が脈絡膜の形態および血流変化を誘導するメカニズムの解明を行う。加えて、実験的に脈絡膜血管を組織学的に観察し、脈絡膜厚との関連を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
最近、眼底後極部の脈絡膜の厚みは、視細胞による影響だけではなく、眼底周辺部の脈絡膜の状態に左右されることがわかってきた。そこで我々は正常眼と中心性漿液性脈絡網膜症(CSC)眼における、脈絡膜の厚みを眼底周辺部まで観察した。 CSCを持つ25例29眼(男性23人、女性2人;平均年齢44.4歳)と、正常眼22例34眼(男性19人、女性3人;平均年齢49.5歳)を調査した。全例プロトタイプの超広角光干渉断層計(トプコン)で撮影した。各眼の各セクターごとに脈絡膜厚を、従来の自動層解析法を用いて測定した。結果として、正常な眼とCSC眼の両方において、脈絡膜は周辺部よりも黄斑部で厚くなっていた。中心窩下脈絡膜は、CSC眼で正常眼よりも有意に厚かった(P < 0.0001)。ただし、周辺部の差は有意ではなかった(Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 2022)。 もう一つの研究でCSCを持つ19例24眼と、7例14眼の正常眼の広角光干渉断層計(キヤノン)で絡膜厚および中心窩から上方および下方の5箇所の位置で脈絡膜厚を比較した。結果として、CSC眼と正常眼の年齢(P = 0.8)および屈折誤差(P = 0.7)には有意差はない。CSC眼では、中心窩下脈絡膜厚(P < 0.01)、上方1(P = 0.01)、および上方2(P = 0.02)で正常眼よりも有意に厚くなっていた。しかし、より周辺部の脈絡膜厚には有意な差はなかった(すべてP > 0.1)。(Retina 2022) 結論として、CSCの脈絡膜の厚みは、中心窩と中心窩のすぐ上の領域で観察された。CSCの病態生理は、中心窩および上部中心窩領域に限局した脈絡膜の厚み増加と関連している可能性がある。 以上、脈絡膜厚を規定する因子は視細胞だけでなく、眼球全体の血流に対する眼底後極部に限局した眼球構造の関与が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
網脈絡膜の形態的変化に関しては、概要でも触れた通り、様々な角度から評価できている。ただし、それはあくまで間接的な観察である。脈絡膜に関しては厚みと血流量の関係など基本的なことについて、まだ不明点が多 く、実験動物などを用いた病理組織学的検討の余地があることから、組織学的な評価が必要と考えており、マウス眼および豚眼を用いた研究も実施している。 N-mehyl-N- nitrosourea (MNU)による網膜変性症では、視細胞障害による網膜菲薄化が生じるが、この際に脈絡膜の変化についても確認したところ、脈絡膜も経時的に菲薄化することがわかった。 以上の通り、臨床的なデータだけでなく、組織学的な検討もおこなっており、結果も出ている。ただし、コロナ禍の影響で、一時実験室が使えないなどの動物実験に関しては、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床的なデータとしては、現在加齢黄斑変性治療における第一選択である抗VEGF薬の脈絡膜に与える影響を評価している。中でも近年では、その薬剤も複数承認され、その効果の違いも報告されている。我々は、一つの薬剤だけでなく、各薬剤における脈絡膜に与える影響を評価している。 また従来加齢黄斑変性は網膜の視細胞代謝、いわゆるレチノイドサイクルの代謝産物の蓄積によってdrusenが生じ、そのdrusenを起因として脈絡膜新生血管が形成されると考えられてきたが、近年脈絡膜循環に伴って、拡張した脈絡膜血管そのもの機械的圧迫などによっても脈絡膜新生血管が形成されることがわかってきた。我々は、その違いについても脈絡膜の構造や循環状態の視点から研究を行っていく。 組織学的研究としては、視細胞変性による脈絡膜の変化を急性期だけでなく、より長期的に観察していく。また網膜色素変性モデルにおける脈絡膜変化についても評価する。
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Report
(3 results)
Research Products
(34 results)
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[Journal Article] Japan AMD Research Consortium. Brolucizumab-related intraocular inflammation in Japanese patients with age-related macular degeneration: A short-term multicenter study.2020
Author(s)
Maruko I, Okada AA, Iida T, Hasegawa T, Izumi T, Kawai M, Maruko R, Nakayama M, Yamamoto A, Koizumi H, Tamashiro T, Terao N, Wakugawa S, Mori R, Onoe H, Tanaka K, Wakatsuki Y, Itagaki K, Kasai A, Ogasawara M, Sekiryu T, Shintake H, Sugano Y
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Journal Title
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol.
Volume: -
Issue: 9
Pages: 0-0
DOI
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Peer Reviewed / Open Access
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[Book] 新OCT・OCTA便利手帖2021
Author(s)
白神 史雄、飯田 知弘、石龍 鉄樹、丸子 一朗
Total Pages
232
Publisher
メジカルビュー社
ISBN
9784758316408
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Author(s)
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352
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